ツヅラフジ科 |
アオツヅラフジ |
・つる性落葉低木。カミエビとも。毒の成分はトリロビンなど。エビヅルやサンカクヅルの葉を知らないとブドウに見える。厚く切れ込みの浅い葉とアサガオと同じ巻きのツルを区別点に誤食しないよう注意が必要。一方で漢方としての利用がある。
・美味しそうに見えるため口に入れてみたところ、全く甘味がない。ふつうの人は、すぐにはき出すであろう。 |
アオツヅラフジ属 |
ユキノシタ科 |
アジサイ |
・国内で料理の飾り用として提供されたアジサイの葉を食べて食中毒になった事例が知られている。原因物質に関しては明確になっていないが、厚生労働省が注意喚起の通知を発している。 |
アジサイ属 |
ツツジ科 |
アセビ |
・有毒植物であるが、その葉を煎じて殺虫剤に用いる。馬が食べると苦しむといい、馬酔木の名がある。毒の成分はアセボトキシン、グラヤノトキシンV。奈良公園の春日大社ではアセビの木が多く植えられているが、鹿はアセビが有毒であることを知っているようで、決して食べないという。
・牛は賢くてこの葉を食べることはないが、ヤギをこの木につないだら終わりである。【斉藤】
*食べ物がなくなれば、鹿はアセビも食べるとの情報がある。 |
アセビ属 |
トウダイグサ科 |
アブラギリ |
種子から採れるキリ油(桐油:トウユともいう。)は優れた乾性油であるが毒性があり食用とならない。毒荏(どくえ)の名がある。 |
アブラギリ属 |
イチイ科 |
イチイ |
成分:タキシンtaxin、タキソールtaxol。痙攣,硬直。イチイの学名であるTaxusはギリシャ語の弓を意味するタキソンtaxonに由来し、英語の毒toxinの語源にもなっている。イチイの毒性分は葉、枝、タネすべてに含まれている。しかし、赤く熟した生の実の部分だけは毒を持たずに甘く、食べられる。イチイ属 Taxus(英名 yew)は北半球に8種あり、そのなかでもヨーロッパイチイ(セイヨウオンコ)T.baccata L.(英名 common yew)は欧米で庭園樹としてよく用いられている。イチイ属は有毒なアルカロイドであるタキシン taxin を含有するが、薬用にされることがある。 |
イチイ属 |
イチョウ科 |
イチョウ |
落葉高木。フェノール性化合物が銀杏に含まれる。食い過ぎに注意。 |
イチョウ属 |
バラ科 |
ウメ |
保有する毒の成分は、アミグダリン、遊離シアン。有毒成分は未熟な実や種子に含まれている。「アオウメは食べるべからず」「梅の種を食べると天神様(菅原道真)が泣く」などの言い伝えがある。アンズも同様。 |
サクラ属 |
ウルシ科 |
ウルシ |
樹液,葉が皮膚につくと、強いウルシかぶれの炎症を起こす。人によっては炎症を起こさない場合もある。 |
ウルシ属 |
エゴノキ科 |
エゴノキ |
果皮にエゴサポニン。魚毒・溶血作用。魚は一時的に麻痺。昔からサポニン系の毒を含む植物は魚毒として使用されていた。 |
エゴノキ属 |
マメ科 |
エニシダ |
毒の成分はスパルテイン、サロタムニン、ゲニステインなどで全草に含まれる。生の枝は強い嫌な苦味がある。胃腸痙攣等の症状。薬学の世界ではエニシダ枝といって、茎や葉を干したものを硫酸スパルテイン(心臓疾患やむくみの治療薬となる)の製剤原料として今でも使われているという。 |
エニシダ属 |
キョウチクトウ科 |
キョウチクトウ |
枝葉や花は有毒。強心物質があるが、素人療法は危険。口にすると嘔吐、腹痛、下痢、心臓麻痺などを起こす。明治10年の西南の役では官軍側の兵士がキョウチクトウで箸を作って食事をしたところ多くの中毒者を出したという。
