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木の知恵 いろいろな木(2)

  興味深い木の個性 外国産樹種編
  

(注) 1 主たる外国産材に関する文献等の記述及び気づきの点を樹種毎に並列的に列挙した。
2 主たる引用文献の略号例は以下のとおり。(参考文献リストは別掲。)
  【須藤】は「カラーで見る世界の木材200種」ほか(須藤彰司)
  【宮本】は「原色インテリア木材ブック」(宮本茂紀,1996)
  【飯塚】は「熱帯の有用樹」(飯塚 肇,昭和36)
  【センター】「熱帯の有用樹種」(農林省熱帯農業研究センター,昭和53)
3 その他,ネット検索による海外の資料も参考とした。


アカシア1 (Acacia)マメ科アカシア属。熱帯地方産。硬くて粘りがあり,衝撃力・曲げにも強い。古代エジプトでは家具,作業台などの工具,棺桶などに使われた。大英博物館に保存されているファラオの椅子もアカシアで作られている。【宮本】
アカシア2 Acacia nilotica)このアカシアは高木で,暗色の幹と枝をもち,明黄色の花をつける。今でもエジプトにはたくさん生えている木である。ファラオの時代には材木に加工され,樹皮は皮をなめすために,葉や花や莢は医薬品としてさまざまに用いられた。【リズ・マニカ】
アフリカでは6変種が確認されている。ファラオの時代から大木がナイル川沿いの森林から切り出された。暗褐色の材は強く耐久性がありチークの倍近く硬く,衝撃に耐え,構造材,坑木,道具柄,荷車に使われる。生材状態で加工するのが最良とされる。
アカシア3 【コメント】国内では公園樹等としてオーストラリア原産のフサアカシア(A.dealbata),ギンヨウアカシア(A.baileyana)等を目にする。黄色い花が満開となったときはまぶしいばかりである。なお,街路樹として広く利用されているニセアカシア(ハリエンジュ)は北米原産で同じマメ科であるが,アカシア属ではなく,ハリエンジュ属である。
アガチス1 (Agathis)ナンヨウスギ科。アガチス Agathis の名は属名そのもの。東南アジア,ニューギニア,太平洋諸島。(マレーシアからオーストラリア,ニュージーランド,フィジーにかけて約20種ほどが知られている。)最も広範囲に分布しているものは Agathis alba 。昔は南洋杉といわれた。建築,建具,家具などに利用され,特に建具としてはドア用材として知られている。家具ではナンヨウカツラの別名があるとおり,カツラの代用として机などの引出しの側板にも使われる。針葉樹というより広葉樹の印象を受ける。赤茶の色合いと細かい点模様からすぐに識別できる。
アガチス2 アガチスからも塗料原料となるコーパル(コパール)樹脂(Copal resin)が採れる。Agathis alba から採れる樹脂をマニラコパール(Mnila Copal)と呼ぶ。
アガチス3 【コメント】折り畳み式のお手頃価格の碁盤,将棋盤はほとんどがアガチスで,これを知ればおなじみの木である。新桂と表示して販売されている場合がある。
アサメラ1 マメ科(Pericopsis elata)。ガーナ・カメルーン・コンゴ産。
アフリカンチークの市場名もある。アサメラ(Asamela=Assamela コートディボアール),アフロルモシア(Afrormosia=Pericopsis 属名),コクロデュア(Kokrodua ガーナ)。硬い保存性の良い材で,チークの代用として床,家具内装材に用いられるというが,チーク特有のしっとり感はない。
アサメラ2 本種は1992年にワシントン条約の附属書Uに掲載された。最終製品を除き,原産国の輸出許可が必要。
アスペン1 ヤナギ科ヤマナラシ属(Populus tremuloides) アメリカヤマナラシ,白楊,ホワイトポプラ。アメリカ,カナダに分布。辺材は白色で,心材の淡褐色から自然に白くなっているので心辺材の区別はしにくい。軽軟材で家具の引出し,ドア,モールディング材,額縁,玩具,合板,パルプ材,割り箸等に利用される。割箸としてのアスペン材の利用は昭和末期より始まったという。
アスペン2 北アメリカで最も広く分布する樹種である。木材は北米の他のほとんどの広葉樹より軽軟で,淡色,木目は素直で均質,無味無臭。
【米国での利用】パルプ,インシュレーションボード,チップボード,ファイバーボード,パーティクルボードに利用され,また構造用フレークボード,家具部材,内装,梱包材,パレット,ランバーコア等にも適している。
アスペン3 【コメント】価格の安い割り箸はほとんどが輸入品となっており,中国製の低価格の割り箸にはアスペンがシラカバと並び利用されている。(2003)
アゾベ ⇒ ボンゴシ
アッシュ1 モクセイ科トネリコ属。
@ホワイトアッシュ:White ash(Fraxinus americana)北米産。ヤチダモ以上に粘りがあり,少し重い。バット材として知られる。
⇒ ホワイトアッシュ
Aヨーロピアンアッシュ:European ash(Fraxinus excelsior)ヨーロッパからコーカサス産。ホワイトアッシュより目が細かくて粘りがあるとされる。
アッシュ2 The English name ash is derived from aesc the Anglo-Saxon name for a spear, once a common use for 'ground ash' as young slender saplings were called.
アニグレ (Aniegre コートジボアール)
アニエグレ(Aniegre),シルバーハート(silver heart),ロンギ(longui ),クンガニーカとも。アカテツ科 Aningeria属,特にA.robusta, A.altissima。東西アフリカ産(シエラレオネからケニヤまで東西アフリカに渡って分布。) 桃色がかった薄い褐色で光沢がある。ツキ板が主力で丸太では市場に出ない。
アピトン フタバガキ科 Dipterocarpus 属の特に重硬な樹種を除く総称。フィリピン,ボルネオ,マラヤに自生。アピトン(Apitong)はフィリピンでの総称で,マレーシア・インドネシアではクルイン(Keruing)と総称する。
トラック、バス等の大型車両用の床・荷台材として,かつてのナラ材に代わって長材が採れる強みで使用される。戦後は住宅の廊下用の縁甲板、学校や体育館の床,電車バスの床は殆どアピトンであったという。海上コンテナーの床板もアピトン床が使われる。
アピトン2 耐朽性は特に高くはないが保存薬の注入がしやすいため,処理をして埠頭,橋,枕木など,床板,羽目板,トラックの車体などの用途がある。
アフリカン・ブラックウッド African Blackwood ⇒ グラナディラ
アフロルモシア ⇒ アサメラを参照
アメリカガキ (Common Persimmon,simmon, possumwood, Florida persimmon)パーシモン。カキノキ科カキノキ属(Diospyros virginiana)。北米東部原産。材は重硬で強く,緻密で,米国ではろくろ製品,かんな台,靴型,シャトルに賞用され,ゴルフ・ヘッドにも最適として利用された。【USDA】
アメリカシナノキ (American Basswood)シナノキ科シナノキ属(Tilia americana)北米北東部に分布。木材を利用する樹木として重要(特に五大湖周辺諸州)で,軽軟な木材は多くの用途を有している。材は家具,子供のおもちゃ,パルプ,とりわけ手彫り彫刻用に賞用される。内側の樹皮はロープをづくりの繊維やバスケット,マットのようなものを編む材料に利用される。なお,本種は蜂蜜の木としてよく知られており,また米国東部諸州都市部では American linden と呼ばれ日影樹として広く植栽されている。
*繊維の利用や彫刻素材としての利用は日本のシナノキと共通している。
アメリカハリグワ オーセジオレンジ(Osage-orange)クワ科(Maclura pomifera )北米産。Bowdark,bois d'arc (wood of bows)とも。切削直後の心材が明るいオレンジ色をしており,果実も黄色系。材は空気に触れると次第に濃色になる。アメリカ先住民のオーセジ族(Osage)はこの木を弓に利用していた。さらに,彼らは根を黄色染料に,根の抽出物を目の炎症治療利用した。またこの木は耐朽性があり,先住民と入植者の両者ともこの木を柱やフェンスに利用した。米国での一般名はオーセジの名と,果実又は木の色に由来する。
アメリカンシカモア1 スズカケノキ科スズカケノキ属(Platanus occidentalis)。アメリカスズカケノキ(American sycamore)セイヨウボタンノキ,プラタナスとも。米国産。街路樹として世界に分布。材は柔らかく加工性はよい。縮み杢の出た材は装飾材として使われる。【宮本】
アメリカンシカモア2 【米国内】Sycamore:東部の落葉樹林で一般的な最も大きい木の一つ。American planetree, buttonwood, American sycamore, buttonball-tree とも。シカモアは木材として重要で,また日陰樹として広く植栽されている。造林実績もある。材は家具の引出側板,運搬箱,木工製品,床板,ベニヤ,パレット,箱,合板,パルプ材,パーティクルボードに利用される。【USDA】
アメリカンシカモア3 【コメント】街路樹,公園樹としてスズカケノキ,アメリカスズカケノキ,及びこれらの中間雑種とされるモミジバスズカケノキはごく身近な存在となっている。日本で最も多く植栽されるのはモミジバスズカケノキで,アメリカスズカケノキは少ない。3種類を植栽している公園として,たとえば日比谷公園,小石川植物園,目黒林試の森公園があり,看板でそれそれの違いを説明している。
アメリカンビーチ1 (American beech)ブナ科ブナ属(Fagus grandifolia)ビーチ,アメリカブナとも。日本産のブナ材とよく似ていて区別しにくい。
(注)日本のブナの学名は Fagus crenata ,ヨーロピアンビーチ(ヨーロッパブナ)は Fagus sylvatica 。
アメリカンビーチ2 【米国内】本種は北米における本属の唯一の種である。ビーチ材はろくろ加工や蒸気曲げ木に最適である。材は床材,家具,ろくろ製品,ベニヤ,合板,枕木,バスケット,パルプ,木炭,荒材とされる。特に,その材が高密度で具合が良く燃えることから燃材として好まれている。ビーチ材から作られるクレオソートは人や動物の様々な病気に対する薬として外用,内服用として利用されている。【USDA】
アユーズ ⇒ オベチエ
アラース Alerce)ヒノキ科(Fitzroya cupressoides )チリ中部,アルゼンチン南部に分布。ほぼ純林を形成。心材は茶色味のある赤色で,薄く淡色の辺材とは明確に区別できる。材のキメは細かく均一で繊維は直で年輪は通常狭い。カリフォルニアレッドウッドに似る。屋根葺き板,一般建築,鉛筆,楽器部材,大樽,タンク,ランバーコア,家具部材
アルダー1
(オルダー、レッドオルダー、)
(alder)オルダー(red alder,western alder,Oregon alder)。カバノキ科ハンノキ属(Alnus rubra),北米産。アメリカハンノキとも。発音はオールダであるが,木材としての流通上は一般にアルダーと訛っている。製材として米国から輸入される。日本産ハンノキに似る。建築部材,家具・建具の芯材として利用する。米国では家具,サッシュ,ドア等に用いられているという。腐りやすい欠点があるので、屋外利用は不適とされる。
(注)スモーキングチップとしての本種の国内での呼称は「オールダー」が一般的となっている。
アルダー2 軟らかく粘りがない。材の面は平滑で,加工性がよく,仕上げが容易だが,裂けやすい。強度が必要な箇所,例えば脚物には不向き。箱物には適している。
アルダー3 【米国内】 Red alder レッドオルダー:Oregon alder, western alder, Pacific coast alder とも。レッドオルダーは米国北西部太平洋岸地域の最も一般的な広葉樹である。比較的短命の先駆樹種で伐採や山火事の後にしばしば増加する。先住民はこの木でカヌーを作り,また,内皮から赤い染料を抽出して漁網を染めた。この木は鮭を燻煙するのに最良の燃料とされている。かつては経済的評価は低かったが,現在は沿岸部の森林地域では重要な広葉樹である。ムク材で家具,キャビネット,収納箱,パレットに,そのほか合板,フレークボード,紙類などの製品にされる。オルダーは一般的な燃材で,暖炉とストーブの両方に使用される。幼齢期の成長が早くて成林する能力があることからエネルギー転換のためのバイオマスとしても評価されている。川の堤防の浸食防止や森林内の道路端にも植栽されている。【USDAほか】
アンベロイ (amberoi パプアニューギニア)。アオギリ科(Pterocymbium beccarii)。ニューギニア等。同属の似た樹種が広く分布している。材は軽軟で,芯材等に利用する。
イースタンレッドシーダー ⇒ エンピツビャクシン
イエローターミナリア シクシン科ターミナリア属のうちの一種(Terminalia calamansanai)。ターミナリア属の樹種は約200種あって,商業用材とされるものは色によって区別して取り扱われることが多い。マレイシア,フィリピン,ニューギニア,ソロモン群島などに分布。芯材,梱包材等。
イエローメランチ フタバガキ科。産地によりイエローメランチ[マレーシア,インドネシア],イエローラワン[フィリピン],イエローセラヤとなる。約30種あるとされる。合板に大量に使われるが,メランチ類の中では低い評価を受けることが多い。
イエローバーチ (Yellow Birch)カバノキ科カバノキ属(Betula alleghaniensis)北米原産。gray birch, silver birch又は swamp birchとも。
・イエローバーチは北米原産のカバ類で最も価値があり,広葉樹材として重要な資源となっている。名前の由来となった黄色みを帯びたブロンズ色の薄い樹皮で簡単に識別できる。米国内で,材と単板は家具,内装パネル,合板,キャビネット,箱,木製品,柄,室内ドアに利用される。また,アルコール,アセテート,木炭,タール,オイルの製造に使われる広葉樹のうちの一つの主要な樹種でもある。【na.fs.fed.us】
・バーチ・タールは皮膚に対する刺激性があり,発癌性の炭化水素が存在する可能性があるため,もはや奨められない。【innvista.com】
イゾンベ (Izombeガボン,Izombeカメルーン) ヌワキ(N'gwakiコンゴ)。オクナ科(Testulea gabonensis)。中央アフリカ産。色の薄い黄桃色ないし黄土色。仕上げはきれいで,ツキ板として使われる。
イペ (Ipe)ノウゼンカズラ科Tabebuia属。(Tabebuia serratifolia を含むTabebuia spp.)。チリを除くほとんどの熱帯アメリカに分布。約20種が知られている。心材は新鮮なときは黄緑色であるが,時間の経過とともに,やや緑色を帯びた褐色になる。この類の特徴は,導管の中にラパコールと呼ばれる黄色の物質が充填されていることで,これによってほかから区別できる。病害虫,シロアリに対する抵抗性は高いが,海虫に対しては弱い。製材の際,ラパコールが多いときには皮膚炎を起こすことがある。非常に重硬。非常に高い強度,耐久性が必要な橋,埠頭,ドック,デッキ,床板(激しく使用する用途,工場の床など),車体,さらにろくろ細工,器具柄,ステッキ,弓,釣竿などに利用される。【須藤】
パウ・ドアルコ・アマレロ(Pau-d'arco-amarelo)はTabebuia serratifoliaにつけられたブラジルの代表的な名称である。
インセンスシーダー1 オニヒバとも。(Incense Cedar)ヒノキ科ショウナンボク属/リボケドルス属(Libocedrus decurrens)又はカロケドルス属 (Calocedrus decurrens)又はオニヒバ属。California Incense-cedar とも。米材。春夏材の硬さの差が小さく削りやすいにで,かつての鉛筆用材の王者エンピツビャクシン((イースタン・)レッドシーダー)にとって代わった。そのため,この木はペンシルシーダーとも呼び,鉛筆材のシェアの90パーセント以上を占めている。耐水性があるため米国では各種エクステリアに広く利用されているという。
