|
|
|
バルサムモミの葉表
先端がややへこむのは国内のモミ類と同じ。 |
バルサムモミの葉裏
2本の白い気孔帯が見られるのも同様。 |
|
|
|
|
バルサムモミの樹皮。地衣類以外の白い汚れ状のものは、吹き出た樹脂が乾燥した痕跡と思われる。 |
|
|
樹皮をよく見ると、表面からしばしば樹脂が吹き出しているのを確認できる。そこで、刃物でわずかに切れ込みを入れたところ、直ちに流動性が高く、粘り気のない樹脂がタラーリと流れ出た。本樹種及びその樹脂の特性のようである。 |
|
|
|
樹脂を指にとって擦り合わせてみると非常にさらさらと滑らかで、匂いも悪くない。それもそのはず、この樹脂の精油はアロマオイルとしても利用されている。 |
|
<バルサムモミ、カナダバルサムに関する参考情報> |
|
・ |
学名 Abies balsamea の種小名は、balsamun = 芳香樹脂のバルサム、バルサムの木の意。
|
・ |
バルサムモミ(Balsam fir)Abies balsamea は米国北部及びカナダにおいては重要な針葉樹の一つとなっている。分布域内ではバルサム(balsam)、カナディアンバルサム(Canadian balsam)、イースタンファー(eastern fir)、ブラクテッド・バルサムファー(bracted balsam fir)の名もある。主としてパルプや軽量木造建築に使用される小中木で、クリスマスツリーとしては最も人気のある木の一つである。一般に樹高は12から18メートルの範囲で、胸高の直径は30から46センチの範囲にある。
バルサムモミの樹皮から吹き出る樹脂油のカナダバルサム(Canada balsam)は、顕微鏡試料の作成のための封入剤として利用されるほか、光学機器の様々な部品の接着にも使用される。【USDA】
|
・ |
バルサムモミは、樹皮に樹脂溜(じゅしだまり)(脂袋 やにぶくろ)が発達し、樹脂はレンズの接合剤などに利用されるカナダバルサムの原料として知られる。【朝日百科植物の世界】
|
・ |
バルサム Balsam は、樹木から自然に、あるいは人工的に傷をつけたときに流れでるやに(樹脂)が精油にとけているものであり、一般に流動性が長く保たれるものが多い。これらは地名または樹種名をつけて呼ばれる。一番有名なカナダバルサムは北アメリカのバルサムモミ やカナダツガ(ツガ・カナデンシス Tsuga canadeensis ) から得たもので、レンズの接合剤などに使われる。ペルーバルサムは南アメリカのミロキシロン・ペレイラエ Myroxylon pereirae から、トルーバルサムも同属のトルイフェラム M. toluiferum から、コパイバルサムは南アメリカやアフリカのコパイフェラ属 Copaifera から、それぞれ得たものである。これらはいずれも香油、香膏として皮膚病の治療に使われる。Balsam には Balm (鎮痛剤)の意味もある。【平凡社世界有用植物事典】
|
・ |
水蒸気蒸留されたバルサムファーの精油は樹種名と同じバルサムファーの名のアロマオイルの製品として輸入されている。原料は小枝・葉又は樹皮とされ、カナダに産する製品が普通に見られる。 |
|
|
注: |
レンズの接着剤として利用されたのはガラスの屈折率に近いことと、熱をかければ貼り直しが効いたことによるが、近年は耐久性に優れた合成樹脂が使用されている。また、永久プレパラート作成用の封入剤(キシレンに溶かして利用。キシレンバルサムの名がある。)としての利用に関しても、既に合成樹脂にシフトしている模様である。カナダバルサムの製品自体は国内で現在でも販売されている。 |
|
|
|
|