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街の鉄蓋
  都会の道路はマンホールの蓋や小蓋だらけだ!
  その9 その他の鉄蓋


 ここでは、今までに登場していない、その他のよろず鉄蓋を採り上げることとする。
 現役なのかはっきりしないものもあるが、鉄蓋の多様性を示す事例として認識するところとなり、学習のきっかけにもなった。 【2021.7】


  <東京市電気局〜東京都交通局の鉄蓋>   
     
   明治44年に発足した東京市電気局(東京都交通局の前身)は当時の東京鉄道株式会社から引き継いだ3箇所の火力発電所の運営(昭和17年まで)と路面電車事業を開始し、昭和18年には東京都交通局に改称され、発電事業に関しては順次3箇所の水力発電所を建設して電気事業者に電力を供給してきているいう。
 都交通局の前身組織が歴史的には発電事業の運営に継続的に関わって設置されて現在に至っているとは全く認識がなかったことである。 
 
     
 
     東京市電気局の鉄蓋
 3枚組の大型鉄蓋で、真上からの撮影は困難である。
 既に文化遺産的な風格があ、都内の道路にこうしたものが存在すること自体が驚きである。かつては地中配電線が収まっていたはずである。
  左の鉄蓋の所在地の様子
 六本木通りの裏通りである。
 東京電力が継承しているとはとても思えない。 
 
     
 
     東京市電気局の鉄蓋(1枚分の様子)
 逓信省の古い鉄蓋と同じ二崩し地紋で、中央に下手くそな文字で「市電燈 N O」とある。たぶん空白スペースは管理番号を入れる仕様と思われる。
 この蓋や交通局の蓋の現在の機能に関しては、交通局がセキュリティ-等の兼ね合いから情報開示できないとして理解不能な頑な姿勢をとっていることから、全く不明である。交通局の鉄蓋は通信系のケーブルが収まっているのかも知れないが、旧電気局の蓋に関しては数も少なく、休眠施設と化している可能性がある。  
 
     
   ★ 東京市電気局の丸鉄蓋の存在も確認しているが、追って採り上げる。   
     
 
  東京都交通局・角型鉄蓋・T字模様
 今度は電電公社や古いNTTの鉄蓋でみられるT字模様が採用されている。2枚組の蓋で、それぞれの中央には交通局の紋章が入っている。 
  同左交通局紋章部分
 この交通局の紋章(交通局章、局紋マーク)は東京都紋章のうち、中心から六方向に広がる直線部分を稲妻の形にアレンジしたデザインとされる。個人的には、古い電車の鉄輪をデザインしたものと受け止めていた。  
   
  東京都交通局・角型化粧蓋
 天然石を貼った化粧蓋のバージョンである。 
  同左交通局紋章部分
 この交通局の紋章はかつては都営バスの正面にも取り付けられていたが、現在は都シンボルマークに変わっている。沿革的には、都の各局固有の紋章は次第にイチョウの葉っぱに似たTの文字由来の都シンボルマークの使用に統制されてきたようである。 
   
  東京都交通局鉄蓋・変形東京市型地紋
 
  東京都交通局鉄蓋・T字模様
 
   
  東京都交通局鉄蓋・ 東京市型地紋
 交通局としては不本意ながら都シンボルマークの使用に切り替えたものと思われる。
  東京都交通局・デザイン鉄蓋 
 下水道局のデザインマンホール蓋と同様の仕様で、樹脂プレートをトルクスネジで留めているコスト節減タイプであるのはよろしい。中央の写真の電車は都営地下鉄浅草線5500形らしい。
   
 
  東京都交通局コンクリート蓋 
 中央に東京都紋章がうっすら見える。「都シンボルマーク」と「東京都交通局」の文字表示はあるが、シール転写のような貧相で簡便な表示で、暫定蓋であろうか。
 
 
     
  <地域冷暖房事業者の鉄蓋>   
     
   「地域冷暖房」とは、一定地域内の多数の建物へ熱製造プラントから導管を通し、冷水や蒸気を供給して冷暖房・給湯などを行うシステムとされ、集中処理による合理的、効率的な運用が可能となっている模様である。  
     
     
 
  丸の内熱供給株式会社の鉄蓋 
  丸の内熱供給株式会社の角型鉄蓋
 
   
  旧(株)エネルギーアドバンスの鉄蓋 
 株式会社エネルギーアドバンスは東京ガス・エンジニアリング株式会社と合併し、 東京ガスエンジニアリングソリューションズ株式会社となっている。
   同左社章部分
 
   
  旧(株)エネルギーアドバンスの鉄蓋    品川エネルギーサービス(株)鉄蓋 
 
     
  <油槽鉄蓋>   
     
 
   油槽鉄蓋
 歩道脇のビルの前で見られたもので、地下燃料タンクの蓋である。NYCはメーカー名の略称か? 
   油槽・ガス検知管口鉄蓋
 油槽蓋付近で見られたもので、漏れを検知するための管口と思われる。 
   
     油槽鉄蓋
 蓋の構造としては親子蓋と思われる。株式会社工技研究所(KOHGIKEN CORPORATION)の製品である。 
    油槽鉄蓋
 左と同じ会社の蓋であるが、仕様が少々異なっている。 
   