インセンスシーダー2 【米国内】本種は米国シエラネバダの針葉樹林の特徴的な構成種である。米国原産の本属唯一の種である。インセンスシーダーの心材は腐朽に対する際だった抵抗性があり,湿気がある屋外での利用に最適である。戸口の敷居,窓サッシュ,漆喰や化粧煉瓦の下地,温室ベンチ,フェンス,杭,格子として手間を掛けずに長持ちする。また,この材は耐久性に加えて寸法安定性があり塗料の乗りもよいことから,外装サイディングとして広く利用されている。また内装パネルや木工用にも好まれる。この材は柔らかくて削りやすく繊維が素直なため,鉛筆の製造に最適である。生産された最上級の材の多くはこの用途に向けられる。【USDA】
ウェスタンレッドシーダー ⇒ ベイスギ
ウェンジュ Wenge(ウェンジ,ヴァンジェ,バンゲエとも)。マメ科(Millettia laurentii)。コンゴ,ザイール,カメルーン,ガボンに分布。心材は黄褐色の地に黒褐色の縞を持つ。唐木として扱われる。床の間周り,内装材,化粧用単板,合板等などに利用。
ウォールナット クルミ。我が国でも好んで使われ,大半はアメリカから輸入しているブラックウォルナットである。国産はオニグルミ,(サワグルミ),外国産はヒッコリー,ブラックウォルナット。
⇒ ブラックウォールナット参照
ウリン1 (Ulin)クスノキ科(Eusideroxlon zwageri)インドネシア原産 。ビリアン/ボルネオ鉄木(アイアンウッド)/マランガイ とも。インドネシア・ヨーロッパでは,昔から鉄木(アイアンウッド)と呼ばれ親しまれてきた世界で最も強い木のひとつ。シロアリに侵されず,フナクイ虫等に対しても抵抗性があり,水中・海中に使える唯−の木である。主要用途は,床材・港湾材・重構造材・橋梁材・柱脚材 等
ウリン2 ボルネオ,インドネシアの島々フィリピンなどに分布。材は硬いが,縦方向には斧や鉈で簡単に割ることが出来る。ボルネオではこの薄板を重ねて屋根に利用しているのが見られる。この屋根葺きのこけら板をシラップウリンという。また,現地では胡椒栽培の支柱としても利用されている。心材は黄褐色ないし赤褐色。心材は非常に耐久性が高く,海虫に対する抵抗性がある。海中の杭,桟橋,造船,屋外家具にも使われる。日本でデッキパネルの利用がある。【須藤】
エカバ (Ekaba)マメ科(Tetraberlinia tubmaniana, T.bifoliolata)。カメルーン・コンゴ産。高級な白ラワンの雰囲気がある。内装材。日本での利用の歴史は浅い。【宮本】
エッキ ⇒ ボンゴシ
エビアラ (Ebiara)マメ科Berlinia属の主としてB.bracteosa, B.acuminata。赤道アフリカ産。心材は桃褐色ないし赤色。色の経年変化が少ない。唐木細工,装飾材用。ツキ板,ロータリー単板として用いられる。
SPF
(カナダ)
ホームセンターでもSPF材として販売されている。単一の樹種の名称ではなく,Spruce(トウヒ類),Pine(マツ類),Fir(モミ類)の 略である。主要な樹種はホワイトスプルース(Picea glauca),エンゲルマンスプルース(Picea engelmanii),ロッジボールパイン(Pinus contorta),及びアルパインファー(Abies lasiocarpa) の4樹種である。その他ブラックスプルース(Picea mariana),バルサムファー(Abies balsamia),ジャックパイン (Pinus bankusiana)が一体となっている。
SPF
(アメリカ)
アメリカ産の SPFは,主要樹種は、エンゲルマンスプルース(Picea engelmanii),シトカスプルース(Picea sitchensis),ロジポールパイン(Pinus contorta)の3樹種だが,その他ジャックパイン、バルサム プアー,イースタンスプルース,ノルウェーパイン等がある。
エヨング (Eyong,Okoko,Yellow sterculia)エイヨング,シロタガヤ,オココ。アオギリ科(Sterculia属=Eribroma属 oblonga,S.elegantiflora)。西アフリカ産。タガヤサンを白くした雰囲気の材。内装材,特に白い材としてロータリー,スライス用原木とする。
エンピツビャクシン ヒノキ科ビャクシン属(Juniperus virginiana)北米東部原産。米国ではイースタンレッドシーダー(Eastern Red Cedar)。 RedJuniper , savin とも。心材は美しいピンク色で,次第に赤褐色に変化する。日本ではかつてはこの材で鉛筆を製造した。米国では,材はフェンス,シングル,家具,鉛筆に利用され,シーダーオイルは医薬品,香料とされる。この材の箱には防虫効果があるとう。
オーストラリア鉄木 モクマオウ科Casuarinaceae モクマオウ属 Casuarina )はオーストラリアを中心に約45種が分布し,東南アジア,ポリネシア,アフリカ東部に少数種がある。これ1属でモクマオウ科を形成する。特に近縁な群の見あたらない特異な植物である。この科の材はたいへん堅く,オーストラリア鉄木あるいはポリネシア鉄木と呼ばれるほどであるが,加工が困難である。根瘤を持ち,やせ地に耐えるので,特に海岸の砂地に植えて,防風防潮林とする。【百科】
英名の beefwood は 心材の色が牛肉のようなことに由来するという。【満久】
オーストラリアヒノキ ⇒ ハードサイプレス
オウシュウアカマツ1 ロシアアカマツ,スコッチパイン(Scotch pine 英語名),レッドウッド(Red wood ヨーロッパでの市場名,日本での業界名)。マツ科マツ属(Pinus sylvestris)ヨーロッパからロシアのシベリア地方まで広く分布。材質はアカマツと同様で用途も同様。大径で形質がよいので高く評価される。【須藤】
スウェーデン,フィンランドから輸入されており,ホームセンターでも並べている。
オウシュウアカマツ2 【コメント】木目が細かくて薄いピンクがかったものは,上質のヒノキと見間違えそうである。
オウシュウトウヒ ⇒ ヨーロッパトウヒ
オバンコール オバンコール(Ovangkol ガボン),アマザクェ(Amazakoue コートディボアール)。マメ科(Guibourtia ehie)。西アフリカ産。心材は黄褐色からチョコレート色で灰色ないし黒色の縞がある。高級家具用材。ヨーロッパではローズウッドの代用として人気があという。着色すると上質のローズウッドに見える。漂白してウォールナット色に着色してクルミの代用として使う場合もある。【宮本・センター】
オベチエ オベシエ(Obeche),アユース(Ayous)。アオギリ科(Triplochiton scleroxylon)。西アフリカ産。薄いクリーム白色。軽軟な材で仕上がりはよくない。軽木工材としては極めて優れた材である。板材,枠材等等室内装飾材としてよく用いられる。内装用の木摺,家具の板材にもよい。合板利用も知られる。加工の際,粉塵でアレルギーを引き起こすことがあるので注意が必要。【センターほか】
オリーブ モクセイ科オリーブ属(Olea europaea)。アフリカ又はシリア・トルコ原産で,欧州南部で栽培される。心材にはマーブル模様の柄があり,板目面に美しい模様が出る。材にも油分が多く,加工の際に手がべたつく。家具のほか,キッチン用品(スプーン,レードル,サラダセット,大小ボウル,まな板等)も見られる。製品は素地の仕上げで,オリーブ油等の植物油で手入れする。木材の利用としてはそれほど一般的ではない。
カナリー カナリー(Kenari インドネシア),ケドンドン(Kedondong マラヤ,サバ),カナリューム(Canarium⇒Canrium属),ケドンドン(kedondon)。カンラン科。カンラン科の樹種は,材質的によく似た性質を互いに持っているために,各地で共通した総称名がつけら得ていることが多い。【センター】東南アジア・太平洋諸島・オーストラリア北部・アフリカ産。ラワン合板の心材,梱包用材,引き出しの側面板などに使われる。
カプール (Kapur)フタバガキ科(Dryobalanops aromatica ほか)。スマトラ,マラヤ,ボルネオなどに分布。樟脳様の匂いを有するものが多い。このため市場名に「ボルネオカンファーウッド」(Borneo camphor wood)の名がある。現地読みではカポール。フタバガキ科。アピトンに代わって注目され,これまでの構造材に加えて,家具,表面材にも利用されている。
カメレレ (Kamerere,Kamarere パプアニューギニア )。フトモモ科ユーカリノキ属(Eucalyptus deglupta)。パプアニューギニア,インドネシア,フィリピン。ユーカリの本場のオーストラリアには殆どのユーカリが生育しているが,カメレレは分布していないという。好適立地のところでは樹高80m,胸高直径2mを超える大木となる。早生樹であるためパルプ用材として各地で植林されている。生長量は条件により異なる。造林木は軽軟。天然木は家具芯材,箱,梱包,パレットなどとし,造林木はパルプ原料が主。
唐木1 唐木とはシタン,コクタン,タガヤサン,カリンなど南方から輸入された硬質材を総称し,もと中国を経て渡来したのでこの名がある。
唐木2
【唐木等の科】
シタン,カリン,タガヤサン,ローズウッド ⇒ マメ科
コクタン   ⇒ カキノキ科
マホガニー ⇒ センダン科
カリン1
花櫚
ナラ,ナーラ(Narra フィリピン ),パドウク(Padauk ミャンマー)。マメ科(Pterocarpus indicus)東南アジアからニューギニアにかけて広く分布し,その木材がシタン(紫檀)やコクタン(黒檀)とともにいわゆる唐木(からき)の一つとして知られる。心材は紅褐色〜赤褐色・黄褐色まで材色の変化が大きい。古くから床柱など建築装飾材,家具,細工物,彫刻,楽器(三味線胴など)に賞用され,今日では和風,洋風を問わず高級材としての用途が広い。
和名でカリンと呼ばれる植物には,マメ科のカリン(花櫚)とバラ科のカリン(花梨)とがあり,しばしば混同されるが,同名異物である。【百科】
カリン2 着色仕上げの方法によっては,紫檀と同じように仕上げることができる。【梅田】
カリン3 【コメント】重量級のムクの座卓としては定番商品である。
カンボジアマツ カンボジア産。かつてメルクシマツの天然林のものが日本にも輸入され日本のアカマツの代用として使われ,カンボジアマツと呼ばれていた。
床柱にも適した。人工林ものは天然林に及ばない。
⇒ メルクシマツ を参照。
キララ ⇒ レンガス(Rengath)を参照
(注)キララの名の由来は不明。この名称は現在は使われていない模様。明治期には使用されている。
グラナディラ1 Grenadilla グレナディラの方が音は近いと思われるが,楽器業界(国内で製造しているヤマハを含む)では慣用的に「グラナディラ」と呼んでいる例が多い。この名称は複数のアフリカ産の黒色の木材を指すが,通常はマメ科ツルサイカチ属の Dalbergia melanoxylon (ダルベルギア・メラノキシロンMpingo としても知られる。)を指し,主としてオーボエクラリネットといった楽器の製造に使用される。かつては他の木材が使用されて,その木材がグラナディアと呼ばれていた。【Wikipedia ほか】
グラナディラ2 (Dalbergia melanoxylon ダルベルギア・メラノキシロン African Blackwood
その他の名称としては,Mpingo(タンザニア),Grenadilla(モザンビーク)等分布各国の名称がある。分布は,スーダン,モザンビーク,アンゴラ,ナイジェリア,セネガルのサバンナの広い範囲に及ぶ。木材の心材は黒い縞のある暗紫褐色で,薄い辺材は黄白色であり,両者はっきり区別できる。材はきめが細かく均一で,やや油味がある。主として木管楽器の製造に利用されるが,その他のろくろ製品,ブラシの背,ナイフ柄,ステッキ,象嵌,彫刻等にも利用される。【USDA】
グラナディラ3 African Blackwood
アフリカン・ブラックウッドは,その油気のある性質と外的条件の変動に耐える点から,木管楽器の製造用としては黒檀よりも優れていると評価されている。この材はろくろ加工に最も適したもののひとつであるとされ,滑らかな光沢のある仕上がりとなる。木管楽器の製造には金属加工用の道具が望ましい。【Woodworkers Source.com】
グリーンハート1 (Green heart)ベベレ(Bebeere,Bibira 等 ガイアナ)。グリーンハート(Green heart)とは,クスノキ科 Ocotea rodiaei の心材に付けられたイギリスの商品名で,フナクイムシに対し抵抗力があることで著名である。心材は濃色のオリーブグリーンから濃褐色,黒色で褐色又は黒色の不規則な縞を持つ。ガイアナのグリーンハートといわれているほど,ガイアナ北中部が主産地で,スリナム,ブラジルにも分布する。材は堅くて非常に重く強度が高く,耐久性が高い。微粉で粘膜アレルギーを起こす人がいる。ヨーロッパの運河の閘門の骨組みはこの材で,ドック,水門,埠頭,床材,デッキ,桟橋,船の外板,等に使われる。【センター,須藤】
グリーンハート2 重く,あらかじめ材に穴をあけておかないと木ねじが入らないほど硬い。衝撃に強い。構造材,外用材として使われ,内装材には使用されない。【宮本】
クルイン  ⇒ アピトンを参照
ケンパス1 (Kempas)クンパスとも。マメ科(Koompassia malaccensis)。マラッカ原産でタイ・インドネシアに分布。心材は赤褐色。粘りがあり強いので,脚物に使われる。【宮本】
防腐剤の注入は容易で,日本では防腐処理をして枕木として多く利用されてきた。
環状の異常組織(材内師部)のために乾燥に際して裂けがでやすく,釘打ちによる割れも生じやすいが,強度的性質は高く,仕上がりも良好である。【センター】
ケンパス2 【コメント】某スーパーでもケンパス製(加工は中国)の30p四方のデッキパネルを大量に販売していました。(2003)
コウキ
紅木
 ⇒ レッドサンダーを参照
コクタン1
黒檀
エボニー(Ebony)。カキノキ科カキノキ属 Diospyros の樹木には黒色の心材を有するものがあり,これをコクタンと総称する。インド,タイ,ミャンマー,スリランカ産。シタン,タガヤサン,カリン(花櫚)などとともに代表的な唐木(からき)の一つで,床柱,框(かまち),和机,飾棚,仏壇,茶だんす,ブラシ柄,細工物,美術工芸品,楽器(ピアノの鍵盤,バイオリンの糸巻など),神,そろばん枠などに賞用される。材質が緻密で,きわめて重硬である。しかし重硬な割に加工しやすく,狂わない。色調によって通常つぎのように区別される。(1)本黒檀 全体漆黒色で光沢がある。(2)縞黒檀 黒色と灰褐色または帯紅褐色が縞をなす。 ふつうやや低く評価される。(3)青黒檀 やや青緑色を帯びた黒色。光沢は少なく,最も重硬。(4)斑入黒檀 黒色と黄褐色 が大理石またはメノウに似た美しい斑模様をつくる。最も高価。日本のカキやマメガキなどの心材にも黒色の縞模様が認められることがあり,これを「黒柿」といって装飾用材として珍重する。【百科ほか】
コクタン2 日本では伝統的に縞黒檀,青黒檀,斑入り黒檀などと分類して取引してきているが,これを厳密に樹種と結びつけることは難しいようである。【須藤】
コクタン3 本黒檀:D.ebenum
縞黒檀:D.rumphii がよく知られている。
青黒檀:D.mollis がよく知られている。
斑入黒檀:D.marmorata が代表的なものとされている。D.celebica も同様の材面をもつ。【須藤】
ココボロ (Cocobolo)マメ科(Dalbergia retusa)。メキシコ・コロンビア産。ローズウッドの代用。高級ナイフの柄,宝石箱などの小物類などに使われる。商業的には同属他種のものを含めた名称となっている。加工中に生じる細粉で皮膚に炎症を生ずることがあるという。
コットンウッド1 (cottonwood)ヤナギ科ヤマナラシ属(Populus deltoides)。アメリカクロヤマナラシ。コットンウッドの名は,コットン(綿)や雪のように空中を舞う成熟した種子の白毛に由来する。【ブリティッシュコロンビア州政府】
広島県福山市松永町で下駄を大量生産していた時代は、この材を素材として利用していた。
コットンウッド2 【米国内】Eastern cottonwood :米国東部の最も大きな広葉樹の一つであるイースタンコットンウッドは,寿命は短いが北米で成長が早い経済林樹種である。軽くて柔らかい材は主として家具の芯材やパルプ材として利用されている。この木はこれらの目的のために造林され育てられている数少ない広葉樹の樹種の一つである。なお,この木は日影を早く作ることができるため,家の近くによく植えられる。この場合綿毛を飛ばさない雄木が好まれる。また,土壌や水の条件が川沿いや土手と同様であれば土壌の安定化にも適している。
