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樹の散歩道 アカゲラ君のパワー炸裂!
「さあ 何でも突っつくゾ−!」
北海道のアカゲラは正確には亜種の「エゾアカゲラ」とされ、ドラミングの音をしばしば聞くことができる。たまたまその姿を比較的近い距離で見ることができればラッキーで、慌ててカメラを向けることになる。鮮やかな色彩の愛嬌のある鳥で、首尾よく写真に収めることができれば喜びもひとしおである。しかし、このエゾアカゲラ君であるが、とんだ厄介者の一面もある。 【2012.4】 |
エゾアカゲラ君のドラミングの音を文字で表現することは難しい。「コンコンコン」などという生易しいものではなく、「コココココココココン」と記して、さらにこの文字間隔を可能な限り詰める必要がある。この打撃のピッチの速さは尋常ではなく、ヒトが指を立てて、同様の速さで机をつつくことは絶対に不可能である。垂直な面にしがみ付くことができる能力とあわせて、誰もが感じている“驚異”である。 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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あるとき、身近な車庫の妻壁部分を見上げたところ、暗色に塗装した羽目板に腐れが生じたのか、継ぎ目に沿って点々と木地色が露出しているのに気が付いた。目を凝らしてさらによく見ると、何と、部分的に“穴状”になっているのである。これでピンときた。容疑者はエゾアカゲラである。 そこで、念のためにぐるり回って被害状況を確認すると、軒の鼻かくしの部分に、ぽっくり4〜5センチほどの穴が開いているのである。うーん、ここまでやるのか! とうなり声が出る。 裏付けのための聞き取り調査をすると、頭の赤い鳥が以前に飛び立つ姿が目撃されているというから、間違いなくエゾアカゲラが自ら断りなく施工した自宅である。(現時点で、現住所をここに置いているかは確認していない。) 罪状は器物損壊、不法占拠 ・・・・・ か。それにしても、この平らな羽目板にどのように取り付くのか、感心してしまう。 |
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まずは、どうやって垂直なツルッとした面にしがみ付くのか、これは驚きである。 次に、巣穴を開けるのは明確な目的としてわかるが、その他の突き傷は一体何なのか。板壁は音響効果がよいと知って、単にドラミングの対象としただけなのか。ヒトにとっては明らかに嫌がらせに等しい。 |
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自然豊かな環境での風景ではあるが、BB弾を飛ばすのはまずいし、キツツキの忌避剤が存在するとも思えない。置かれた状況によっては、ニコニコと慈しみのこころと表情で見つめ続けるのも難しい事態もある。建物は、竣工直後から劣化が始まるのは避けられないが、本件のケースでは、明らかに建物の劣化に拍車がかかっている! | ||||||||||||||||||||||||||||||
<参考1:キツツキ類の特徴> 以下はキツツキ類の特性等に関するメモ帳である。 |
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キツツキ類の高速打撃がなぜ可能なのかについては、答えを目にしていない。この速さは、コツン、コツンと叩く動作の繰り返しでは決して実現できないことを感覚的に感じる。印象としては、もはや震動に近い。そのピッチは電動エアガンの連射速度並みである。是非とも、そのメカニズムを知りたいものである。 なお、キツツキのコツコツに関して真面目な研究もあるようで、以下のような論文の表題を目にした。 ・ キツツキのドラミング機能とその力学的考察 ・ キツツキの構造組織に学ぶ耐衝撃機構の検討 ・ キツツキの骨格構造に学ぶ耐衝撃システムについて 読んではいないが面白そうな世界である。 |
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【追記 1】 | ||||||||||||||||||||||||||||||
襲撃を受けた車庫からそれほど遠くないところに、厳しい試練を受けている樹を目にした。いずれも枯死寸前である。 特に左の写真の採餌木はアカゲラよりはるかに体の大きい種類のキツツキ君、頭の赤いいカラスともいわれるクマゲラ君による仕事であろうか。 |
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【追記 2】 働き者のエゾアカゲラ君を発見!! | ||||||||||||||||||||||||||||||
エゾアカゲラが実際に仕事(巣づくり?)をしている姿をじっくり観察することができた。 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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【追記 3】 キツツキのおチビちゃん | ||||||||||||||||||||||||||||||
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気絶中のエゾコゲラ君 | ||||||||||||||||||||||||||||||
【追記 4】 | ||||||||||||||||||||||||||||||
奄美大島ではオーストンオオアカゲラが生息していて、シイタケ榾木(ほだぎ)に穿孔したコチャイロコメツキダマシを餌食するために榾木を突きまわし、大切な榾木の樹皮が剥離する被害がみられ、シイタケ発生の阻害要因となっている(鹿児島県林業試験場業務報告第44,45号)そうである。シイタケ生産農家にとっては大変なことであるが、キツツキ君たちは各地でツンツクやっているようである。 | ||||||||||||||||||||||||||||||
<参考2:逆さに樹幹にしがみつく小鳥ちゃん> |
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樹幹に垂直にしがみ付くキツツキ類もたいしたものであるが、実は、垂直な樹幹に逆さまにしがみ付くのが得意なかわいい小鳥ちゃんがいる。以下のとおりである。 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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素性は、スズメ目 ゴジュウカラ科の「シロハラゴジュウカラ」である。この体勢でチョロチョロ動き回るから、たいしたものである。(ゴジュウカラでも同様。)写真では確認しにくいが、足を前後に突っ張っているような印象である。 知り合いの鳥博士に聞いたところ、尾羽の下の部分の下尾筒が焦げ茶色であることから、オスであろうとの見立てであった。 ちなみにメスはこの部分が黄土色で、オスより薄い色に見えるとのことである。 |
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