トップページへ     街の鉄蓋目次へ
街の鉄蓋
  都会の道路はマンホールの蓋や小蓋だらけだ!
  その11 鉄蓋の試練


 鉄蓋にとって2つの試練が確認できる。

 ひとつ目は酷使による摩耗である。本来は、安全上の観点から、一定の摩耗が進行したものは取り替えられるべきであるが、かなりすり減ったものがしばしば見られる。

 ふたつ目は点字ブロック(視覚障害者誘導用ブロック)との関わり合いである。点字ブロックと鉄蓋が一体的に整備されれば必要な調整が事前になされるはずであるが、点字ブロックが後追いとなる場合は、そこにドラマが見られる。 【2021.8】


  <試練 その1 摩耗に耐える鉄蓋>   
     
 
  東京市電気局鉄蓋 
 二崩し模様に中央には電気局の定番の紋章が何とか確認できる。ここまですり切れた鉄蓋が車道に存在すること自体が驚異である。休眠蓋の可能性がある。
  東京都・共同溝鉄蓋
 中央に東京都紋と「共同溝」の文字が何とか確認できる。やはり、車道で酷使されてこうした状態となっている。 
   
  下水道局鉄蓋 
 東京市型地紋は認知しやすい。これも車道で見られたものである。
  下水道局鉄蓋
 これは歩道で見られたもので、下水の鉄蓋と推定される。歩道でもこれだけ摩耗するという教材である。 
 
     
   擦り減った鉄蓋を見た場合に湧き出るひとつの感情は働く鉄として敬意を表する必要があるという受け止めと、もうひとつの感情は、これはもう管理不行き届き、職務怠慢以外の何物でもないという受け止めである。どんな事情があるのかはわからないが、尋常でないことは確かである。特に歩道の場合は、年寄りが滑って転んで骨折する恐れがある。   
     
  <試練 その2 鉄蓋の葛藤>   
     
   後追いで整備された点字ブロックは、鉄蓋の存在に対してどのように振る舞っているのかは興味深い。

 点字ブロックを設置することに関して、行政としての仕様がどうなっていたのか、鉄蓋の管理者との調整が図られているのか、それとも全くの現場施工業者の気持ちひとつなのか等々いろいろ考えてしまう風景を見る。

 基本的に、点字ブロックは圧倒的に優位な立場にあると考えられるが、実際の風景を見ると必ずしも一貫性があるようでもなく、鉄蓋は時に尊重され、時に蹂躙されている。 
 
     
 
   消火栓と点字ブロック
 消火作業に必要な消火栓を点字ブロックで覆って見えにくくしてしまうようなことは考えにくいから、この扱いは納得感がある。。 
    消火栓と点字ブロック
 消火栓は尊重されているようである。
   
   信号施設用鉄蓋と点字ブロック 
 この対応は微妙である。信号機がらみの鉄蓋が見えないと困ることなどないはずであるが、警視庁を意味する「警」の文字に作業者が忖度してしまったように見える。
   信号施設用鉄蓋と点字ブロック 
 信号機がらみの「丸K」表示が警視庁を意味することはあまり知られていないが、点字ブロック設置の作業者はこれを知ってか、しっかり敬意を表しているようである。
   
  信号施設用鉄蓋と点字ブロック 
 この丸K蓋はゴージャスな御影石貼りであるため、遠慮したように見える。
   信号施設用鉄蓋と点字ブロック  
 このケースでは、しっかり点字ブロックが覆っている。
   
  信号施設用鉄蓋と点字ブロック
 ここでは、容赦なく点字ブロックが覆っていて、全く遠慮は見られない。まあ、これでよいのであろう。 
  下水道鉄蓋と点字ブロック  
 下水道の蓋は謙虚であるから、点字ブロックは躊躇なく蹂躙している。種別表示も見えなくなっている。
   
  下水道鉄蓋と点字ブロック
 
点字ブロックの前には、下水道の蓋はなきに等しい。 
  電電公社角型鉄蓋と点字ブロック
 これを見ると、電電公社は点字ブロックに対して傲慢な態度を示しているように受け止められる。 
   
  電電公社角型鉄蓋と点字ブロック 
 ここでも点字ブロックにとって電電公社の鉄蓋はアンタッチャブルの存在なのかと受け止められるであろう。
  NTT鉄蓋と点字ブロック 
 一貫性がないのか、この点字ブロックは健全である。