ゴムノキ ⇒ ラバーウッド
サイプレス イトスギ。ヒノキ科イトスギ属 Cupressus sempervirens 。南ヨーロッパ,西アジア原産。一般名はMediterranean cypress, common cypress, Italian cypress。サイプレス油はエセンシャルオイルとしても知られている。地中海地方でひろく見られる。フェニキア人とクレタ人はこの木材を使用して家を建て、船を建造した。エジプト人はこれを使って棺を製造した。
ササフラス1 クスノキ科(Sassafras albidum )。アメリカ東部産。Sasafras , Golden elm 壁材,家具材として使用されるが,強度を要求する箇所には使えない。ツキ板でも出回っている。香りがよく,根からはササフラス油が採れ,石鹸の製造原料となる。【宮本ほか】
ササフラス2 【米国内】white sassafras とも。オレンジ色の材はcooperage,手桶,杭,家具の利用されてきた。(柔らかくて脆く軽い材の市場価値は乏しいが,根の樹皮からは茶ができる。葉はスープにとろみを付けるのに利用する。根の樹皮から抽出されるオイルは石鹸の香り付けに利用される。
サザン(イエロー)パイン アメリカ南部諸州の広い地域に人工造林されたダイオウマツ,ショートリーフパイン,テーダマツ,スラッシュマツの総称で,40年生前後の比較的中小径のものが供給される。黄色がかって木目がはっきりとしている。国内でも木製ジェットコースターはすべてこの材で作られている。
サテンウッド1 (Satin wood)サテンのような質感を持つことからこの名がある。ローズウッドとともに家具装飾材として有名である。材は磨けば光沢を生じ,極めて美しい。ローズウッドやマホガニー等の濃い色の木とのコンビネーションは一般的。次のような種類がある。【飯塚ほか】
サテンウッド2 ・West-Indian satin wood(Zanthoxylum flavum)ヘンルウダ科。熱帯アメリカ産。
・East-Indian satin wood(Chloroxylon swietenia)ヘンルウダ科。スリランカ,インド産。
・Andaman satin wood(Murraya exotica)ヘンルウダ科。熱帯アメリカ産。
・Brazilian satin wood(樹種不明)ブラジル産。
・Pao setin又はPao Amello(Euxylophora paraensis)ブラジル産。
・Satine又はBois de feroles(Brosimum paraense)南アメリカ産
サトウカエデ1 サトウカエデ,ハードメープル。カエデ科カエデ属@(Acer saccharum)シュガーメープルSugar maple,Sugar tree,Rock maple,A(Acer nigrum)ブラックメープルBlack maple,Black sugar maple,Sugar maple。カナダ東部,アメリカ中西部・北東部に分布。北米産カエデのうち最も有用で蓄積の多い樹種。いわゆるハードメープルで,材質,用途はパーシモンに似ているが,ヴァイオリン裏板としては随一。その他ピアノのウッドフレーム,家具,鉄道枕木などに広く使われる。ボーリングのピンやアレイ床材としても利用。北米ではシロップ採取の目的でこの木を育成している。カナダのシンボル。
サトウカエデ2 まれに鳥眼杢を示し,これをバーズアイメープルと呼ぶ。
⇒ バーズアイメープルを参照
サペリ (Sapelli カメルーン),(Sapelewood 英)。センダン科(Entandrophragma cylindricum)。中央アフリカ産。長い間唐木細工用材として扱われてきた。赤色の材として重要な樹種。心材は桃色,赤色,赤褐色で,全体にマホガニーより黒っぽくて光沢がなく,色むらが多い。化粧単板として家具等に。マホガニーとは属は異なるが同じセンダン科で,マホガニーの代用としても利用される。
サンタマリア サンタマリアは,オトギリソウ科のCalophyllum brasiliense を代表とする同属の数種の木材の商業名である。メキシコ南部からエクアドル,ペルー,ボリビア,ブラジル,ギアナ,西インド諸島に分布。心材はピンク色からレンガ色。水湿に強く耐朽性が高い。床の下回り,港湾関係の土木(水工用)材として,また家具材に,ツキ板でも使われる。
シカモア ⇒ @アメリカン・シカモア
⇒ Aシカモア・メープル
シカモアメープル1 カエデ科カエデ属(Acer pseudoplatanus)セイヨウカジカエデ,Sycamore maple 。* pseudo は「偽の」の意味の接頭語。ヨーロッパ中部及び西アジアに分布。材の色は白く絹のような光沢がある。時に美しい縮み杢(チヂミモク,カーリー杢とも)を有す。高級家具,楽器材,内装造作材,室内装飾建具,フロアーなど。古くからストラディバリウス等の高級なヴァイオリンやギターの裏板(裏甲、裏甲板)として使用されたことで有名。
シカモアメープル2 バイオリン裏板は旧ユーゴスラビア、ボスニア地方のバルカン山地産のシカモアメイプル(セイヨウカジカエデ)(Sycamore Maple)Acer pseudoplatanus が最良とされてきた。
シタン1
紫檀
マメ科ツルサイカチ(ヒルギカズラ)属 Dalbergiaの木材で,コクタンやタガヤサンとともに古くから唐木(からき)の代表として建築装飾材(床柱,床がまちなど),家具,細工物,彫刻,楽器(三味線の棹など)に賞用されてきた。いくつかの種が紫檀の名で利用される。一般にローズウッド rosewood の名で知られる。
シタン2 我が国において古来,シタン(紫檀)と呼ばれて唐木の一種として珍重されているものは Dalbergia 属と Pterocarpus 属にまたがっており,本紫檀紅木紅木紫檀),手違紫檀などと呼ばれている。【センター】
シタン3 本紫檀としている代表種は タイローズウッドThailand RosewoodDalbergia cochinchinensis紅木(こうき)又は紅木紫檀としているのはレッドサンダー Pterocarpus santalinus で,手違紫檀チンチャン(Ching-chan)Dalbergia oliveri (後出)を指す。
シャムガキ1   暹羅柿。ギター材としても知られているが,種名,学名に関する情報がない。(Cordia dodecandra)であるとする情報があったが,これはメキシコ・中南米産の貴重材でタイに分布するとの情報はない。昔から知名度が高い木材であるが情けない!!
シャムガキ2 
代替  
ゼリコーテ
ゼリコーテ Ziricote。ムラサキ科(Cordia dodecandra )メキシコユカタン半島,ベリーズ,ガテマラ産の希少な木材で,市場ではもはやまれにしか見られない。柾目面に非常にはっきりした放射状の斑紋を持つコクタンに似た美しい木材で,しばしば豪華な縞状・蜘蛛の巣状の模様を見せる。クロガキの代用としても使われる。高級家具,キャビネット,ろくろ用,床,ロータリー・スライスベニヤとして利用。商品としてギター,スイッチパネルもある。
シャムツゲ1 アカネ科の落葉高木。タイ,ミャンマー,カンボジアに分布する。植栽もされる。散孔材。高さ9m。材色は黄色。木理均一。将棋駒では中級品用の原木で,印鑑,櫛にも利用される。「暹羅(シャムロ,シャム)黄楊」とも表記。
シャムツゲ2 ツゲの代用材として輸入されることがあるシャムツゲ(タイツゲ)は,ツゲ属ではなく,アカネ科のクチナシ属(Gardenia sp.)のものと思われる。【平井・飯塚】
シャムツゲ3 アカネ科(Rubiaceae)クチナシ属(Gardenia)
G.collinsaeG.pterocalyxG.resiniferaGardenia spp.一般には産地の名+Gardenia 又は Boxwood などと呼ばれることが多い。材は乳白色ないし淡黄白色を示す。彫刻用材,Boxwood と同じ用途に用いられる。【須藤】
ジャラ1 (Jarrah)フトモモ科(Eucalyptus marginata) 。数百種もあるユーカリ類の一つである。オーストラリア西部の海岸地帯に分布。日本で鐵道枕木に木材が大量に使われていた頃,枕木として使われた。比較的淡泊な材面を持つことの多いユーカリの中では,材面の装飾的価値が高く,オーストラリアでは家具やパネルにされている。
耐久性が非常に高いので,埠頭,橋梁,杭,枕木屋根,羽目板,造船,単板,薬品の駅糟に,また,材面の装飾的な価値を利用して,家具,壁パネルなどにも使われている。【須藤】
ジャラ2 【コメント】デッキ材として名前はおなじみとなった。
朱血木(しゅけつぼく) 塗り箸の素地として比較的一般的に利用されていて、中国産の赤みを帯びた材として認知されているが、若狭箸工業協同組合や森林総合研究所に聞いても学名は不明である。中国での一般的な呼称はこれとは異なる可能性が高い。日常のミステリーである。
ジェルトン (Jelutong)ゼルトン。キョウチクトウ科(Dyera costulata及びD.lowii)。東南アジア産。材は白色〜淡黄色。耐朽性が低く,虫も付きやすい。合板芯材,ハイヒールのかかと,家具の芯材,引出の側板などに使われ,製品になっても表面に出てこないことが多い。近年鉛筆にも利用されている。樹液から天然チクルが採れ、チューインガムの原料となるため,このことの方が有名。
ジョンコン (Jongkong)メダンタハック。ノボタン科(Dactylocladus stenostachys)。インドネシア産。淡橙褐色〜淡桃褐色。黒い樹液が浸みた1〜5ミリ程度の濃色の孔が傷のように映るため,家具芯材,引き出しの側面板,コンクリートの固定材,その他表面に出ないような用途に用いられることが多い。家具の芯材・枠材に用いる理由の一つは虫の害を受けにくいことにある。【須藤ほか】
シルキーオーク1 (Silky-oak,silk oak, silky oak, he oak, silver oak, spider flower)オーストラリア産。Lacewood(米国),Southern silky oak(オーストラリア)とも。オークの名が付くがヤマモガシ科(Grevillea robusta)でオークの仲間ではない。ヨーロッパでは昔から装飾材として使用。大きい放射組織が柾目面で切削をする際に壊れることがある。【宮本ほか】
シルキーオーク2 上記種とは別にオーストラリア北部産で,Nrthern silky oak と呼ばれる同じヤマモガシ科の種(Gardwellia sublimis)がある。地域的に建築内装,合板,家具等に利用されるという。
シルバーオーク (Silver oak)ブナ科。北米・ヨーロッパ産。日本のミズナラに雰囲気がよく似ている。加工性はよい。ミズナラの代用として使われる。【宮本】
⇒ 種名要確認。英語名としての silver oak は不明。
シルバー・ハート ⇒ アニグレを参照
沈香1 じんこう。(Aloes lignum,Aloe wood,Eagle wood,Agila wood)沈香は樹幹の腐朽によって材部に含有する樹脂の凝固したもので,ジンチョウゲ科 Thymelaeaceae の Aquilaria 属及び Gonystylus属から得られるもので,後者は品質が劣る。【飯塚】
沈香2 Gonystylus属はスマトラ,ボルネオ,マラッカ,フィリピン,マラヤなどに産し,ボルネオに最も多く,上級品はシンガポールから出材する。【飯塚】
沈香3 Aquilaria 属は中国,コーチンシナ,マラヤ,スマトラ,ニューギニア,フィリピン,ビルマ,インドなどに分布し,このうち沈香を産するものは A.agallocha及びA.malaccennis で,前者は品質最良で,中国の伽羅(キャラ)はこれである。また,後者(マラッカ沈香)はマレー半島及び群島に産し,品質は前者に比べて劣る。A.agallocha は常緑高木で,枝又は幹の内部に暗色の樹脂状物質を含むことがあり,これが沈香である。【飯塚】
沈香4 沈香の採取には生木を伐倒して樹脂を採取するものと,生木を伐倒して森林内に放置するか又は生木,枯木を土中に数年埋めて腐朽させ,腐朽しない樹脂を含む材のみを採取するものとの二様がある。【飯塚】
スネークウッド レターウッド(Letterwood)とも。Moraceae(クワ)科。Piratinera guianensis(= Brosimum guianensis)はスネークウッドを生産する代表的な樹種として知られている。中央アメリカ,南アメリカ北部,ベネズエラ,ブラジル,ボリビアの諸国とギアナ地域などに分布。スネークウッドの名は,この材に不規則な黒色のまだらがあって,それが蛇(snake)の鱗のようであること,レターウッドの名も模様が文字(letter)に似ていることによるものである。代表的な利用はステッキで,その他傘の柄,象嵌細工等に利用する。ステッキとしては全体に斑点があるものが最高級品とされる。Leopardwood(レパードウッド)ともいう。
スパニッシュシーダー センダン科Cedrela 属の数種(7種とも)を総称する場合と,同属のCedrela odorata を指す場合がある。中南米産であり,名前に反して全く Spanishではない(旧宗主国ではあるが)し,Cedar(スギ類)でもない。熱帯種では少ない環孔材。
⇒ セドロを参照
⇒ トゥーン,レッドシーダーを参考参照
スンカイ Sungkai クマツヅラ科(Peronema canescens)ボルネオ島中央部原産。材は淡褐色で,年輪に似た生長輪が見られる。家具,キャビネット,ベニヤ(薄板)に利用される。
セドロ1 (Cedro)セドロは Cedrela 属の樹木に付けられた,ラテンアメリカの代表的商業名である。 Spanish Cedar, West Indian Cedar,Mexican cedar,Cigarbox cedar,Red cedar とも。Cedrela 属(センダン科チャンチン属)の樹種は,中央アメリカ,南アメリカ,アジア,大洋州にわたり分布している。【センター】
⇒ レッドシーダー(Cedrela toona)を参考参照
セドロ2 (Cedro)センダン科チャンチン属(Cedrela odorata )中南米原産。英名:cigar box cedar, Mexican cedar, West Indian cedar, Spanish cedar, Barbados cedar,Cuban cedar  スペイン語名:cedro cubano 。センダン科のなかではマホガニーとともに最も有用な材。心材は赤みがかった褐色で芳香がある。材は耐候性があり屋外構造材に利用されてきた。ベニヤに適す。家具,キャビネットのほか,欧米では昔から葉巻の箱材として利用され,シガーボックスシーダーの名がある。人工造林も行われている。なお,本種は2002年にコロンビアとペルーによってワシントン条約の附属書Vに追加された。【飯塚・センターほか】
セドロ3 この呼称は中米,南米産のチャンチン属のすべてに使われる。このうち,Cedrola odorata が代表的。材は耐朽性が高く,家具材として優良なものの一つにあげられる。世界的に最も有名な用途は葉巻煙草の箱で,その他建築,装飾材,キャビネット,器具材などに用いられる。また合板にも利用される。【平井】
ゼブラウッド 英名 アフリカンゼブラウッド(African Zebrawood)又は ゼブラノ(Zebrano)。ほかにザンガナ(Zingana),ゼブラ(Zebra)。マメ科(Microberlinia brazzavillensis)。西アフリカ産(ガボン,カメルーン)。心材は淡褐色から暗褐色で,これに黒〜褐色の不規則な縦縞が縦断材面に出て美しい模様をなす。トチノキのようなチリメン模様がある。縞模様を生かして家具,調度品とする。
セラヤ インドネシアでのラワンの呼称
⇒ ラワン参照
セランガンバツ1 フタバガキ科Shorea属Shorea亜属の樹種を指すボルネオでの市場名。インドネシアでは,バラウ,バンキライ(Balau,Bangkirai),フィリピンでは,ヤカール(Yakal)と呼ぶ。Shorea の中で最も広い分布地域を持つグループで,約50種あると言われる。セイロン,インド,マラヤ,インドシナを経てボルネオ,フィリピンなどに分布する。重厚で強度に優れ,シロアリや菌には極めて強い。重構造用材としては第一級に属する材である。車輌,梁,枕木,パレット,ダンネージ,矢板,器具柄,船台の盤木,階段板,脚物家具など。なお,Shorea属の他の亜属のものは比重がやや低く,メランチ(セラヤ,ラワン)と呼んでいる【須藤ほか】
