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街の鉄蓋
  都会の道路はマンホールの蓋や小蓋だらけだ!
  その6 通信関係の鉄蓋


 通信系の鉄蓋は、現在の郵便局の紋章を使っていた旧逓信省の鉄蓋、電電公社〜NTTの鉄蓋、たぶん膨大な数になると思われる電気通信事業者の鉄蓋、有線ラジオ・ケーブルテレビ事業者の鉄蓋が主たる顔ぶれとなる。普段意識はしていなかったが、聞いたこともない電気通信事業者が多く、しかも吸収合併等も激しいためか、会社名もコロコロ変わっていて、これらを正確に理解する気はなくなる。
 こうした実態がある中で存在感を示しているのは、やはり石縁を持った堂々たる古い鉄蓋である。これらは文化遺産として丁重に保存されるべきものと思われる。 【2021.5】


 
              旧逓信省・二崩し地紋鉄蓋
 大きな8個の御影石の石縁にがっちり囲まれた豪勢な鉄蓋である。中央に旧逓信省のマークである現在の郵便局マークがある。こうした立派な体裁の鉄蓋が都内に残っているのは幸いであり、たぶん周辺の工事があっても丁重に扱われているものと思われる。  
 
     
 
 旧逓信省・二崩し地紋鉄蓋 同左中央部分 
 
     
 
             旧逓信・菱格子地紋・角型鉄蓋
 2枚組の角型鉄蓋で、やはり逓信省のマーク入りで、御影石の石縁が囲んだ大型タイプである。
 こうした旧逓信省の鉄蓋は、ふつうに考えれば現在のNTTが継承しているものと思われるが、古い蓋が本当に現役であるのか否かはわからない。
 この鉄蓋の設置場所は以下の写真のとおりである。
 
     
 
旧逓信・菱格子地紋・角型鉄蓋
前出の鉄蓋の設置場所で、文科省の前である。やや目立ちすぎの感もあるが、文化遺産であるから大切にすべきである。 
同左中央部分の様子
マークの溝が浅いため、横棒がくっついてしまっている。 
 
     
 
旧逓信省・二崩し地紋鉄蓋
気をつけて見れば、この手の鉄蓋は都内には結構残っているようである。 
同左の中央部分
マークの左右に文字らしき痕跡が認められる。 
   
旧逓信省・二崩し地紋鉄蓋
この蓋では文字の判別が可能である。 
同左の中央部分
右書きの「電話」の文字入りである。上の鉄蓋のマークと同じと思われる。 
   
旧逓信省・菱格子地紋・角型鉄蓋 
前出の角型鉄蓋よりも細長いタイプである。
旧逓信省・角型鉄蓋
表面にコンクリートを塗り込んでいるが、昔からこうした仕様のものがふつうにあったのか、詳細は不明。   
 
     
 
                  警察電話・二崩し地紋・角型鉄蓋
  丸に「警」の文字があり、その左右に右書きで「電話」の文字入りである。二崩しの模様は、先の逓信省の丸鉄蓋と同様である。警察電話自体は現在でも専用回線が運用されているようであるが、こうしたメンテナンス用の蓋はまれな存在となっているから、現在では既に専用の管路、明示されたメンテナンスホールは存在しないと思われる。
 
     
 
旧電電公社・T字模様・丸鉄蓋
伝統的なT字模様の地紋で、Telegraph & Telephone のそれぞれの頭文字のTをデザイン化したものらしい。 

旧電電公社・T字模様・角型鉄蓋
電電公社のマークは電気通信省の時(昭和24年)から使用されてきたものという。 
   
旧電電公社コンクリート蓋 
アスファルト舗装と協調した表面仕上げである。
NTT・T字模様・小型丸鉄蓋
蓋の外径は76.5センチほどである。NTTとなってからもT字型の模様を惰性で継承している。 
   
NTT・T字模様・大型丸鉄蓋
蓋の外径は92センチほどである。 
NTT・鱗模様・角型鉄蓋 
   
NTT・耐スリップ型鉄蓋
この手の模様が近年はやっていて、NTTはやっとこの模様の蓋に順次切り替えるようである。 
東京都紋章・電話線角型鉄蓋
都紋章の中に「話」の文字が入った鉄蓋で都営住宅の前で見られたものである。 
   
   
東京都紋章・電話線鉄蓋(再掲) 
都立日比谷公園で見られたもので、前出の丸蓋タイプである。
東京都紋・角型鉄蓋
都営住宅付近で見られたもので、電話線鉄蓋と思われる。 
   
大型建築物用電話線角型鉄蓋
 
大型建築物用電話線角型鉄蓋
 
   
自衛隊・通信系角型鉄蓋
山手通り、中目黒の歩道脇で見られたものであるが、このあたりは目K川を隔てて自衛隊の関連施設が多数存在し、たぶん関係の一般通信用施設の鉄蓋と推定した。T字の地紋に桜花紋のある鉄蓋は、自衛隊の基地内ではふつうに見られるという。 
自衛隊・通信系角型鉄蓋
単独の桜花が自衛隊の正式な紋章となっているものではないが、桜花はエンブレム、徽章、旗等に主要なパーツとして使用されている。機動隊もなぜか桜花が大好きである。 
 