 
  油槽・ガス漏えい検査管口鉄蓋
 工技研究所の製品である。 
 
 
     
  <基準点、水準点等>   
     
   東京都などの地方公共団体が設置した測量の基準点を「公共基準点」と総称しており、東京都のものは「東京都公共基準点」と総称している。
 また、地番変動を把握するため、都内では約780箇所の「水準基標」について、1級水準測量が実施されている。
 
     
 
 公共基準点・都土木技術研究所(1級・地上本点)
 東京の1級基準点は特に「東京都公共基準点」と呼び、「東京都土木技術支援・人材育成センター」が設置/管理している。土木技術研究所」は旧称である。 
 公共基準点・都道路管理部(2級?)
 設置者が建設局道路管理部となっているから、2級であろうか?  
 東京都が設置する2級基準点3級基準点は特に「東京都道公共基準点」と呼び、道路管理を目的として建設局道路管理部、各建設事務所が設置・管理している。 
   東京都・公共基準点標識・3級
 写真は蓋ではなく永久標識であるが、参考掲載した。 
   東京都・水準基標蓋
 都内の地盤の変動状況を調査するための水準測量の測量地点である。、  
   
   公共測量基準点鉄蓋
 この蓋は設置主体を示す表示もなく、属性が何だかよくわからない。 
   品川区・公共基準点蓋
 品川区が管理する公共基準点である。 
   
    観測井 1
 地下水位の変動を観測するため、井戸の水面にフロートを浮かべ地下水位を自動記録する装置とされる。 
   観測井 2 
 こちらの蓋の方が文字、模様が明瞭であるが、鉄枠の上部の3箇所に割れが生じている。
   
 
   港区・BM
 標高が既知である基準点で、BMはベンチマーク(benchmark)の略号である。
   中央区・路面表示板 
 鉄蓋ではないが、ゴージャスな真鍮製の路面表示板を見かけたので、飛び入り参加である。無骨なマンホール鉄蓋やハンドホール鉄蓋のデザインの改善に役立ちそうである。 
 
     
  <災害用トイレの鉄蓋>   
     
   災害用トイレ(マンホールトイレ、防災トイレとも)は、下水道管、あるいは下水道管への取り付け管に沿って専用のマンホール鉄蓋を設置し、災害時にはこの蓋を外して便器を取り付けるとともに、目隠しのカバーを設置して、臨時的なトイレとして提供されるものである。
 
 身近で確認できるのは都立公園区立公園のように、空間的な余裕のある場所で、市街地では設置スペースに制約があることから、ほとんど見かけない。 
 
     
 
  災害用トイレ鉄蓋
 旧東京水産大学の構内で見られたものである。これと同じタイプは区立公園でも見かけた。 
  災害用トイレ・点検孔
 点検孔とあるから、何を点検するのかわからなかったが、聞いてみると、中に溜まったウンチを流すための水洗用の水を投入する口とのことであった。ウンチだけではやはり滞留しやすいのはわかるが、断水時にどこで水を確保するのかは聞き忘れた。  
   
  災害用トイレ鉄蓋
 これはせせこましい市街地の歩道脇で見られた災害用トイレである。中央の長方形の蓋を外してポットン口とするようである。伊藤鉄工の製品である。 
  災害用トイレ鉄蓋
 都立木場公園で見られた災害用トイレで、東京都のシンボルマーク入りである。 
   
 
  ズラリ並んだ災害用トイレ鉄蓋
 都立日比谷公園で見られた災害用トイレで、都立木場公園でも同じものが設置されていた。 
  同左個別の災害用トイレ鉄蓋
 やはり、東京都のシンボルマーク入りである。
 
   
 
  ズラリ並んだ災害用トイレ鉄蓋
 港区立芝公園で見られた災害用トイレである。たぶん先のものとはメーカーが異なるようである。  
   同左個別の災害用トイレ鉄蓋
 難しいものではなく、中央の楕円形の蓋が観音開きとなってポットン口となる。
   
   災害用トイレ鉄蓋
 小さな小蓋を外して洋式便座を設置できるタイプのようである。 
   災害用トイレ鉄蓋
 六角穴付きボルトで蓋が固定されている。
 全体の様子は以下のとおりである。 
   
   災害用トイレの様子 
 見慣れた災害用トイレとは異なった風景である。方形のコンクリートで覆われた中ほどに、前出写真の角型の小さな鉄蓋がある。写真手前側の丸鉄蓋はトイレ孔とセットでよく見られる「点検孔」である。
  災害用トイレの様子(同左反対側) 
 写真の奥側に奇妙な形の何らかの施設が見られる。 その様子は次のとおりである。
 
   
    付帯給水施設
 簡便なレバーと下向きの管口があるから、水道の蛇口のようである。しかし、停電すれば水道機能は失われることになると思われるが・・・ 
    付帯給水施設(反対側) 
 反対側を見ると、ゴムカバーの付いたスリットがあり、中をのぞき見ると、可動式のパイプの差し込み口が見えた。何と持ち手を差し込めば手押しポンプに変身するという代物であった。トイレ機能の維持のためにも水は必要である。