セランガンバツ2 (Selangan batu)フタバガキ科。フィリピン,東南アジア。材は茶褐色でざらつく。交錯木理が多すぎてカンナにかからない。【宮本】
セランガンバツ3 【コメント】なじみにくい名前であるが,デッキ材,パネルデッキ材として一般的になったため,違和感がなくなった。(2003)
ソフトメープル1 (Soft maple)カエデ科@(Acer saccharinum)シルバーメープル Silver maple,A(Acer rubrum)レッドメープル Red maple。北米産。ハードメープル(サトウカエデ)よりやや軽軟。家具等に。メイプルシュガーが採取されるが,品質はシュガーメープルに劣る。【須藤】
ソフトメープル2 これに分類される樹種で用材として重用なのは,@レッドメープル,Aシルバーメープル,Bボックスエルダー の3種。
太平洋イチイ (Pacific yew)イチイ科イチイ属(Taxus brevifolia)北米太平洋沿岸中北部に分布。過去の過伐で供給は限られており残った立木は保護されている。木工に,さらに米国西岸の原住民はその材が強靱で緻密であることから弓の製作に利用した。その他釣り針,カヌーの櫂,ボートの肋材,櫛,銛(もり),の柄,槍柄等にも利用した。なお,近年の利用として,イチイ類に由来するタキソール(当初は本種の樹皮が採取源であった。)がある種のガンの治療に利用される。【treeguide.comほか】
タイヘイヨウテツボク1 太平洋鉄木。マメ科タシロマメ属 の広葉樹。Intsia bijuga (Colebr.) 。ニュージーランドではクウイラ (Kwila) ,フィリピンではインピール (Ipil),モルッカンアイアンウッド(Moluccan Ironwood),マレーシアやインドネシアではメルボウ/メルバオ (Merbau),タイではマカモンと呼ばれる。インチア Intsia ,タシロマメ ,シロヨナ。南洋材の中では最も重硬な木材の一つで,強靭かつ耐久性に優れる。木理は交錯し,木肌はやや粗い。家具材,キャビネット,仏壇,床板,床柱,橋梁,土台,重構造物,枕木,器具の柄など強度と耐久性を必要とする用途に使われる。
タイヘイヨウテツボク2 (Merbau インドネシア,マレーシア)マメ科(Intsia bijuga 及びI..palembanica)前者は熱帯アジアから太平洋地域一帯に広く分布し,後者は範囲は狭い。心材は褐色,金褐色,赤褐色などで,不規則な濃色の条が出ることが多い。強さと耐久性の必要な用途に適し,橋梁,土台,床板,構造物,枕木用材,矢板,器具柄として使われる。さらに家具用材としても。【須藤】
タイヘイヨウテツボク3 Intsia bijuga は日本名でタシロマメ,シロヨナの名もある。タシロマメの和名は沖縄・台湾植物研究の先駆者,田代安定を記念したもの。日本では石垣島,西表島にわずかに分布。材が堅く,またシロアリの害に強いため,建築材や家具材として有用。しかし,そのため古くから伐採・利用され,明治初期までには個体数が激減してしまったという。
タイワンヒノキ ヒノキ科ヒノキ属(Chamaecyparis taiwanensis)台檜(タイヒ)とも。日本産のヒノキより重硬で脂(ヤニ)分が多いとされる。木曽ヒノキの大径材が入手困難となり,かつてはこの大径材が輸入され社寺建築等に広く利用されたが,現在では伐採が禁止されているという。現在よく知られているヒノキチオールは,1930年代に野副鉄男氏(当時台北大数授)が本種の材の精油を研究しているうちに得た結晶にこの名を付けたとされる。なお,商業的に利用されるヒノキチオールは青森ヒバから抽出されているという。また本邦産ヒノキにはヒノキチールを含まないとされてきたが,その後,その存在を確認したとする報告があるという。
タウン ⇒ マトア
タガヤサン1鉄刀木  樹高15〜18m,直径30〜40cmになる比較的生長の早いマメ科(Cassia siamea)の常緑中高木で,おそらくインドからインドシナが原産と思われるが,古くから人家周辺に植えられ,また街路樹としても利用されてきたため,今では東南アジアに広く野生化している。心材は濃褐色から黒褐色の基材に細かい縞があって模様となる。木材が唐木(からき)の一つとして日本で床柱などの装飾用,細工物,楽器,箸,つえなどに賞用されてきた。漢名は鉄刀木。クリソファン・ハイドロアンスランという成分を含んでいるので,長時間製材,木工作業をすると結膜炎などを起こす恐れがある。【百科ほか】
皮膚を冒す暗粉状物質が含まれているので要注意【宮本】
タガヤサン2 鉋は立刃のものを使用する。仕上げの段階では砥石で磨き肌を整える。仕上げは蝋またはイボタを用いて艶上げにし,まれにラックを使うこともあるが,漆を用いると色が黒くなるので,漆仕上げはしない。【梅田】
タスマニアオーク (Tasmanian oak)オーストラリア,タスマニア島産。ユーカリの一種。心材は明るい茶褐色。他のオークより斑が大きく,個性が強いため,追柾もしくは板目に木取りしないと一般には使い切れない。【宮本】
タスマニアマホガニー (Tasmanian mahogany)センダン科。オーストラリア・タスマニア島産。ホンジュラスマホガニーの代用として使われる。軽くて粘りのあるホンジュラスマホガニーに比し粘りがなく弱い。細い構造のものには使えない。【宮本】
タタジュバ Tatajuba クワ科(Bagassa guianensis)ラテンアメリカ,ブラジル,ギアナ,スリナム。材色は最初は黄色であるが,次第に光沢のある金色がかった褐色から小豆色となり,しばしば縞模様が見られる。家具,フローリング,デッキ,ボート,カヌー,円柱,梁となる。
玉名 たまな。テリハボク,ヤラボ(沖縄),ヒイタマナ(小笠原),Bitaog(フィリピン),Penagah(マラヤ)。オトギリソウ科(Calophyllum Inophyllum)。インド,マダガスカル,オーストラリア,太平洋熱帯地海岸,沖縄,小笠原に分布。材はモモタマナに酷似し,心材は暗紅褐色で年輪不明。木理は通直でなく加工困難で,材質は重硬緻密で強靱。【飯塚】
タマリンド 酸味の効いた果実を食用とするマメ科(Tamarindus indica)の常緑高木。アフリカ熱帯のサバンナ地域が原産とされる。材は家具,まな板(輪切り)となり,インドやインドネシアのやや乾燥した熱帯域では公園樹や街路樹に多く用いられている。
タンギール (Tangile) フタバガキ科ショレア属Rubroshorea亜属(Shorea polysperma)。フィリピン,ボルネオに自生。かつて,フィリピンからのラワン類の輸入が急増したときに,その中で最高の木材とされた。心材赤褐色。同亜属の赤ラワンに比して材質重硬。建築(内装),家具,車輌(内装)として賞用されている。
チーク1 (Teak)タイチーク,ミャンマーチーク。クマツヅラ科(Tectona grandis)。タイ,ミャンマー,インド,インドネシア産。生育環境により材質にかなりの幅があり,ふつうタイ,ミャンマーの天然生チークが最も優良である。心材は淡褐色〜黄褐色〜褐色。時に黒色の縞をもつもの(縞チーク)がある。光沢があって美しく,独特の芳香がある。硬い割には加工が容易で,サンダーもかけやすい。弾力があるので曲げに強い。十分に乾燥したものは狂いが少なく,虫にも強い。【百科・宮本】
チーク2 何故チークが造船材として使われているのかというと,それは,チークに良質の油,木製タールが含まれているからで,これが鉄の腐食を防ぎ,釘やボルトなどを錆びにくくする。チークの木肌に触ると滑らかで柔らかい感触があり,機械油に似たような匂いがするのはそのためだ。また,チークの木自体も酸化・腐食しにくく,酸や塩,水に強い。【宮本】
チーク3 造船用材殊に甲板としてチークを賞用す此木は一旦乾燥するときは如何なる気候の激変に逢ふも決して狂ひを生ずることなし【工藝】
チーク4 ニューギニアチーク:(New-Guinean teak)パプアニューギニア産の人工造林した木。軽くて加工性がよい。油気がない。【宮本】
チーク5 【コメント】チークのムク材を使用したダイニングセットは家具店で目にする。チークのしっとりした感触を楽しめる魅力があるが,値段は高めである。チークの床材は普段お目にかからないが,江東区深川にあった東京都木材団体連合会(都木連)の旧講堂の床は本物のチークを使っていた(現在は新木場に移転している。)。チークの感触を味わうために切出し小刀の柄を作ったところ手に馴染む。脂気があることは鋸屑を指で押さえると固まることでも実感できる。
チャン1 唐木類としてのチャン。シクンシ科(Terminalia spp.)チャンは着色してシタンの模擬材とすることが多い。シタンよりも色が淡く小笠原のタマナ(玉名)に似ているために玉名もチャンと称することがある。チャンは Terminalia catappa(シマボウ,モモタマナ),T.quadrialata(フィリピン名 Toog)など Terminalia 属の数種の材を称するもののようである。【飯塚】
チャン2 (Tran)カンラン科(Canarium copaliferum)インドシナ産。カナリウムと同じく本種からもエレミ樹脂が得られる。心材は灰白色または淡紅白色で非常に軽い。【飯塚】
チョウセンゴヨウ ⇒ ベニマツ
チリマツ1 (Chilean Pine )ナンヨウスギ科 Araucaria araucana。(英名monkey puzzle tree)はパタゴニア地方のアンデス山系に分布し,広卵状のかたい葉をもつ。アルゼンチン北部からブラジル南部にかけて分布する同科のパラナマツ A. angustifolia(Bert.) O. Kuntz.(英名 Parana pine)とともに材質が緻密(ちみつ)で,高級家具,車,船の用材として利用されている。【百科】
チリマツ2 アルゼンチン南西部のごく一部とチリの一部に分布。黄色味を帯びたの材はとびきり素晴らしい木肌で,イギリスでは150年以上にわたって内装材,航空機内部に利用するために輸入されてきた。ビクトリア時代には一般的な住宅の庭木となり,現在は世界の温帯地域で緑化木となっている。雌木は人の頭大にもなる球果を付け,現地の住民はこの種子を炒って食用とする。なお,チリでは1990年以降国の記念物として保全管理の決定がなされた。
チリーマツ Pinus radiata チリで植林されたラジアータマツチリーマツとも呼んでいる。マツ科マツ属。
⇒ ラジアータマツ
チンチャン (Ching-chan)テチガイシタン手違紫檀)。マメ科(Dalbergia oliveri)。タイ・ビルマ産。ホンシタンの代用として出回っている。材はホンシタンほど赤くない。【宮本】
トゥーン1 (Toon)センダン科チャンチン属(Cedrela toona)主としてインド,ビルマ,タイに分布。心材は生材時には煉瓦色を帯びた赤色であるが,長く外気に晒されると濃赤褐色となる。心材には濃色の縞が柾目面にあって時には光沢を有する。家具,扉,床,彫刻,楽器,シガーケースなどに,縞模様のあるものは装飾用材に用いられる。【センター】
トゥーン 英名 toon,toon tree,Burma cedar,Moulmein cedar,Indian mahogany,red cedar など。
耐朽性が大きく,シロアリに強い。優良材で家具,建築,船舶用造作材,器具,包装用箱,彫刻,合板などに用いられる。【平井】
トネリコ ⇒ アッシュ(ホワイトアッシュ,ヨーロピアンアッシュ)
ナンヨウスギ ナンヨウスギ科の針葉樹。アフリカを除く南半球に16種が広く分布する。
@チリマツ Araucaria araucana (Molina) K. Koch.(英名monkey puzzle)(イラスト)はパタゴニア地方のアンデス山系に分布
Aパラナマツ A. angustifolia(Bert.) O. Kuntz.(英名 Parana pine)がアルゼンチン北部からブラジル南部にかけて分布。チリマツとともに材質が緻密(ちみつ)で,高級家具,車,船の用材として利用されている。
BニューギニアのA. cunninghamii D. Don(英名 hoop pine,Moreton Bay pine)が一般にナンヨウスギと呼ばれているもので,建築材として利用される。【百科】
ニャトウ1 (Nyatoh,Nato,Pencil cedar)ニャトー,ナトーとも。アカテツ科(Palaquium erythrospermumなどを含むPalaquium spp.)。東南アジア・オーストラリア産。心材は淡褐色〜桃色〜赤褐色〜濃黄褐色などで,材に色むらがある。最上級のものの用途はギター,バイオリンなどの楽器,陳列ケース,高級家具の面材など。【宮本】
ニャトウ2 カンバ類の代替材として求められている。心材の色及び肌目がカンバ類に似ていることが,国産の広葉樹材の代替材として好まれる理由の一つである。【須藤】
パーシモン (Persimmon, Common persimmon)アメリカガキ。カキノキ科カキノキ属(Diospyros virginiana)。アメリカ中部・東部・東南部産。材は重硬で強靱、非常に緻密。その硬さと仕上げの良さ、均質性から、旋削、カンナ台、靴木型、シャトル、ゴルフクラブヘッドに賞用される。
バーズアイメープル1 (Birdseye maple) バーズアイメープルはハードメープル(サトウカエデ)でまれに見られるもので,小鳥の目のような小さな丸い模様を持つ木材である。二千本のうちの一本程度しかなく,典型的な鳥目模様は表面から五分の一しか見られないという。このためバーズアイメープルはハードメープルの20から50倍の価格となる。さらにバーズアイメープルの百本におよそ一本はマープルウッドと呼ばれる特別の模様を表す。ロールスロイスの内装やエリザベス女王の宮殿の居室にも使われているという。なお,この材の希少性から研究者の関心も高いが,模様の形成要因は明らかになっていない。
バーズアイメープル2  バーザイメープルは立木から収穫される量のせいぜい5パーセントである。(Canadian Forest Service) 
バーズアイメープル3 【コメント】家具店,家具売り場で高級輸入家具として拝むことができる。この模様の塩ビシートを張った製品もしばしば見かけ,時にエレベーターの内側にべったり張ったものも見かける。サンプルあるいは小物用としてなら,東急ハンズでこの材の木のハガキなら安く買える。バーザイメープルとも表記されている。【2003】
ハードウッド 南方系の硬木で,輸入デッキ材を含めて,以下に掲げるような名称をよく耳にする。(個別の樹種は個々に掲上) イペ,ウリン(ボルネオ鉄木),オーストラリア鉄木(ポリネシア鉄木),グリーンハート,ジャラ,セランガンバツ(バンキライ),タイヘイヨウ鉄木,パープルハート,ボンゴシ(アゾベ,エッキ)
ハードサイプレス 商品としては「豪州桧」,「オーストラリアヒノキ」の名も使われている。オーストラリア東部のグレートディバイディング山脈西部に生育するヒノキ科カリトリス属(Callitris intratropica)の木材で、オーストラリアでは内装、外装材に幅広く用いられている。輸入材はその耐久性を生かしたデッキ材のほか内装用にも利用されている。水蒸気蒸留でえられるエセンシャルオイルはコバルトブルーでBlue Cypress Oil と呼ばれている。
ハードメープル これに分類される樹種のうち用材として重要なものは,@シュガーメープル,Aブラックメープルの2種類。ソフトメープルより重硬。
⇒ サトウカエデ
パープルハート1 (Purple heart)バイオレットウッド。マメ科(Peltogyne densiflora を含むPeltogyne spp.)。中南米産。心材は新鮮なときは褐色,大気に触れると紫褐色ないし濃紫色になる。非常に硬く耐久性が高い。家具材,床板,装飾用材として使われる。【宮本ほか】
パープルハート2 マメ科,Peltogyne 属の27種が知られている。熱帯南アメリカに分布し,北はパナマ,トリニダッドに及ぶ。大部分はアマゾン周辺地域に分布している。非常に独特な,まるで染色したような紫色をしていて,一度見ると記憶に残る。心材は伐採直後は褐色で,大気にさらされている間に特徴的な紫色になる。(このため,バイオレットウッドの名もある。)機械加工,手加工とも容易ではないが,旋削の仕上がりは滑らかである。耐朽性は非常に高く,シロアリに対しても強い。轆轤細工,寄木細工と象嵌,キャビネット,床板,器具柄,彫刻,ビリヤードのキューバットなどにも使われる。日本に輸入されているものは,装飾的な用途に用いられている。【須藤】