フランスではバーベキューの串の代わりにセイヨウキョウチクトウの生の枝を使って肉を焼いて食べ死者が出たという。
毒の成分はオレアンドリン、アディネリン、ギトキシゲン、ジギトキシゲン。主に葉に強い有毒成分を含む。 |
キョウチクトウ属 |
マメ科 |
キングサリ |
別名キンレンカ。ヨーロッパ南部原産。明治初期に渡来。黄色の蝶形花を総状に付ける。庭木、花材となるが有毒植物。 |
クロヨナ属 |
マチン科 |
クラーレノキ |
つる性低木。ストリキノス・トキシフェラと呼ばれる植物。ベネズエラのオリノコ河流域からギアナにかけて分布。呼吸麻痺、筋弛緩作用。平成5年、これが基になって合成された塩化スキサメトニウムを利用(注射)した愛犬家殺人事件発生。筋肉が弛緩し意識があるままで呼吸が出来なくなり死に至る。 |
ストリキノス属 |
ロウバイ科 |
クロバナロウバイ |
落葉低木。北アメリカ南東部原産。毒の成分は、カリカンチンで、種子に含まれる。 |
クロバナロウバイ属 |
コカノキ科 |
コカ1 |
コカインによる麻薬作用・局所麻酔作用。インディオにとって聖なる植物。アンデスでは何千年も前から、ビタミンやミネラルの重要な供給源で、食欲を抑え、痛みや恐怖を和らげ、活力を与え、病気に対する免疫力を強めるという、奇跡の植物だった。コカの葉は口に含んだ後にリフタと呼ばれる灰(カカオやイナゴマメといった樹木を焼いた灰を固めたもの)口に含んで噛み続ける。灰に含まれるアルカリとコカのアルカロイドが反応する。コカの葉の最大の特徴は、歯の裏側にある中央脈を挟んで二本の直線が入っていること。 |
コカ属 |
コカ2 |
初期のコカコーラの瓶は、コカの実の形をヒントにデザインされた。最初のコカコーラは、コカの葉とアフリカのコーラナッツ(興奮作用のある果実)を調合。1902年にジョージア州議会であらゆる形態のコカイン販売全面禁止によって、コカコーラからコカインが取り除かれた。しかし,風味を添えるためのコカイン抜きのコカの葉を含んでいた。現在では、風味付けのコカの葉は含まれていないという。 |
コカ属 |
ザクロ科 |
ザクロ |
外来。毒の成分は、ペレチエリン、イソペレチエリンなど。根や樹皮にに含まれているが、果実には含まれない。中枢性運動障害、呼吸麻痺。 |
ザクロ属 |
モクレン科 |
シキミ |
9月頃、袋果が熟す。実は猛毒。果実を誤用すると、けいれん毒で、呼吸困難、血圧上昇を起こして死亡する。アニサチンという痙攣性の神経毒を含む。スパイスのスターアニス(八角)と混同されて、ヨーロッパで中毒が発生したことが知られている。
シキミの実は、あらゆる有毒植物の中で唯一「毒物及び劇物取締法」で指定されている。 |
シキミ属 |
ツツジ科 |
シャクナゲ |
常緑低木。毒の成分はロードトキシン(アンドロメドトキヂン)など。すべての種類のシャクナゲが有毒。
日本産のものでは、京都周辺のホンシャクナゲ、東日本のアズマシャクナゲ、東海地方のホソバシャクナゲなどが比較的よく栽培されている。
・有名な奈良室生寺のシャクナゲはホンシャクナゲである。
・大分県朝地町の神角寺のシャクナゲはツクシシャクナゲである。 |
ツツジ属 |
ソテツ科 |
ソテツ |
常緑低木。毒の成分はサイカシンで、全株に含まれている。サイカシンは水溶性。サイカシンは体内にはいると酸で分解されてホルマリンになる。 |
ソテツ属 |
キョウチクトウ科 |
テイカカズラ |