         警視庁の電話・通信用ケーブルの角型鉄蓋か?
 警視庁庁舎横の歩道で見られたもので、T字の地紋からも警視庁の電話・通信系のケーブルの鉄蓋と推定した。
 
          国土交通省・情報・角型鉄蓋
 旧建設省、現国土交通省の鉄蓋では種別表記のないものが多くて迷惑しているが、この蓋では「情報」とあるので、通信ケーブル用と受け止めてここに登場願ったものである。同省の奇妙なシンボルマークが見られる。地紋は凹みL字模様である。
   
 
国土交通省・情報・丸型鉄蓋
こちらは丸形の「情報」鉄蓋である。 
CATV・L字模様鉄蓋
CATVはケーブルテレビの意味であり、これでは具体的な会社名は不明。土井製作所の鉄蓋である。 
   
CATV・L字・十字模様角型鉄蓋 
Coltテクノロジー・化粧角型蓋
Coltテクノロジーサービス株式会社は電気通信事業者
   
MCIワールドコム・ジャパン・角型鉄蓋
ワールドコム・ジャパン株式会社(電気通信事業者)は旧名。後にMCIワールドコム・ジャパン株式会社 に変更。現ベライゾンジャパン株式会社。
 MCIワールドコム・ジャパン・角型鉄蓋(紋章部分)
   
ベライゾンジャパン・化粧蓋
ベライゾンジャパン株式会社は電気通信事業者。 
ベライゾンジャパン・紋章部分
 
   
GALグローバルアクセス・L字模様・角型鉄蓋 
グローバル・アクセス株式会社は旧名( 電気通信事業者)で、蓋にはその地区の担当者のニックネームが付いていることで知られる。
GALグローバルアクセス・紋章部分
他社と合併し、丸紅アクセスソリューションズ株式会社、さらにアルテリア・ネットワークス株式会社に商号を変更。一般にダサいマークが多いが、これはかっこいい。
   
KVHテレコム・連結円模様・角型鉄蓋 
KVHテレコム株式会社は旧名で、現 Coltテクノロジーサービス株式会社(情報・通信事業者)
KVHテレコム・連結円模様鉄蓋
   
CTTケーブルテレビジョン東京・T字模様・角型鉄蓋
株式会社ケーブルテレビジョン東京( 有線テレビ事業者)は旧名。株式会社ジェイコム東京に吸収合併され、会社解散。  
CTTケーブルテレビジョン東京・連結円模様・角型鉄蓋 
   
CTTケーブルテレビジョン東京・連結円模様鉄蓋
土井製作所の製品である。
CTT・ゆうせん鉄蓋 
CTTとUSENの共同施設か? この鉄蓋は、CTTの丸鉄蓋(左写真)に「ゆうせん」の文字を付加したデザインとなっている。
   
ゆうせん・角型鉄蓋 
株式会社USENは音楽配信事業などを事業実施。
CWC・鱗模様鉄蓋 
株式会社クロスウェイブコミュニケーションズ(電気通信事業者)
   
CWC・鱗模様・角型鉄蓋
 
日本テレコム・T字模様・角型鉄蓋
日本テレコムはかつて存在した旧国鉄系の電気通信事業者。現在はソフトバンクグループ。
   
日本テレコム・鱗模様・角型鉄蓋
この蓋ではマークの向きが変則で、いい加減である。  
 
 
日本テレコム・菱格子模様・角型鉄蓋  日本テレコム鉄蓋
   
ソフトバンク角型鉄蓋(部分) 
ソフトバンク株式会社は電気通信事業者。
国際電信電話(KDD)・T字模様・角型鉄蓋
国際電信電話株式会社(電気通信事業者)はKDDIの前身会社の1つ。 
   
   
TWJ 日本高速通信・鹿の子模様鉄蓋
1998年12月に国際電信電話株式会社(KDD)と合併し、合併後の会社名がKDDに変更された・ 
TWJ 日本高速通信鉄蓋(同左部分)
鹿の子模様の地紋は少ない。 
   
KDD・鹿の子模様・角型鉄蓋  KDD角型鉄蓋(同左部分) 
先のマークと異なるが、1998年12月に日本高速通信(TWJ)と合併した後のマークとされる。
   
DDI・第二電電・T字模様鉄蓋
第二電電株式会社は、かつて存在した電気通信事業者で、現在のKDDI株式会社の直接の前身企業。 
DDI・第二電電・T字模様・角型鉄蓋
第二電電は2000年10月に先の国際電信電話と日本移動通信(IDO)を吸収合併して次のKDDIとなっている。
   
KDDI・連結円模様鉄蓋 
KDDI株式会社は電気通信事業者。KDDIとなった後にも多数の事業者を吸収合併、事業統合している。
KDDI・連結円模様・角型鉄蓋 
   
J:COM化粧蓋
株式会社 ジュピターテレコムはケーブルテレビ・電気通信事業者。 
J・COM角型化粧蓋
 
   
TCV角型化粧蓋 
財団法人東京ケーブルビジョン(ケーブルテレビ事業者)は他事業者に譲渡され、現在は存在しない。
TyCom旧タイコ江見・T字模様・角型鉄蓋
現 タタコミュニケーションズジャパン
   
MDA丸の内ダイレクトアクセス・角型鉄蓋
丸の内ダイレクトアクセス株式会社は電気通信事業者。 
TCN東京ケーブルネットワーク・角型鉄蓋
東京ケーブルネットワーク株式会社はケーブルテレビなどの電気通信事業者。 
 
     
   電気通信事業者の変遷の歴史を図で説明した情報がネット上で確認できるが、その複雑さはため息が出るほどである。ケーブルや鉄蓋の管理も複雑化しているのでは、心配になるほどである。