パオロサ (Paorosa,Pao Rosa)パオローズ。国内ではパオロッサとも呼ばれる。マメ科(Swartzia fistuloides or Swartzia madagascariensis ⇒ Snake Bean or Pau Ferro )。赤道アフリカ産。木目はシタンに近く,その代用として使われている。室内装飾に。
パドウク African Padouk アフリカンパドウク,パドーク,パドックとも。マメ科(Pterocarpus soyauxii,P.osun, P.cabrae, P.tinctorius)。カメルーン・ザイール・ナイジェリア・コンゴ産。材は染めたような真っ赤な色だが,日にやけると暗褐色に変化する。アジア産のカリンなどと同じ属であるが,これらと比較すると,色がほとんど均一である点で異なる。心材の耐久性は高く,シロアリに対しても抵抗性がある。装飾的な価値を利用して,美術工芸品,ナイフの柄,彫刻,建具,床板,化粧単板,轆轤細工などに用いられている。【須藤ほか】
東南アジア産のカリン(ミャンマーではパドウクと呼ぶ)と同属であるが、赤みが強い。
楽器のシロフォンやマリンバの用材にはホンジュラス・ローズウッドの評価が高いが,パドウク(パドック)も利用されている。幼児用のシロフォンをよく製品を見たら,生意気にもパドウクが使用されていた。
パドック ⇒ パドウク
パラナマツ (Parana pine , candelabra tree,Brazilian Pine )ナンヨウスギ科(Araucaria angustifolia)和名でブラジルマツとも。 パラグアイ,アルゼンチン,ブラジルに分布し,利用はブラジルのパラナ州に集中。ブラジルにきたヨーロッパ人によって造船,建築用材等として大量に伐採され,その後の鉄道,トラックが拍車をかけたが,その後は植林に移行した。濃淡のある褐色の心材にはしばしば赤い縞がある。特別の香りはない。材は構造材,内装材,サッシュ,door stock,家具,箱類,ベニヤに利用される。ブラジルでは材は合板に加工され,さらにパルプ,紙製品に適するとされる。種子は炒って食用とされる。国内では植物園にしばしば植栽されている。
パリサンダー1 (Palisander)マメ科。ブラジル,赤道アフリカ産。ローズウッドとほぼ同じ意味で使われ,ブラジリアンローズウッドもパリサンダーと呼ばれることがある。【宮本】
パリサンダー2 英名 Brazilian rosewood (Dalbergia nigra) = ブラジリアンローズウッドの各国での名称例は次のとおりで,Palisander の語はドイツでの名称でみられる。
(ドイツ)Rio Palisander,Rio Jacarand(a), Brasianisches Rosenholz
(フランス)Palissandre Brésil, Palissandre Rio
(イギリス)Brazilian rosewood
(イタリア)Palissandro
(スペイン)Palisandro
バルサ1 (Balsa)ボルサ。パンヤ科(Ochroma lagopus)。中南米産。現在では熱帯各地に植栽されている。世界で最も軽く,軽量材の代表格。サンドウィッチ構造物の中芯,模型や軽量材の特殊用途,すなわち航空機をはじめ,海上用具(ブイ,救命用具),特殊目的の建築材料(断熱材,吸音材,模型材)やコルクの代用として多量に消費される。直径が小さいので大材が得られず,大きな板が必要な時には接着剤で幅矧ぎをして利用する。【須藤ほか】
バルサ2 【コメント】昔から模型工作用として一般的で,ホームセンターでも普通に見かける材であるが,そんなに需要があるのか以前から不思議でならない。
バンキライ ⇒ セランガンバツ
ビーフウッド Beefwood と呼ばれるものはモクマオウ科とヤマモガシ科の種がある。
(例)ヤマモガシ科 Proteaceae グレヴィレア属 Grevillea striata 。  Beefwood の名は切ったばかりの心材の色に由来する。この材は土に接した状態で耐久性を有し,現地では柵杭や構造材に利用される。また,この木が堅く耐久性があることから,しばしばブーメランが作られ,これを egngal alonhdh と呼ばれる。
⇒ モクマオウを参照     
ヒッコリー (True hickory)北米産のクルミ科カリヤ属の落葉樹。@(Carya ovata)Shagbark hickory,A(C.glabra)Pignut hickory,B(C.lacinosa)Shellbark hickory,C(C.tomentosa)Mockernut hickory,White hickory,D(Carya aquatica)Water or Bitter hickory,E(Carya cordiformis)Bitternut hickory,F(Carya illinoiensisPecanなど。極めて優良な環孔材。強くて粘りがあり,特に曲げ,及び衝撃に対する抵抗が大きく,釘の保持力も大きい。かつてはクラブシャフト,スキー用材として世界の王座を占めていた。野球バット,ラケットその他の運動具,ピッケルの柄などにも愛用された。現在でも洋式斧の柄、ドラムスティックの素材などが一般的である。木屑も肉の薫製に使われる。
ビャクダン1 白檀 サンダルウッド(Sandal wood)ビャクダン科(Santalaceae)ビャクダン属(Santalum album)。北インドにも産するが,南インド,特にマイソール Mysore 地方に多く産する。東南アジアにも広く分布する。濃色のものほど香気が強く,香木として珍重され,色調によって,黄栴檀,赤栴檀などと呼ばれている。仏像,彫刻,宝石箱,あるいは高級棺材などにも使われる。
ビャクダン2 心材は初め淡黄色でやがて褐色を帯び,堅く,緻密(ちみつ)で,持続性のある芳香をもつ。仏像,美術彫刻,小箱,櫛など小細工物,数珠などに賞用され,また薫香,抹香,線香の材料とする。心材や根材を水蒸気蒸留して得られるビャクダン油 sandal oil は,主成分としてセスキテルペンアルコールのサンタロール santalol を含有し,薬用やセッケンなど化粧品の賦香料とする。【百科】
ビンロウジュ1 (檳榔樹)(Betel palm) ヤシ科ビンロウジュ属(Areca catechu)スリランカ,マレーシアのほか沖縄,小笠原にも分布。
直径七寸,八寸,一尺位,使用せらるる部分は外周厚さ一寸位に過ぎずして随は用に耐えず故に丸のまま,床柱とし棹縁,廻り縁となし大抵は丸柱とす又襖縁とす肉厚ければ落し掛ともなす要するに鐵刀木の代用なり太きものは薄く挽き割りて貼付材とす【工藝】
ビンロウジュ2 南方の現地人はこの青実を二つ又は四つに割ってコーラル(サンゴ)石灰を塗り,キンマの葉(コショウ科Piper betle )に包んで噛むのが大好きとか。実を檳榔子(ビンロウジ)という。
ファルカタ1 モルッカンソウ(Moluccan sau フリピン),Puah(ブルネイ),Batai とも。マメ科 Albizia falcataria モルッカ諸島から太平洋諸島が原産地とされている。ナンヨウギリの商品名がある。南洋材のうちでは軽軟な木材の代表的なものの一つである。保存性は非常に低く,ヒラタキクイムシの害を受けやすい。熱帯アジアから太平洋地域にかけての国々での造林プロジェクトで植栽されている。家具,合板の芯材,マッチの軸木,包装,箱,等に使用。【須藤】
ファルカタ2 世界で最も生長の早い樹木の一つで,8年サイクルで収穫できる。湿潤熱帯では燃材用木である。よい木炭もできるが発熱量は高くない。日影木として重視され,しばしばコーヒーや茶(ジャワ)の栽培にも利用される。茶箱によいという。マッチ,マッチ箱,収納箱,軽量パネル,棚等に利用され,またパルプ資源としてマツの代わりにもなる。鋸のほこりでくしゃみを引き起こすことがある。
ファルカタ3 ファルカタは,インドネシア,特にジャワ島が産地であり,天然木はほとんど無く,伐採され利用されているのは,全て造林されたもの。材は白色で軽柔,成長が極めて早く,5〜10年で成木し,計画的に伐採される。
ファルカタ4 【コメント】ホームセンターでしばしば集成材を目にする。そうめんの箱でおなじみ。切れ味の悪い鉋で削ったところ,刃先に繊維がからみついた。
フウ1
マンサク科フウ属の落葉樹(Liquidambar formosana)中国の中・南部,台湾に多い。靱皮繊維で糸を作り樹脂は楓香脂といい香料や薬用になる。造作,一般家具,箱を作るが,16世紀から19世紀にかけて盛んに欧米に輸出された中国茶の茶箱にこの木が使われたという。
フウ2 【コメント】街路樹等としての普及度ではアメリカ生まれのモミジバフウに圧倒されているが,三裂の葉を持つフウも公園樹としてしばしば見かける。
ブビンガ1 ブビンガ,ビュヴァンガ(Bubinga カメルーン)。マメ科 Guibourtia 属 の特に G.tessmannii,G.pellegriniana, G.demeusei。カメルーンからザイールまでの赤道アフリカ産。大径木が得られることで知られる。心材は桃褐色から赤色で濃色の縞を有する。オバンコールと同属の木材。製材には良質の強い鋼の鋸が必要とされる。生材の時には悪臭を放つが,乾燥後は無臭になる。花梨に似ているので代用されるほか,大太鼓の胴に使われている。また,ツキ板として内装材に使われる。
ブビンガ2 日本の市場でも比較的目に触れることの多いアフリカ産の木材で,材面の美しさを利用した用途が多い。直径は2メートルにもなるので大径の和太鼓の胴にも使われる。元来は和太鼓にはケヤキが使われるが,大径の丸太が減ったことから代替として登場したもの。美術家具,キャビネット,化粧単板,象嵌,室内装飾品,ろくろ細工等に利用される。【須藤】
ブビンガ3 【コメント】以前,銘木店をのぞいたら,ブビンガの極厚の方形や円盤の座卓がズラリと展示されていた。この迫力に負けない住宅が必要になってしまう。
ブライヤー1 (Brier,Briar) Tree heath とも。ツツジ科エリカ属(Erica arborea エリカ・アルボレア)の常緑の灌木又は低木。良い香りのする白色の円錐花序を頂生する。地中海地方の海岸部に分布する。その硬い根部を喫煙パイプに利用する。(「ブライヤー」は,この木の根又は類似の木材で作られたパイプの呼称でもある。)
この木の根は生長が非常に遅く,材質が極めて硬くて緻密で,火が移らない性質を持っている。材の美しさに加えて,この性質からパイプの素材として適材となっている。さらに,水濡れにも強いとされる。
ブライヤー2  ブライヤーは数珠(念珠)の素材としても利用されていて、その場合は麻梨木(まりも)の呼称が使われている。
ブライヤー3 【コメント】パイプを自作する人のためにブライヤーのブロックや半製品が販売されている。東急ハンズでこの端材も売っている。繊維が交錯して美しく,小さな木片でも材の魅力を感じさせるため,ネクタイピンなどを作って遊ぶと楽しい素材である。なお,国内では花木として植栽されている。
ブライヤー4 【注】Brier の名は,ユーラシア産の茎にとげのある野生バラで,一般に栽培もされている Sweetbrier(スイートブライヤー,学名: Rosa eglanteria ロサ・エグランテリア,葉とピンクの花は良い香りがあり,深紅の実をつける。米国では野生化しているという。)等も指す名称であるためか,パイプの素材,数珠の素材としてのブライヤーをバラ科の根の部分であるとして誤った説明をしている場合が多い。
ブラジリアンローズウッド ⇒ ローズウッドを参照
ブラジルウッド ⇒ ペルナンブコ
ブラジルマツ ⇒ パラナマツ
ブラックウォルナット1 (Black walnut)イースタンブラックウォルナット(Eastern black walnut),American black walnutとも。クルミ科クルミ属(Juglans nigra )。アメリカ東部及びカナダのオンタリオ州などに生育。特にミズーリー、オハイオ、インディアナなどが主産地。心材はチョコレート色から紫赤色,紫黒色で,一般的には色は一様でなく縞状になり,美しい模様の材面が見られる。家具,キャビネット,銃床,楽器,化粧単板として使うことが多い。【須藤】
ジョージ・ナカシマが好んで利用した。ヨーロッパ,南米産は植栽。
ブラックウォルナット2 【米国内】eastern black walnut , American walnut とも。The fine straight-grained wood made prize pieces of solid furniture and gunstocks. ブラックウォルナットの最もよく知られた用途は木材とベニヤ単板である。材はあらゆる家具,内装パネル,銃床に利用される。供給が減少し,良質な材は主としてベニヤ単板に利用されている。独特な味の実は焼く食品,アイスクリーム用の需要がある。実の殻にも様々な用途がある。
ブラックチェリー1 (American black cherry)バラ科サクラ属(Prunus serotina)。北米東部産。加工したときは明るい茶褐色でも,年月が経ったり日光にさらされると濃く変色するので,明るい仕上げのものには適さない。米国では高級広葉樹種ではその価値でブラックウォルナットに次ぐ。ヨーロッパ特にデンマークからの高級輸入家具には,このチェリーを使った製品が多い。ハンス・ウェグナーのデザインした椅子,ダニエルの製品などによく使われている。【宮本ほか】
ブラックチェリー2 材面が独特の美しさをもつので,家具,キャビネット,楽器,高級家具,床板,銃床(ブラックウォルナットに次いで好まれている。),煙草のパイプなどに使われることが知られている。ハムの薫製の材料にもチェリー類の木材が使われている。【須藤】
ブラッドウッド@ Bloodwood クワ科(Brosimum rubescens)ブラジル,ギアナ,スリナム等。 サティネ、サッチーネの表記も見かける。地域名 amapa rana, satine rouge, conduru, satinjout, cardinal wood, muirapiranga (Brazil), bois satine (France), satine rubane, satine rouge, satijnhout, brazil wood, satinee, falso pao Brasil, palo de oro, doekaliballi, ferolia, legno satino, pau rainha, siton paya
心材は赤褐色から濃い赤色。英名は血のような赤色の木材の意。耐虫・耐朽性に富み,保存性もよい。材は家具,象眼,小箱の装飾,ビリヤードのキューバット(キュースティックのジョイントからグリップ側の半分の部分),ドラムスティック,キシロフォン。オルガンパイプ,旋削,寄せ木細工に,選木材は装飾用のベニヤ(薄板)にスライスされる。皮膚・呼吸器障害の発生例の報告があり,作業中はマスクと長袖の着用が望ましいという。
ブラッドウッドA オーストラリア産のフトモモ科Corymbia属(旧Eucalyptus ユーカリ属)のCorymbia gummifera もBloodwood 又は Red Bloodwood と呼ばれる。こちらは主として燃材にされるという。
ベイスギ1 ヒノキ科ネズコ属(Thuja Plicata)Western Red Cedar,Shinglewood。水湿に強くシロアリを寄せ付けない。木粉がアレルギー性喘息の原因となることがある。時が経つに従い光沢が失せ,冬目が黒ずんでくるのが欠点。また,ピンクから濃茶まで色が均一でないのも欠点。北米ではトーテムポールにも使われている。米国では耐候性の高さと割り易さを上手に利用して,薄く割って屋根に葺いていたのでシングルウッド(屋根材)という名前も付けられている。【須藤】
ベイスギ2 辺材が淡黄色,心材は赤褐色だが次第に黒ずみ農暗褐色になる。やや軽くて柔らかく加工しやすいが,何よりも腐りにくく,耐水性の大きいことが特徴である。現地では最大の用途はシングル(のこびきした薄板),シェーク(割りどりした薄板)などと呼ばれる屋根材(日本では防火上の規制がある)や外壁材などで,ほかに船舶やボート,建築の内装などに使われる。インディアンはログハウスやカヌーを造ったり,トーテムポールを刻んだりする。 日本では色抜きして天井板にも使用された。【上村】
ベイスギ3 ベイスギが極めて腐りにくいのは心材に含まれるヒノキチオールなどの含有成分の故だが,一方ネズコンなどという成分によってベイスギ喘息を問題にされたことがある。これはベイスギの加工時のしめった微粉を吸い込むことでアレルギー体質の東洋人は今のスギ花粉症のような反応を起こすことがあるのだとわかり,対応策(?)も採られたので今は問題になっていない。【上村】
