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樹の散歩道
 
  アーモンドの実探し
             


 アーモンドは花がきれいで実も楽しめるため、一般家庭向けとしても苗木が供給されているから、庭に植栽して楽しんでいる人であればうろうろ探し回る必要はない。庭にない場合は、もちろんあくまで公的なエリアでの探索となる。しかし、これは極めて入手困難であることがわかった。 【2008.3】   


 アーモンドの花を初めて目にすると、その美しさに、大抵は「へえー、アーモンドはこういった花を付けるのか!」と感嘆の声を上げる。次に声を出さないまでも、「ということは、時期を見計らってくれば、アーモンドの実にご対面できるということだな。フムフム・・・」ということになる。

 そのため、公的なエリアでは、アーモンドの実が熟してプリッと割れた姿を見ることは極めて困難で、同じ思いでいる同好の士の行動を予想して、程よく熟すまで堪えきれずに頂戴してしまうというのがごく普通の光景であることが分かった。  


   アーモンドの花の蕾
 蕾はピンク色で大きめである。
       アーモンドの花
  花弁もサクラより大きく華やかである。同属であるモモ(バラ科モモ属又はサクラ属)の花の印象に近い。
   アーモンドの若い果実 
 果実は毛に覆われている。果肉は何にもならない。
     
     アーモンドの若い果実の種子
 果肉を剥がした種子。モモの種子を平たくしたような形態である。この殻の中にあるが食べるアーモンドである。写真のものはやや未成熟で、中の仁は少々薄くて貧弱であった。(写真は省略)
    (参考) 市販品の殻付きアーモンド  
 左側の白っぽいものが殻付きのアーモンドで、右側のものは殻を剥いたもので、普通に見るのアーモンドの状態である。販売者の情報によれば、殻付きのアーモンドは殻のままで塩水に漬け込んだ上でローストするのだそうである。
 
 ある店で殻付きと剥き実のアーモンドが並べて売られていて、いずれも同じ量目(りょうめ)で同じ金額となっていた。これには少々とまどいを感じてしまう。殻の重量比率はたぶん半分以上あるはずであり、その殻も購入するという構造が明らかであるからである。しかし、殻付きは珍しいため授業料と割り切って購入してみた。

 仔細に観察すると、殻の表面が粉っぽいことを確認した。多分、アーモンドの場合は堅い殻となっている内果皮の表面がギンナンやピスタチオのようにツルッとしていなくてがさつきがあるため、殻のままでローストする場合は、その過程で表面が削られて粉になるものと考えられる。塩味とするための塩も含まれているのであろう。

 また、内果皮はすべて細く口を開いていて、難なく中味を取り出せた。多分、機械的な処理をして口を開いているか、あるいはローストの過程でオニグルミの場合と同様にわずかに開くのかもしれない。

 食用となるを取り出すと、ナッツとして普段見かけるアーモンドより色が白っぽいことに気付いた。この点については店で聞いてみたところ、剥き実の普通のアーモンドはローストの時に油を使うため、色が濃く見えるのだとわかった。ということで、普通の製品は外見をよくするための処理がなされていることを初めて知った。
 味は剥き実と特に違いはないが、皮を剥きながらポリポリやるのもいいものである。

【2015.8 追記】

 先に採り上げたアーモンドの種子はあまりにも貧相であったが、当時ターゲットとしたアーモンドの樹を久しぶりに訪れたところ、何と成熟して裂開した後に落果した複数の果実を目にした。これ幸いと素早く頂戴した。これが可能であった理由は明らかで、猛暑日がしばらく続き、徘徊老人達の足が遠のいたことが幸いしたものと思われる。

 さらにである。最近身に付けた超能力により、樹上で裂開した果実についても、特別の罪の意識を感じることもなく、易々と手に入れることができたのである。簡単に説明すれば次のとおりである。

 この “超能力” とは、愛おしく感じた果実の下に手を差し出すと、不思議なことにその果実がぽとりと手の平に落ちるという現象を指している。これはきっと果実と心が通い合い、果実が「おいらを一緒に連れて行ってよー!」と言っているに違いないと考えている。

 以下はその成熟果実の様子である。(品種は不明) 
 
    アーモンドの果実 1
 わずかに割れが生じている。
    アーモンドの果実
 大きく裂開して種子を見せている。 
    アーモンドの落下果実
 裂開後に落下した果実である。 
 
                          アーモンド種子の外観
 
 さて、取り出した種子の処理であるが、刃の付いたくるみ割りで殻を割れば仁(生アーモンド)を取り出すことができる。そのまま生食もできるが、やはり、ロースとした方が香ばしくなって美味しいのであろうことは想像できる。
 
 次に、殻つきのままでオーブンでローストしてみた。単にローストするのであれば、殻から取り出してローストした方が効率的であることはわかるが、殻つきのままでローストした場合に、殻が少しでも開くのかを見極めてみたい事情があったからである。結果であるが、殻は頑なに閉じたままで、全く開いてくれなかった。 
 
         開いた果実の様子
 果肉の内側には赤味がある。残念ながら、果肉はモモの場合のように食用にすることはできない。 
    種子の殻を割った状態
 殻の内面はツルッと平滑である。殻はオニグルミのように堅くて手強い。 
  殻のままでロース トしたアーモンド
 
殻つきのままでローストすると、いい香りが漂った。味はOKである。
 
 なお、手作業で殻を剥くのは少々面倒であるが、業務用としては アーモンド・シェリングマシン almond shelling machine あるいはアーモンド・クラッキングマシン almond cracking machine の名の自動殻剥き器が存在する。