ツル性常緑低木。毒の成分は、トラチェロシドなど。汁液に触れるとかぶれる。名前は藤原定家に由来するという。 |
テイカカズラ属 |
ドクウツギ科 |
ドクウツギ |
落葉低木。果実ははじめエンドウぐらいの赤い球形をしているが、あとで紫黒色になり、甘みがある。子供が食べて中毒することが多い。腹痛吐血が激しく、死ぬことも。毒の成分は、コリアミルチン、ツチン。主に実に含まれている。 |
ドクウツギ属 |
トウダイグサ科 |
ナンキンハゼ |
白いロウ質に包まれた種子からロウや油を取るが、種子は有毒。 |
シラキ属 |
ツツジ科 |
ハナヒリノキ |
落葉低木。クシャミノキとも。毒の成分は、グラヤノトキシン。葉の粉末が鼻に入ると強いくしゃみが出る。 |
イワナンテン属 |
スイカズラ科 |
ヒョウタンボク |
果実は球形の液果で赤熟、径8ミリ、2個接合してひょうたん状となり、猛毒。口にすると中毒症状を起こす。 |
スイカズラ属 |
バラ科 |
ピラカンサ |
ピラカンサの実は青酸化合物を含んでいて、まとめて食べれば鳥も毒にあたる。渡り鳥のレンジャクが時折、謎の集団死をすることがあり、その一部はこの仲間の実が原因と特定されている。【多田多恵子】 |
トキワサンザシ属 |
ヤシ科 |
ビンロウ |
常緑高木。インド又はマレーシア原産。覚醒作用。インドや熱帯アジアでは、古代からドラッグのような興奮作用をもたらすビンロウの実をキンマ(コショウ科)という葉と一緒に噛む習慣がある。有効成分は、アレコリン。ほかに数種類のアルカロイドが種子に含まれている。 |
ビンロウ属 |
キョウチクトウ科 |
ミフクラギ |
植物全体に白色の乳液を多量に含み、この液は有毒で、誤って目に入れると目がふくれるという。果実は卵球形となり、種子も有毒。キョウチクトウと同様の症状。 |
ミフクラギ属 |
ミカン科 |
ミヤマシキミ |
果実は液果で、美しい紅色に熟すが有毒。和名は、深山に生え、しかも有毒でその枝の様子がシキミに似ていることによる。葉にアルカロイドのシキミアニンを含み、有毒。殺虫剤として使用もする。葉にはアンドロメドトキシン、花にはロドジャポニンが含まれ、けいれん毒で呼吸停止を起こして死亡。 |
ミヤマシキミ属 |
ウコギ科 |
ヤツデ |
常緑低木。毒の成分はベータ・ファトシン、アルファ・ファトシンなど。サポニンの一種で血液毒。 |
ヤツデ属 |
ユズリハ科 |
ユズリハ |
常緑高木。樹皮や葉を7〜8月に採取し、日干しにしたものを「交譲木」と呼んで、でき物、去痰、利尿薬、喘息、健胃剤、下剤などに民間薬として使われている。毒の成分はダフニフィリレン、ユズミリン、セコダフニフィリンなど。樹皮や葉。若葉を茹でて食用にする地方もあることから、熱処理で毒性がなくなるという。 |
ユズリハ属 |
つつじ科 |
レンゲツツジ |
毒の成分はアンドロメドキシン、ロドヤポニン、スパラソール。葉、花、根皮にそれぞれ含む。花の蜜は甘いがしばらくするとむかむかし始め、気分が悪くなる。庭に植えるキレンゲツツジとエクスバリーアザレアはレンゲツツジと同じ種である。 |
ツツジ属 |
(参考1) |
・ペルナンブーコ(ヴァイオリンの弓材だが、過去に染料を採るためにブラジルから輸入されていた)で製材工が目や皮膚の障害を訴えていたという記録があるという。 |
(参考2) |
・関東大震災後の木材不足の時、輸入した米スギで加工職人の間で米杉喘息が多発したという。 |
(参考3) |
・シタンの算盤玉を作る職人が目鼻に激痛症状が現れたことが知られている。 |