ベイスギ4 材に耐朽性が高く,現地ではシングルと称してそのまま屋根材や外壁材に使用している。この材を扱う製材,木工場でアレルギー性の皮膚炎から鼻炎,眼結膜炎や喘息を起こすことがしばしばあって問題となっている。【平井】
ベイツガ マツ科ツガ属(Tsuga heterophylla)Western Hemlock,West coast hemlock,Pacific hemlock。欠点の多い材で,ねじれ,割れが入りやすく,また,耐朽性は低く,特に含水率の高い状態では腐りやすい。木材が脆いため,柱の角が欠けたりすることが多いのも,スギなどにはあまりでない欠点である。腐りやすい点は防腐剤で。建築用。【須藤】
ベイトウヒ マツ科トウヒ属(Picea sitchensis シトカトウヒが主体)Sitka spruce,Yellow spruce,Cast spruce,Tideland spruce。湿気に弱いため水回りには不適。強度がないため家具には向かない。建具,ドア,木型などに大量に使われる特に音響的性質が良いため,楽器用材として優れている。シトカはアラスカ南東部のシトカ島でこの種が発見されたことによる。日本でアラスカヒノキ,新カヤとか製品について紛らわしい名称が使われる。【須藤ほか】
ベイヒ ヒノキ科ヒノキ属(Chamaecyparis lawsoniana)米檜,Port-Orford-Cedar,Port-Orford-cypress,Lawson Cypress,Oregon cedar。非常に耐久性のある良材。日本の檜と材質的によく似ているため,ヒノキと全く同じに使われている。【須藤】
ベイヒバ ヒノキ科ヒノキ属(Chamaecyparis nootkaensis)Alaska cedar,Yellow cedar,Sitka cypress,Yellow cypress,Alaska cypress。耐久性はかなり強く,虫害や腐朽にも強い。衝撃に強く,粘り強い木である。ヒバのような匂いある。建築用。【須藤】
鉄釘を早く錆びさせる欠点がある。
これも国内で「アラスカヒノキ」と表記されることがある。
ベイマツ マツ科トガサワラ属(Pseudotsuga menziesii)Douglas Fir,Oregon Pine,Red Fir,Red Spruce,Yellow ,Douglas spruce。堅硬で長大材が得られるが,年輪の幅が粗いものから密なものまであり,材にばらつきがある。耐久性はやや劣る。日本の樅と栂の中間程度の材。耐朽・保存性は高い。【宮本】 
長さの収縮率が高い。建築用,特に梁・桁用。明治時代からメリケンマツと呼び輸入されていた。かつては建築の基礎杭にも多く使われた。
ベイモミ マツ科モミ属の複数種(@Abies nobilis,AAbies procera→Noble fir,BAbies amabillis→Pacific silver fir,CAbies concolor→White fir,DAbies grandis→Grand fir,EAbies lasiocarpa→Subalpine fir,FAbies magnifica→California red fir→California red fir)。耐朽性は低く,地面に接しての利用には適さない。特にノーブルファーは建具用材として高く評価されている。【須藤】
ベニマツ マツ科マツ属(Pinus koraiensis)紅松,チョウセンゴヨウ(マツ)。アムール,中国東北地方から朝鮮,さらに本州中部高地に分布する。日本では福島県から岐阜県にかけての山中と四国土居町の東赤石山周辺に分布。材種はヒメコマツと同様。市場で取り扱われているものは,ロシア産のベニマツで,ロシア材では最も有用な樹種として高い評判を得ている。材は軽軟で加工しやすく,寸度の安定性があるため,古くから木型用材として使われる木材の代表的なものの一つである。鋳物用の木型,建具,建築,彫刻,器具等に利用。【須藤】
種子が大きく,朝鮮では広く食用にされ,そのために植林もされる。
ペリコプシス1 (Pericopsis)マメ科(Pericopsis mooniana)スリランカからマラヤ,スマトラ,ボルネオ,フィリピン,スラウエシなどを経て,ニューギニア,ミクロネシアまで及んでいる。心材は金褐色を帯びる。カツテ,ユーラシアンチークの商品名で化粧単板を張った家具が出回っていたが,今では姿を消した。材面の装飾的な価値を利用した用途に使われる。【須藤】
ペリコプシス2 西アフリカ・インド・ボルネオ産。薄くすると変色しないので,ツキ板として使うことが多い。チークの代用として装飾的に用いられてきた。【宮本】
ペルナンブコ1 ペルナンブーコ,パオブラジルブラジル木(brazilwoodとも。ブラジル東部海岸森林地帯原産のマメ科(Caesalpinia echinata)の高木。材をブラジル木あるいはペルナンブコ木Pernambuco wood といい,ブラジリン brazilinという赤色の色素を含む。染料や赤インクの材料のほか,昔は薬用としてマラリアに用いられた。また材は堅くて耐久性があるので,細工ものや工芸品にも使用される。また,バイオリンの弓の適材とされる。ブラジルの名称はポルトガル語の brasa(燃えるように赤い)に由来する。【百科ほか】
ペルナンブコ2 もともとはインド,マレーシア原産の近縁種スオウの材をブラジル Brasile と呼んで染料に用いたが,1540年にポルトガル人により南アメリカで本種が発見されてからは,本種がブラジルボクと呼ばれるようになり,またこの木が生えている地方をブラジルと呼ぶようになった。【百科】
ペルナンブコ3 ブラジル北部ペルナンブコ州周辺から出材する超硬質材で,綺麗な赤褐色の高級材で,バイオリンのボウ(弓)に使われるので有名。加工は金属加工機械による。赤色色素を含み染料原料にされる。
ペルナンブコ4 【コメント】目黒雅叙園の十畝(じゅっぽ)の間の床柱はイチイと本種(施設説明者は「パオブラジル」と紹介)であるという。都内のウッドショップもくもくでも板材,端材を販売している。
ペルポック (Perupok)ニシキギ科(Lophopetalum javanicumを含むLophopetalum spp.)。インド・ミャンマー・タイ産。心材は桃色を帯びた淡灰褐色ないし淡褐色。額縁,天井板,梱包材などに使われ,ラミンの代用として用いられている。【宮本・須藤】
ボコテ (Bocote)ムラサキ科Cordia属の複数種。メキシコ,中央アメリカ原産。Cordia elaeagnoidesCordia gerascanthus 等を指している模様。材は黄褐色から赤褐色に黒に近い濃い縞模様が入る。用途は新案物,アクセサリー,旋削用など。
ボセ (Bossé コートディボアール)センダン科(Guarea cedrata)。中央アフリカ産。心材は伐採直後はクリーム黄桃色であるがやがて明るい桃褐色になる。良い匂いがある。加工するとフタバガキ科とカバノキ科の中間のような雰囲気になる。木工用材,軽家具材,唐木細工材として最上級の材である。ホンジュラスマホガニーに似るので代用材とされる。
ボックスウッド1 (boxwood,box treeとも) ツゲ科ツゲ属の総称。Buxus sempervirens(common box)は,地中海沿岸〜西アジア原産で,セイヨウツゲボックスウッド又はアメリカツゲの名で国内でも寄植えや列植に利用されている。(生け垣には矮生の dwarf box (B. suffruticosa)がより利用される。)
この属は世界に30種余が知られているが,緑化木としての植栽種はBuxus microphylla (クサツゲ)の仲間と 樹高がこれより高い Buxus sempervirens(セイヨウツゲ)及び園芸品種が利用されている。
ボックスウッド2 セイヨウツゲ:(以下同じ)
・材が緻密で強く,均一なことから,古代ギリシャ,ローマ人たちは書き板,楽器,独楽,櫛,宝石入れ,彫刻,象嵌,ベニヤ単板などに利用した。【FONA】
ボックスウッド3 ・材はその硬さと重さ(ヨーロッパで最も硬くて重い。)により価値があり,淡い黄色で緻密,きめ細かく均一で,彫刻(彫版)家にとっては版木や彫板として重要な存在である。この材の角は錫や鉛よりよく耐え,真鍮に匹敵する。また,この材は化粧箱はもとより,精密さと寸法安定性が求められる定規,多様な製図用品,フルートやその他の楽器,道具の木製部品などの製作に多くが利用されている。【botanical.com】
ボックスウッド4 ・楽器の部材としては例えばリュート(弦楽器の一種)やバロックギターのペグ(調弦ねじ)に利用され,また,リコーダーの素材としても知られている。木象嵌にも利用されている。
ホワイトアッシュ1 (White ash)モクセイ科トネリコ属(Fraxinus americana)Baltimore ash,Small-seed ash,Biltmore ash or Biltmore white ashとも。北米産。材は重硬で強く,特に衝撃に強いためバット用材,オール,器具柄材などになる。家具,単板,合板にもされる。プロ野球のバット用に輸入されている。【須藤ほか】
ホワイトアッシュ2 アメリカトネリコ。アメリカ東部に多く,オレゴントネリコはその名の示すように太平洋岸のとくにオレゴン,カリフォルニア州に多い。材質はほぼ同じで,どちらもホワイトアッシュで通っている。バットのほか,ラケット,ホッケイ・スティックなどに使われ,かつてはゴルフクラブシャフトにヒッコリーに次いで愛用された。
ホワイトアッシュ3 オレゴントネリコ(Oregon ash)Fraxinus latifolia, Fraxinus oregona
ホワイトウッド 国内では樹木を指して,ヨーロッパトウヒ,ドイツトウヒ又はオウシュウトウヒと呼ばれてきた。近年,ヨーロッパからこの製材品の輸入が増加して,木材の流通上はホワイトウッドの呼称が一般化した。欧州産のスプルース。
なお,米国でホワイトウッドはユリノキを指す。
⇒ ヨーロッパトウヒ
ホワイトオーク1 (White oak)ブナ科コナラ属(Quercus alba)。北米産。心材は淡褐色ないし暗褐色。強くて耐久性に富んでいるのでウィスキー樽用材として有名。ナラの代用として輸入している。ヒラタキクイムシが付いている場合が多いので,辺材の使用は避ける必要がある。【宮本】
(注)ホワイトオークの呼称自体は材が淡色のオーク類の総称であり、狭義には米国産の上記Quercus alba を指す。
ホワイトオーク2 心材の導管にはチロースという細胞の膨出してきたものが詰まっているため,木材の中へ液体が入りにくくなっている。樽用材として適している性質である。なお,レッドオークにはこの性質はない。
ホワイトセラヤ バクチカン。White seraya。フタバガキ科 Parashorea 属。この木材の特徴は,丸太の断面を見ると5〜10センチくらいの間隔で,同心円状の濃色の縞があること。
ホワイトメランチ フタバガキ科 Shorea 属。約30種ある。ホワイトという形容詞が付いているメランチ類であるが,ホワイトメランチ類と Parashorea 属の木材であるホワイトセラヤ及び」フィリピン産の Pentacme 属の木材であるホワイトラワンなどとは違うので,注意が必要である。この類の木材を最近ではサバ州での呼び名を使って,メラピと呼ぶことが多い。
ホワイトシカモア ⇒ シカモアメープルを参照
「ホワイトシカモア」は日本の業界固有の名称であると思われ,オセアニア産のシカモアメープル(sycamore maple セイヨウカジカエデ)を指している。海外ではこの名称は使っていない。また,誤ってこれをアメリカスズカケノキとして説明している例も見受けるが,アメリカスズカケノキは American sycamore というが,white sycamore とは呼んでいない。
ボンゴシ1 オクナ科(Ochnaceae) Lophira alataAzobe,Esore[象牙海岸],Ekki,Hendwi[シエラレオネ],Bakundu,Bongossi[カメルーン]。カメルーン,ライベリア,ナイジェリア,アイボリーコースト,ガーナ,ガボン,シエラレオネなどが主な産地である。心材は濃赤色ないしチョコレート色。非常に重く硬い。耐久性が高いことが特徴。シロアリに抵抗性があり,海虫に対しても強い。用途は,重硬で強度が高く,耐久性が高いため,重構造物,港湾用材,枕木,工場や倉庫などの床板などとして,ヨーロッパなどで,長い間,高く評価されてきている。【須藤】
国内での呼称は、ボンゴシのほか、エッキアゾベの名が使用されている。
ボンゴシ2 【コメント】国内でも,公園等の比較的大型の木橋としての利用が多く見られるようになった。中には施工管理不良で落下したケースもある。ある県では,コストが高すぎることを批判する者が,「アフリカの木材をわざわざヨーロッパに持って行って加工し,これを日本に運んで来て大変な価格になっており,ひどい無駄遣いである。」と指摘していた。
ホンジュラスローズウッド ⇒ ローズウッドを参照
ホンジュラスマホガニー ⇒ マホガニーを参照
マコーレ/マコレ (Makore)アカテツ科(Tieghemella heckelii)。西アフリカ産。心材は桃色〜濃赤色〜濃赤褐色。ミズメ,マカンバの代用品として用いられることが多い。ツキ板では楽器,床板,家具表面,内貼りなどに,製材では敷居,ドア枠などに使われる。加工の際,粉塵でアレルギーを引き起こすことがあるので注意が必要。(微粉は喉や鼻の粘膜に炎症をおこす。)【宮本】
マコーレ/マコレ2 同じ科のニャトー類とよく似ている。木材の持つ肌合いが国産のカンバ類とよく似ているので,同じような用途がある。比較的流行の周期が短い木材が多い中で,根強い需要がある。欧米では Cherry mahogany ,African cherry などという商品名がつけられている。日本での知名度はかなり高い。【須藤】
マトア1 マトア(Matoaインドネシア)。タウン(Taunパプアニューギニア)とも。ムクロジ科(Pometia pinnata)。東南アジア産。心材の色が黄褐色〜赤褐色〜赤桃色に変化する。ラワンに似ているが,ラワンより木目が明瞭で,タウン材と呼ばれる。カバの代用として日本でも昔から使われていた。床材,キャビネットなどに用いられる。【宮本】
マトア2 木材が有用なものはムクロジ科には少ないが東南アジアからポリネシアに広く分布するPometia pinnata Forst. の材は最近おもにニューギニア地域からかなり多く日本に輸入され,マトア matoa またはタウン taun の名で知られる。【百科】
マトア3 日本の家具工業が,国産のブナの資源がなくなってきたために,その代替材として求めた樹種の一つである。家具の場合,塗装してあるために,その素顔には触れることは少ないが,日常生活の中で意外に身近にある木材である。心材は桃褐色から赤褐色まである。材面の仕上がりがよく,家具,化粧単板,脚物家具の脚,小物家具,楽器の支柱,床柱,キャビネット,内装,床板,合板など広い用途に用いられる。【須藤】
マホガニー1 (Mahogany)中米〜南米北部に分布するセンダン科マホガニー属 Swietenia の樹木。特ににその木材をいう。マホガニー材は世界の最高級材として名高く,18〜19世紀のヨーロッパではこの材の家具,調度は富貴の象徴としてもてはやされた。装飾用材としての価値が高く,今日では薄くスライスした板(突板(つきいた))を,家具類の表面や建築内壁に用いることが多い。【百科】
ラテンアメリカでは Caoba とも。代用品として,サペリ,ボセ,タスマニアマホガニー等がある。
マホガニー2 ホンジュラスマホガニー(Honduras mahogany)センダン科(Swietenia macrophylla
「オオバマホガニー」の和名もある。メキシコ南部からコロンビア,ベネズエラ,さらにアマゾン上流およびその支流のペルー,ボリビア,ブラジル内に分布。人工造林地もある。心材は新鮮なときは赤・ピンク・黄色みがかり,年数を経ると深みのある赤又は赤褐色となる。黄金の光沢がある。高級な家具・キャビネット,内装,化粧単板,楽器,ボート,組木,旋削,彫刻に用いられる。世界的優良材の一つ。ワシントン条約の附属書U掲載種(2002)。評価では優る次に掲げたキューバンマホガニーが減少した中で入手可能な最上のマホガニー種とされる。
マホガニー3 (West Indies Mahogany)センダン科(Swietenia mahagoni ) キューバンマホガニー(Cuban mahogany)とも。
