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木の雑記帳
 
  足に心地よいウッドデッキ、ボードウォーク材
             


 公共空間やビルの谷間に板張りのウッドデッキ、ボードウォークが多く見られるようになり、さらに一戸建て住宅のデッキ用材として、あるいは集合住宅のベランダ敷き用の方形のブロックデッキ用材として、南方系の高耐久性の硬質木材が広く利用されている。いずれもカタカナの樹種名であるが、次第にその名前も一般化してきた。
 しかし、日常生活でしばしば見かけるものであっても、素人には樹種の識別は難しい。屋外での利用で表面が灰褐色になってしまえば、なおわからない。【2007.10】
 


ボードウォーク等施工例

A 天王洲アイル

 海岸、水路沿いの安らぎの場の演出としてしばしば見られる。コンクリートとは全く違う景観となり、べったり座ることにも抵抗がなくなる。場所により針葉樹材と硬質南洋材が混在している。当初は針葉樹材で施工し、その後劣化した部分を硬質南洋材を使用して改修したもと思われる。写真の右側は硬質南洋材の部分である。
 
     
B 高島屋新宿店2階

 都心のビルの谷間での施工としては先駆的であったように思われる。印象の良いエリアである。当初はオーストラリア産のジャラが使用され、その後JR線路沿いの雨に当たる部分が劣化したため、ミサワホームの開発した合成木材「Mウッド2」(廃プラスチックと廃木材から生成した完全リサイクル製品)を使用して改修したとのこと。写真は合成木材部分で、庇の中は当初の仕様が見られる。
     
C 小田急新宿店9F屋上

小田急新宿店本館の9階から外に出た屋上の喫茶「カフェプランツ」での施工例である。経年変化で灰褐色となっているが、これも木の味わいである。使用材は「ジャラ」だそうである。
     
D 東京倶楽部ビルディング

千代田区の霞が関ビルの隣りのビルで、周囲に木材が多用されている。写真は公開空地で、これとは別にビルの外堀通り側もデッキ風に木材で仕上げている。ビルの谷間に憩いの空間が形成されている。仕上がり寸前である。使用材は「セランガンバツ」だそうである。表面がリブ加工されたタイプである。
     
E 品川セントラルガーデン

 品川駅港南口側のセントラルガーデンを挟むビル群を連結する空中回廊である。歩き心地の良い板張りになっている。たぶんこれも硬質南洋材で、「イペ」だろうか。
     
F港区スポーツセンター

 プールのロッカールーム入り口にチーク材のデッキブロックが使われていた。ベランダ敷きとしても知られているタイプで、30センチ四方のプラスティックの台に無垢のチークが取り付けられている。簡単な連結具で敷き並べるだけである。
 チークは素足でペタペタ歩くと実に心地よい。
(注)平成26年12月に新たな「みなとパーク芝浦」に統合され、これも随所に木へのこだわりが見られる。
     
【2016.6 追記】 ヒノキ材のボードウオークが登場!!
  先に紹介したA の天王洲アイルのボードウォーク(ウッドデッキ)の半分ほどが改修された。ボードウォークはその木材の色合い、歩くときの音とわずかなクッション性が実に快適であるが、屋外であるが故に劣化は避けられず、適正なメンテナンスが必要である。今回は樹種選定が感動的で、何と国産の人工林ヒノキ材が登場した。現在のところは、ヒノキの香りがぷんぷん漂ってなお一層快適である。ただし、ヒノキの縁側を土足で歩いているような感じもあって、もったいないような気持ちになってしまう。
 
 
        工事中の風景(2016.5)          仕上がり状態(2016.6)
   
       併せて改修されたベンチ
   
これも間違いなくヒノキ材である。
        新旧素材のつなぎ目部分


デッキ材等サンプル写真

説明文は須藤彰司「カラーで見る世界の木材200種」、「新訂増補 南洋材」、ニック・ギブス「木材活用ハンドブック」等を参考とした。写真は原則として素地の状態と質感が強調されるオイルフィニッシュを並べて紹介した。


イペ(Ipe)

ノウゼンカズラ科Tabebuia属。(Tabebuia serratifolia を含むTabebuia spp.)。チリを除くほとんどの熱帯アメリカに分布し、約20種が知られている。非常に重硬で、導管の中にラパコールと呼ばれる黄色の物質が充填されているのが特徴。シロアリに対する抵抗性は高いが,海虫に対しては弱い。
 オイルフィニッシュ 素地
     


ウリン(Ulin)