西インド諸島(キューバ,ハイチ,ジャマイカ,サンドミンゴ,バハマ,フロリダ)原産であるが自然分布は確定困難。かつて(5百年前)ヨーロッパ市場に最初に登場したマホガニーである。ホンジュラスマホガニーより堅くて強く,より優れているとされる。家具,キャビネット等の需要は強い。開発で種として激減したため,ワシントン条約の附属書Uに掲載されることとなった(1992)。最終製品を除き原産国の輸出許可が必要。まれに,人工造林された材が国際市場に出回ることがあるが,この取り引きには証明書が必要。
マホガニー4 (Pacific Coast Mahogany)センダン科(Swietenia humilis
メキシコからグアテマラ,エルサルバドル,ニカラグア,コスタリカまでのシエラマードレ山脈西部の乾燥域に分布。生育環境の悪化で減少し,ワシントン条約の附属書Uに掲載されている。3種類のマホガニーの中では商業的な重要性は最も低位にある。
マホガニー5 マホガニーは仕上がりが良く,耐久性,寸度安定性に優れているため,かつては(特に海外の)顕微鏡の箱にはマホガニーが使われていた。保存状態の良い顕微鏡とマホガニーの箱はセットでアンティークとして流通している。
マホガニー6 名前にあやかってまったく別の木材にマホガニーの名がつけられる場合も多く,アメリカの木材市場でいうフィリピンマホガニーは,なんとラワンのことである。
マラス イイギリ科( Homalium foetidum)。各地での呼称は、Malas(パプアニューギニア)、Aranga(フィリピン)、Gia(インドネシア)など。かつては熱帯アジアから輸入される木材のうち、やや軽く、価格の安いものが十把一絡げにされていたもののひとつで、パプアニューギニアから一定程度まとまって輸入されるようになってから、マラス Malas(パプアニューギニアでの呼称)の名が使用されるようになった。材の肌目は精で重硬、耐久性が高いが、材面の装飾性の評価が低いため、表面にでない建築材、土木用、パレット等に利用されるほか、低価格の家具の脚物、仏壇の練り付け芯材等にも利用されていている。【須藤ほか】
特に近年、塗り箸の素材として広く利用されている。【2007】
マンソニア (Mansonia 属名),ベテ(Béteコートジボアール)。アオギリ科(Mansonia altissima)。西アフリカ産。昔はウォールナットの代用としてピアノ,装飾家具などによく使われていたが,最近はあまり使われていない。African blackwalnut の市場名がある。加工の際の細粉を吸うと炎症を起こす。
ムビンギ ⇒ モビンギ
メラピ ⇒ ホワイトメランチ
メランチ マレーシアでのラワンの呼称。メランティーとも。
メルクシマツ/メルクシパイン マツ科 Pinus merkusii 。日本産のアカマツ等によく似ている。二葉松の類で,ビルマからインドネシア,さらにフィリピン,スマトラにかけて分布。かつて,カンボジアから天然林産のメルクシマツの丸太がかなりの量日本の市場に輸出され,カンボジアマツと呼ばれ高い評価を受けていた。スマトラの山地にある造林地がよく知られている。近年,この造林地からの木材が日本に輸出されている。天然木は高く評価されるが,造林木からの木材はあまり評価が高いとはいえない。保存性は低い。天然産のもので、とくに樹齢の高いものは、化粧的な価値があるため、内装などに使われ,それ以外は建築、造作、杭、パレット、箱、パルプなどに使われる。【須藤】
メルクシマツ2 インドネシアの植林木メルクシマツは,オランダ統治時代から400年近い歴史を持ち,工業用のヤニを採取する目的で植林サイクルが完成されている。熊本市の東南産業は昭和63年にインドネシアに会社を設立以来,現地で建材生産を続けている。【2002木材新聞】
メルクシマツ3 メルクシマツの松脂は,揮発性のテレピン油と,揮発しないロジンに分け,溶剤,医薬品,塗料,印刷インキなどに加工・利用する。
メルクシマツ4 【コメント】通信販売で以前買った格安学習机3点セットは,メルクシマツの集成材で現地(インドネシア)加工して輸入された製品であった。材質が少々軟らかく,一部に塗装の剥がれが生じたが,造りはしっかりで,お買い得。カタログではベッドを含め家具一般多様な品揃えでビックリ。なお,ホームセンターでもメルクシパイン,あるいはパインの名で各サイズの集成材の板が販売されている。(2003)
メルバオ ⇒ タイヘイヨウテツボク
モアビ (Moabi ガボン,コンゴ)デジャベ?。アカテツ科(Baillonella toxisperma)。ナイジェリア,ガボン産。心材は赤褐色〜暗赤褐色。ツキ板では床板,壁面,製材では家具面縁,框類,敷居,床板などに使われる。【宮本】
人によっては木粉が刺激作用を起こす。【センター】
モクマオウ Casuarina カシュアリナ。モクマオウ科Casuarinaceae モクマオウ属 Casuarina,Australian pine, beefwood(インド)⇒(C. equisetifolia), forest oak(オーストラリア)⇒(C.tomlosa), she-oak(パプアニューギニア)⇒(C. equisetifolia C.papuara),horsetail tree, ironwood とも。本属には45種存在する。針葉に見えるのは枝の変化したもの(葉状枝)で,本当の葉は目立たない。海岸部では防風用に有用である。米国ではc. equisetifolia と c. cunninghami が南フロリダで植栽されている。日本では c. equisetifolia  のことをトキハギョリュウ,C.stricta のことをモクマオウ(木麻黄)と通称している。材は乾燥が困難であること,割れの大きいこと,耐久性がまちまちであること,加工や防腐剤注入が困難であることなど多くの欠点のため,一般に加工材としては使われていない。しかし,カロリーが高いので薪炭材としては優れている。
モビンギ Movingui , African satinwood ジャケツイバラ科 Distemonanthus benthamianus
ナイジェリア,カメルーン,ガーナ,シエラレオネに産する。材は黄褐色で,交錯木理。情報量が少ないが,なぜか東急ハンズの木のハガキのひとつに入っている。ベニヤ,フローリング,家具,ビリヤードキューなどに利用されるという。
モミジバフウ1 (Sweetgum)マンサク科フウ属(Liquidamber styraciflua)北米東南部原産。redgum, sapgum, starleaf-gum, あるいは bilstedとも。日本では街路樹,公園樹としておなじみ。米国南東部では最も重要な商業取引される広葉樹の一つで,非常に広く利用されている。心材は赤褐色。製材品,ベニヤ,合板,枕木,パルプに,製材品は箱,パレット,木枠,家具などに,ベニヤ・合板は箱,パレット,木枠,バスケットなどに利用される。
モミジバフウ2 属名のLiquidamber (液体の琥珀の意)や一般名の“gum”は樹皮を傷つけたときに滲み出る樹液に由来する。アメリカの原住民や初期の開拓者は硬くなったこの樹脂をくちゃくちゃかんだが,今でもこれをかんでいる人がいる。開拓時代には樹脂は幹の皮を剥いで掻き取っていた。この樹脂はチューインガムとしてだけでなく,薬用としても使われた。香料や薬用に商業的に使われる香りのよい樹脂ストラックスstoraxは同属の西アジアの Oriental sweet gum (Liquidambar orientalis )から採取されている。中国産のフウ(Liquidambar formosana →日本でも緑化木として植栽されている。)からも同様の樹脂が採取され,漢方利用がある。
モルッカンソウ ⇒ ファルカタ
モンテン 門天。アオイ科(Hibiscus glaber)小笠原に産する。モンテンボク,イチビ,オガサワラハマボウ,テリハハマボウともいい,心材は木理が美しく,青色,黒褐色,緑黄色などの条紋があり,指物,板,柱などに賞用される。【飯塚ほか】
モンキーポッド1 (Monkey pod フィリピン),レイン・ツリー(Rain treeイギリスの呼び名)マメ科ネムノキ亜科(Enterolobium saman)。猿が、この木の実を好んで食べることから「モンキーポッド」と名前がついたという。Monky pod /Rain tree ,俗称アメリカネムノキ。メキシコ,中米,南米の北部。木理の変化と,濃色の条があることによって出来る美しい材面を利用した用途がある。家具、キャビネット、内装材、銃床、模型、彫刻、合板など。特に、サラダポールなどの刳り物に加工され熱帯地方の土産物として有名。
モンキーポッド2 中南米産の木であるが,古くから日影樹として熱帯各地に植栽されており,それぞれの名称がある。心材は新鮮なときは濃いチョコレート褐色,後に淡褐色,金褐色になり,時に濃色の縞を持つ。日影樹としての利用が第一義的なものであり商業的重要さはない。【センター】
モンキーポッド3 【コメント】「この〜木何の木」の日立の木は,ハワイ州 オワフ島 モアナルアガーデンパークのものという。以前この材の円盤の座卓を見たことがある。
ユーカリ類1 フトモモ科ユーカリ属。樹種により材質も軽軟〜重硬,淡色〜濃色と多様。
ユーカリ類2 日本には葉が披針形のヤナギユーカリ,葉が円形のギンマルバユーカリなど十数種が導入されているという。葉から水蒸気蒸留によってユーカリ油が採取され,アロマセラピー用のエセンシャルオイルが販売されているほか,家庭薬のメンソレータム(メンターム)にも配合されているなど,身近な存在である。
ユソウボク 癒瘡木(ユソウボク)
⇒ リグナムバイタ
ユリノキ1 北米原産のモクレン科の落葉高木(Liriodendron tulipifera)。イエローポプラ(Yellow-poplar),Tulip-poplar,Whitewood,Tulipwood の名がある。材はやや軽軟であるが,建築材・家具材等に広く使われる。昔,インディアンは丸木舟を作るために大木を利用した。初期の入植者はこのことからカヌーウッド(canoe wood)と呼んだ。風で枝折れをすることがある。
ユリノキ2 【米国内】ユリノキは米国東部の広葉樹のうち,最も魅力的で樹高の高い木の一つである。この木材は多くの用途に適合すること及び家具やフレーム用材向けの針葉樹材の減少が進む中での代替材として高い市場価値を持っている。近年の最も重要な用途は,家具の表面に出ない部材や芯材,家具部材の構造部や背面用・内装部材用合板の下地のためのロータリーベニヤ,パルプ材である。また,この木は生物の蜜源として,さらに広い場所での緑陰樹としても有用である。【USDA】
ユリノキ3 【コメント】国内では公園樹,街路樹として広く導入されている。
ヨーロッパイチイ (European, English, or common yew )イチイ科イチイ属(Taxus baccata)イギリスから北部イランに分布。北アメリカで広く植栽されている。日本のイチイより少し重い。約5万年前の槍が知られているほか,火器が発明されるまではイチイの弓はほとんどのヨーロッパで狩猟と武器との両方に使用されていた。ロビンフッドもこれを使用したとか。材はその硬さから,シャトル,歯車,車軸に,さらに,色鮮やかな材は家具,リュートの本体,ボウル,大コップ,櫛,道具柄等に利用された。果肉が食べられることと,種子に毒性がある点は日本のイチイと同様。現在では主たる用途は緑化木。
ヨーロッパトウヒ1
(ホワイトウッド)
マツ科トウヒ属(Picea abies)オウシュウトウヒ,ホワイトウッド。日本には明治時代にドイツトウヒの名で導入され,北海道で鉄道防雪林に利用された。ピアノ響板,バイオリン・ギターの表板に最適。日本では主に北海道のアカエゾマツを使うが,高級品にはルーマニアトウヒを用いているという。
ヨーロッパトウヒ2
(ホワイトウッド)
この構造用集成材は建築用として近年一般的となっているが,日本の北部を除く地域の気候風土では耐久性に問題があるとする意見がある。
ヨーロピアンビーチ1 ブナ科ブナ属(Fagus sylvatica )。ヨーロッパ産。ヨーロッパブナとも。米国でも日影樹,装飾用として広く植栽されている。日本のブナより垂直で,枝下が長く,色が白いが,日本のブナよりは粘りがない。偽心材は日本のブナより小さく,白い部分が大きいので使いやすい。加工は容易。【宮本ほか】
ヨーロピアンビーチ2 【コメント】かつて,折り畳み式のブナの椅子を買ってよく見たところ,メイドインユーゴスラビアの刻印を発見。素材の質感は日本のブナと変わりないといった印象。
ラオスヒノキ Fokienia hodginsii)ヒノキ科であるがフォッキニア属で,国産ヒノキのようにヒノキ科ヒノキ属ではない。中国,ベトナム産。材は軽くきめ細かく,香りがある。日本のヒノキよりもヤニが多い。当地ではかつては棺桶に利用されていた。家具,美術品等に利用されている。特に根部からエセンシャルオイルが抽出され,化粧品や医薬品原料とされる。ラオス人とダオ族は割板を屋根や仕切壁にする。伐採されている樹木は全て天然木であるという。日本にも輸入されている。
ラオス松 フローリング用材として製品広告をよく見かける。大手ハウスメーカーでも仕様に組み込んでいる例がある。心材は赤褐色で辺材は白色。特に赤柾は硬さもありフローリングに適するとされる。広告からは、種の素性は不明で,果たして,特定の種を指しているのかも確認できない。
ラオス松 ラオス松の種に関しては、以下の情報がある。
@メルクシマツ説:商品情報で、ラオス松はメルクシマツともいうとの記述例が複数ある。住友林業の住宅広告でもラオスマツの使用をPRしており、これがメルクシマツ(Pinus merkusii)であることを明記しているが疑問。
Aユサン(油杉)説:ラオスマツとして流通しているのは,我が国でユサン(油杉)と呼んでいるインドシナ半島から雲南省にかけて分布しているマツ科アブラスギ属(シマモミ属又はユサン属とも)のKeteleeria davidiana であろうとの記述がある。【日本木材総合情報センター】
Bメルクシマツとは別物説:商品広告で、カンボジアマツ(メルクシマツの天然木)と比較して、脂が少ないとして、メルクシマツとは別種であることを比較説明している複数の例がある。
ラジアタマツ1 (radiata pine,Monterey pine )マツ科マツ属(Pinus radiata)ラジアータパイン,ニュージーランドマツ,チリーマツとも。カリフォルニア州西部のごく一部に自生。 ニュージーランド,チリで広く植林され,その木材は海外にも輸出され,日本にも大量に輸入されて,ニュージーランドマツ,あるいはチリーマツなどと呼ばれている。造林木は年輪が広い。青変菌の害を受けやすいので,乾燥の際は注意が必要。日本での評価はまだ低い。梱包材等に利用。
ラジアタマツ2 丸太生産用の樹種として,世界各地の広大な地域に導入されている。ニュージーランド(同国では最も普通の樹木である。),オーストラリア,チリ,アルゼンチン,南西ヨーロッパ,南アフリカなどである。米国内では病変木が多くて価値が低く,地域では下等木材,燃材として使用されてきた。一方市場では他の多くの国で木材製品として評価されている。このマツの米国内での主たる用途は公園や都市の装飾木でその他土壌保全,防風にも利用されている。
ラバーウッド1 ゴムノキ,パラウッド(Parawood タイ),Rubber tree ,Rubberwood。トウダイグサ科(Havea brasiliensis)パラゴム(Para rubber)。もともとはブラジル原産。淡黄白色でいろいろな色に塗装することは容易。ゴムノキの廃材利用で,この木材が非常に菌害を受けやすいので,速やかに乾燥してから加工している。大きい直径の丸太は得られないため,集成材として家具に広く利用されている。【須藤ほか】
ラバーウッド2 ゴムの木のプランテーションは数百年にわたって熱帯諸国で行われてきた。ゴムの木は一般に30年でラテックスの生産量が極端に低下するため伐採更新される。材の多くの特徴はラミンに似る。
ラバーウッド3 【コメント】お手頃価格のダイニングセット,学習机に多い。商品の表示もラバーウッドとしているのが一般的で,「ゴムノキ」の表示は目にしない。
ラミン1 (Ramin マレー語地域全体の総称名)ゴニスチルス科ゴニスチルス属 (Gonystylus bancanus が最もよく知られている。) 。属としてはマラヤ,フィリピン,ボルネオ,スマトラ,ニューギニア,ソロモン群島,フィジーなどに分布。非フタバガキ科の木材で日本の市場でも知名度が高いものの一つ。材は淡黄色〜黄白色。いまは輸入量は減少し,用途は家具,内装用が中心。(内部装飾,家具,指物,器具など。特に,淡色で清潔感の必要な用途(額縁の枠など)に好まれる。)【須藤】
ラミン2 ・ラミンはボルネオ島に量的に纏まった蓄積があり、ラワン丸太の全盛期にも合板用材としてではなく製材用として輸入されていた。
・1978年にインドネシアで丸太の輸出が禁止になる以前は,輸入南洋材の1.5%を占め,価格も安かったために,一時期大量に消費された。【宮本】
・ラミン(ゴニスチルス属)は2002年に不法伐採を懸念するインドネシアより,ワシントン条約の附属書Vに追加された。さらに,2004年には付属書Uに格上げされ,輸入に際しては輸出国の輸出許可が必要となった。
ラミン3 【コメント】どのホームセンターでも,各種径のラミンの丸棒加工品を必ず販売している。カーテン棒,ダボ等に利用できる。麺棒にも利用可。なお,本種をジンチョウゲ科に分類している場合がある。
ラワン1 フタバガキ科のショレア属,パラショレア属,ペンタクメ属の3つの属に含まれる百種以上の樹種群のフィリピンでの呼び名(タガログ語)。同じような樹種群をボルネオ/(マレーシア)あたりではメランチ(メランティー)と呼び,サバ/(インドネシア)ではセラヤと呼ぶ。【上村】
ラワン2 ・フタバガキ科に属する一部の樹木およびその木材を総称するフィリピン名で,サラノキ属Shorea,パラショレア属 Parashorea,ペンタクメ属 Pentacme の3属約10種からなる。木材の色調からふつうレッドラワン類 red lauan(心材は赤褐色〜濃赤褐色),ホワイトラワン類 white lauan(心材は淡灰白色〜淡桃褐色),イエローラワン類 yellow lauan(心材は淡黄白色〜淡緑黄色)の3グループに分けられる。
・近年はボルネオおよびスマトラがもっぱら南洋材の供給源となっている。これらマレー語圏ではラワンに相当する樹種および木材(すなわちサラノキ属などの樹種で,木材が比較的軽軟なもの)をメランチ meranti またはセラヤ seraya と呼んでおり,日本の木材市場でもこの名で広く通用している。【百科】
リオグランデ・パリサンダー1 東急ハンズの木のハガキのシリーズの一つとして販売されているほか,日本語のネット情報も見かけたものの,日本国内での勝手な流通上の呼称である可能性がある。これに近い名称としては,英名ブラジリアンローズウッドのドイツでの名称の一つに Rio Palisander の名称があるが,もちろん別物である。 
リオグランデ・パリサンダー2 この材はムラサキ科のボコテ(Bocote)であるとして取り扱っている国内情報がある。海外サイトの商品写真を見ると,色合いは似ている。ただし,ボコテはCordia属の複数種を指す模様であり,Cordia gerascanthus, Cordia elaeagnoides 等の名が見られた。しかしながら,リオグランデ・パリサンダー Liogrande parisandre ?の呼称は,海外サイトでも全く確認できない不思議な呼称であり、どこでこんな呼称が生まれたのか、その発生源は全く確認できない謎である。
⇒ボコテを参照
リグナムバイタ1 Lignum-vitae 英語市場名)ポックウッドグアヤックユソウボク。ハマビシ科(Guajacum officinale及び G.sanctum)天然分布域はフロリダ南部,西インド諸島など。また,大陸ではメキシコから中米さらにコロンビア,ベネズエラなどであるが,前者が枯渇し,次いで後者が使われて少なくなった。世界で最も重い木材として有名。材は濃緑褐色,木理は著しく交錯。25%前後の樹脂を含有し,船のスクリューのシャフトのベアリングとして用いられた。しかし,最近では代替品であるフェノール樹脂の性能がよくなり,ほとんど使われなくなった。【須藤】
リグナムバイタ2 比重1.23。幹部に油が多く含まれていることで知られる。ワックス分を含むので,潤滑油を差さずに済むオイルレス軸受け,特に船のスクリュー軸受け部品として過去に使われていた。
木材にはサポニンやグッタペルカに似た樹脂を含み,薬用とされ,特に化学的な治療薬が発見されるまでは梅毒の薬として有名であった。このため,癒瘡木ユソウボク)の名がある。
リグナムバイタ3 (Lignum-vitae)ハマビシ科。西インド諸島・中米産。心材は暗褐色〜緑褐色〜黒褐色で,木質は最も重硬で,極めて強く堅牢。油脂多く,光沢がある。油脂分が多いため,切削加工が重硬な割には容易。一種の芳香がある。
リグナムバイタ4 火薬製造用摩擦球に適しブロックのシーブには最も可とす【工藝】
リグナムバイタ5 南米産にして外国商館の手にて輸入せらる材質緻密均一にして肉眼を以て木理木管を見分け難く堅硬石の如し心材黒黝(こくゆう,黝は「あおぐろい」)辺材は黄色割裂し難く保存永し殊に湿気によりて材の反曲膨張することなく摩擦小にして回転し易く索縄の傷み少し滑車として最も適当なり
尚火薬製造用の球長径凡二寸位の楕円球体を作りドラム中に入れ硝石、硫黄、炭粉の粉末、混和を助けしむ一ドラムに入るべき球の重さは百二十キログラムにして一回使用すれば約5%を減ずという【工藝】
リグナムバイタ6 又器械の軸受に好んで用ひらる材緊密均一にして一様に摩滅し並に軸の摩滅を減ず就中材に脂気を有するを以てスクリュウーの軸受の如く脂を指すこと困難なる所には脂を与へずして其用を便ずるの特質あり【工藝】
リグナムバイタ7 この材は,その昔(1508年)難病特効薬としてヨーロッパの医者に紹介され,爾後約2世紀にわたって高価に取り引きされた。リグナムバイタ(Lignum-vitae)とは英語の wood of life の意味で,この材と樹脂が特異の医薬力を持っているとの想像から起こった名称である。日本では癒瘡木と名付けている。【センター】
リグナムバイタ8 生命の木wood of life を意味するLignum vitae の名はたぶんその木の医薬効果に由来する。コロンブスは新世界でこの木に出会っている。ヨーロッパ人は梅毒が奇跡的に治癒することに気づき,16世紀中後期からその樹皮は梅毒の治療用として一般化した。特に英国ではリューマチ疾患と痛風の伝統的な治療法である。民間薬では樹脂を呼吸器疾患と皮膚病に利用していた。派生物は咳の薬として利用されてきた。その他種々の効用が認められている。リグナムバイタにはリグナン,18〜25%の樹脂,バニリン,テルペンを含む。【herbs2000.com】
リグナムバイタ9 Guajacum 属の全種がワシントン条約の附属書Uに掲げられている(Guajacum officinale及び G.sanctumは従前からこの附属書掲載種)。取り引きされるほとんどのリグナムバイタはメキシコ産である。
リグナムバイタ10 【コメント】木場のウッドショップもくもく,東急ハンズでも昔からこの材の半加工品を販売しており,これを手にした人も多いはず。ずっしり重く,艶もよしで,そのまま文鎮となる。
リンバ Limba,米国での市場名はKorina。シクンシ科(Combretaceae),Terminalia superba。西アフリカのシエラレオネからアンゴラにかけて広く分布。欧米では主として合板用として使われる。
レインツリー ⇒ モンキーポッド
レッドウッド セコイア,センペルセコイア,セコイアメスギとも。スギ科 Sequoia semperviens 。心材の耐朽性は非常に高く,また,シロアリに抵抗性がある。米国では建築,構造物,天井,羽目板,サッシュ,ドア,ブラインド,室内のパネルなどに使われる。耐久性が非常に高いことを利用して,クーリングタワー,サイロ,液糟,屋外の家具,スタジアムのベンチ,屋根板などに利用されている。
レッドオーク (Red oak)ブナ科コナラ属(Quercus rubra)北米,ヨーロッパ産。ホワイトオークよりやや軟らかく肌触りはやや粗い。内装材,家具,木工品。【宮本】
心材は桃色から淡赤褐色。ホワイトオークとよく似ているが,材の色に差があると共に,導管がチロースによって塞がれていない。【須藤】
樹木としては,国内ではアカガシワの名も使用されている。
レッドサンダー (Red Sanders,Red sandalwood) 我が国で古くから紅木(こうき)又は紅木紫檀とよんでいたもの。マメ科(Pterocarpus santalinus )インド,スリランカのみに分布。心材は鮮紅色で次第に暗色となる。高級家具材などに。
レッドシーダー (Red cedar,Toon)センダン科チャンチン属の トゥーン Cedrela toonaIndian mahogany インド,東南アジア)のほか,C.guianensisC.huberi などを総称するもの。材は暗紅色でやや柔らかくて加工しやすく,芳香がある。家具材,装飾材,シガーボックスに用いる。なお,アマゾン流域では数種のいわゆるシーダーを産し,材は何れも芳香があり,柔らかく,淡紅色又は紅褐色を呈している。【飯塚ほか】
材は耐朽性が高く,トゥーンと同様の用途がある。【平井】
(参考)エンピツビャクシン(Juniperus virginiana)は 英名はイースタンレッドシーダー(Eastern red cedar)である。また,ベイスギ(Tsuja Plicata)は英名はウェスタンレッドシーダー(Western red cedar)である。
⇒ セドロを参照
⇒ トゥーンを参照
レッドパイン ⇒ 欧州アカマツ(ヨーロッパアカマツ)
レバノンスギ1
(Cedar of Lebanon, Lebanese Cedar)マツ科ヒマラヤスギ属(Cedrus libani )レバノン山やシリア,トルコなどの小アジアの高地に分布。  耐久性に優れるとともに芳香有するレバノンスギは,古代,船の建造やファラオの棺,そのオイルはミイラ作りのためにも使われた。ダビデ,ソロモンは宮殿造営にこのスギを取り寄せたという。国内でもしばしば公園樹として(新宿御苑等)植栽されている。
レバノンスギ2 かつて地域の人々にとってレバノンスギの重要性はその利用面にあった。エジプト人はミイラづくりのためにその樹脂を利用した。そこでその樹脂を「life of death」と呼んだ。材の美しい色,硬さ,よい香り,耐久性のよさといった優れた特性から,フェニキア人,エジプト人,ギリシャ人その他の人々はその材を大いに利用した。フェニキア人はレバノンスギを寺院・住宅の屋根はもとより商船や軍艦の建造に利用した。近隣あるいは遠方の諸王たちは彼らの伝統的な建築や一般の建築用としてこの材を求めた。その中で最も有名なのがエルサレムとダビデの教会,ソロモンの宮殿である。アッシリア人やバビロニア人は寺院,家具に利用した。歴史を通じてその材と副産物のシーダーオイルは立木よりも遙かに貨幣価値があった。ギルガメッシュ時代,すでにエジプト人は造林することなく大量のレバノンスギを造船や輸出目的で伐採し,その後も同様で,残りの森林も鉄道用燃料として切り尽くしてしまった。これはこの材が油脂を含んでよく燃えるため,より手に入りやすいオーク材の利用を避けたことによるものである。数百年にわたってレバノンシーダーはレバノンの国家の標章となっている。【Cedarland】
レモンウッド1 (Lemonwood)アカネ科(Rubiaceae)(Calycophyllum candidissimum) キューバ,メキシコ南部から中米,コロンビア,ベネズエラに分布。Degame,Camaron, Palo camaron (Mexico), Surra (Costa Rica), Alazano(Panama), Guayabo (Colombia), Araguato, Betun (Venezuela).
辺材が多く白色から茶色味のある白色。心材は褐色からオートミール色まで幅があり,しばしば灰色がかる。心材には市場価値がない。木肌は緻密で均一。重硬で高い曲げ強度をもった弾力性がある。アーチェリー弓や釣り竿に利用されてきた。道具柄,ろくろ細工に適し,織機のシャトルやピッカースティック等にも使われる。 【USDAほか】
レモンウッド2 <参考>
(Lemonwood)トベラ科トベラ属 Pittosporum eugenioides ニュージーランド原産。タラタ(Trata)。花木。
レンガス (Rengath)ウルシ科(Gluta renghas ほか)インド,ビルマ,タイ,インドシナ諸国,マレー半島,スマトラ,ボルネオ,ジャワ等に及び,分布の中心はマラヤ,スマトラ,ボルネオ。レンガスとは,マレー語地域における総称名で,ウルシ科の中で樹皮を切りつけた際空気に触れると黒色になり,皮膚に付くとかぶれる樹液を滲出する樹種をいい,主としてGluta属及びMelanorrhoea属の樹主であるが,その他の属のものでもレンガスと呼ばれるものが含まれている。マラヤ産。紅褐色に濃厚な紅紫色の条線があり,底光りのある輝黄色の光沢がある。材質は重硬ないしやや重硬で鉋削性以外の加工は困難であるが仕上がりは良好。【飯塚・センター】
ローズウッド1 ローズウッドの名は元来バラの香りがする木材を総称するものであるが,さらに色や材質などがそれに似た材にも広げているため,この呼称は8科20属の35種にまたがっているともいわれる。中でもマメ科ツルサイカチ(ヒルギカズラ)属 (Dalbergia)の以下の種がよく知られている。
@ブラジリアンローズウッド(Dalbergia nigra
Aホンジュラスローズウッド(Dalbergia stevensonii
Bマダガスカルローズウッド(Dalbergia baroni
Cインディアンローズウッド(Dalbergia latifolia
Dソノケリン (インディアンローズの造林木)
Eココボロ(Dalbergia retusa)⇒ ココボロを参照
Fシタン:複数の種を指す。アジアのローズウッド。⇒ 紫檀を参照
ローズウッド2−1 ブラジリアンローズウッド1:Dalbergia nigra (英名 Brazilian rosewood,palisander)
ブラジル産。黒色と暗橙褐色が縞状または斑状にまざった美しい心材をもち,最高級の装飾材として定評がある。ヨーロッパでは3百年も前から高級家具材として珍重されている。老木ほど高価で,バラの香りも老木でなければ出にくい。建築の内壁や家具に用いられるが,今では蓄積が減り,厳しく伐採制限がされている。現地ではジャカランダJacarandaという。白太の多い若木は白ジャカランダ、ホワイト・ローズウッド(Jacaranda branco,White rosewood)と呼ばれる。加工中のかぶれに注意が必要。
(注)一般にジャカランダといえば、ブラジル原産のノウゼンカズラ科ジャカランダ属のJacaranda minosifollia ジャカランダ・ミモシフォリア を指す。和名はシウンボク(紫雲木)。青紫色の花を付け、鑑賞価値の高い樹木で、熱帯、亜熱帯の各地で街路樹として広く利用されている。国内でも温暖な地域での植栽例がある。
ローズウッド2−2 ブラジリアンローズウッド2:
ワシントン条約の附属書Tに掲載され,商業目的の輸出入は禁止されているため,新規輸入材はない。
ローズウッド3 ホンジュラスローズウッドDalbergia stevensonii (Honduran rosewood)ホンジュラス産。マリンバに使われる。一般には無垢では使わず,ツキ板用材。
ローズウッド4 マダガスカルローズウッドDalbergia baroni (Madagascar rosewood) マダガスカル産。英語では Palisander Rosedood とも。
ローズウッド5 インディアンローズウッドDalbergia latifolia(Indian Rosewood)インディアンローズウッド,インドローズとも。インド,ミャンマー,インドネシア産。心材は赤色,褐色,紫色,黒紫色などが入り交じって不規則な縞を形づくって装飾的な模様となっている。家具キャビネット,建具,建築ブラシ柄,ナイフ柄,唐木細工などに。化粧単板としての利用が多い。【須藤】
ローズウッド6 ソノケリン:Sonokeling インディアンローズの実生をインドネシアで育てたもので,成長が早いため木理が粗い。量が減少したインディアンローズの代用として広く用いられている。【宮本】
ローズウッド8 エセンシャルオイルとして市販されているローズウッドはクスノキ科アニバ属のAniba parviflora(ブラジル,カメルーン),Aniba rosaeodora (ブラジル) 等の木部を蒸留して得るとされる。
ワシントンチェリー (Washington cherry)バラ科。北米産。年月が経つと黒く変色する。ブラックチェリーほどは,黒くならないとされる。家具材。【宮本】
⇒ 日本固有の呼称か? 学名不明