クスノキ科(Eusideroxlon zwageri)インドネシア原産 。ビリアン/ボルネオ鉄木(アイアンウッド)/マランガイ とも。世界で最も強い木のひとつで、シロアリに侵されず、フナクイ虫等に対しても抵抗性があり、水中・海中に使える唯−の木。肌目は精。
 オイルフィニッシュ 素地(フローリング材裏面)
     

グリーンハート(Green heart)

ベベレ(Bebeere、Bibira 等 ガイアナ)。グリーンハート(Green heart)とは、クスノキ科 Ocotea rodiaei の心材に付けられたイギリスの商品名で、フナクイムシに対し抵抗力があることで著名である。心材は濃色のオリーブグリーンから濃褐色、黒色で褐色又は黒色の不規則な縞を持つ。材は堅くて非常に重く強度が高く、耐久性が高い。肌目はやや精。光沢良く仕上がる。
マリン用構造物、ボート、甲板ほかヨーロッパでは運河の閘門の骨組みに使われてきたという。
 オイルフィニッシュ 素地
     


ジャラ(Jarrah)

フトモモ科(Eucalyptus marginata) 。数百種もあるユーカリ類の一つである。オーストラリア西部の海岸地帯に分布。日本で鉄道枕木に木材が大量に使われていた頃には枕木として使われた。耐久性が非常に高い。材色は深みのある赤色あるいは赤褐色。肌目はやや粗。美しい光沢に仕上がる。
オイルフィニッシュ  素地
     

セランガン・バツ
(Selangan-batu)


フタバガキ科Shorea属Shorea亜属の樹種を指すボルネオでの市場名。インドネシアでは、バラウ、バンキライ(Balau、Bangkirai)、フィリピンでは、ヤカール(Yakal)と呼ぶ。Shorea の中で最も広い分布地域を持つグループで、約50種あると言われる。スリランカ、インド、マラヤ、インドシナを経てボルネオ、フィリピンなどに分布する。重厚で強度に優れ、シロアリや菌には極めて強い。肌目はやや精。
オイルフィニッシュ  素地
     
パープルハート
Purple Heart

バイオレットウッド。マメ科(Peltogyne densifloraを含むPeltogyne spp.)。熱帯アメリカに分布し、27種が知られている。心材は新鮮なときは褐色,大気に触れると紫褐色ないし濃紫色になる。肌目はやや精ないしやや粗。非常に硬く耐朽性が高くシロアリにも強い。
写真の材は紫色の発色が弱いが、鮮やかな淡い赤紫に発色したものは、初めて目にすると自然の色とは思えないほどである。
オイルフィニッシュ  素地
     
ボンゴシ(Bongossi)

オクナ科(Ochnaceae) Lophira alata 。Azobe、Esore[象牙海岸]、Ekki、Hendwi[シエラレオネ]、Bakundu、Bongossi[カメルーン]。カメルーン、ライベリア、ナイジェリア、アイボリーコースト、ガーナ、ガボン、シエラレオネなどが主な産地。心材は濃赤色ないしチョコレート色。極めて重硬で、耐久性が高いことが特徴。シロアリに抵抗性があり、海虫に対しても強い。肌目は粗で木理は交錯し、導管内に沈積したシリカが白又は淡褐色の線として材面に多数見られる。国内での「ボンゴシ」の呼称はドイツ語あるいはスウェーデン語系の国での市場名であるという。
オイルフィニッシュ  素地
     


マニルカラ(Manklkara)

アカテツ科 Manilkara 属の複数の種を指す。南米原産で、材は赤褐色ないし褐色、ジャラの色合いに似る。重硬で耐久性に優れ、肌目は精。寸法安定性があるとされる。
オイルフィニッシュ  素地
     
チーク(Teak)

クマツヅラ科(Tectona grandis)。タイ、ミャンマー、インド、インドネシア産。生育環境により材質にかなりの幅があり、一般にタイ、ミャンマーの天然生チークが最も優良とされる。心材は淡褐色〜黄褐色〜褐色。時に黒色の縞をもつもの(縞チーク)がある。光沢があって美しく、独特の芳香がある。硬い割には加工が容易で、弾力があるので曲げに強い。塩や水に強いほか鉄の腐食を防ぐため古くから造船用材、とりわけ甲板用材として賞用されてきた。
 上記木口面 上記木口面
     チークA オイルフィニッシュ
 見慣れた普通のチーク材。
    チークB オイルフィニッシュ
    (フローリング材)
 こちらは若い人工造林材で、非常に年輪幅が広く、チーク特有の色合いに乏しく、油気も少ない。