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街の鉄蓋
  都会の道路はマンホールの蓋や小蓋だらけだ!
  その7 信号の鉄蓋(信号施設用ハンドホール鉄蓋)


 信号機のそばには多くの場合、丸の中に‘ K ’の文字か「警」の文字が入った鉄蓋が見られることが多い。警視庁(あるいはピーポ君)がこのことに関して積極的な広報を行っているわけでもないため、確たる自信に基づいた講釈は見られないが、通説としてこれらが信号施設のハンドホール鉄蓋であろうと理解されている。確かに、ほかに該当するものもなさそうで、たぶん正解であろう。
 この蓋は特別感動するような要素は全くないが、信号機の支柱付近という環境にあることから、観察としては非常に楽な存在であるため、ついでの写真を撮りだめてみた。 【2021.6】


   都内区部の限られた範囲をざっと見た上での気づきの点は以下のとおりである。

 (以下、警の文字が入ったものを「丸警鉄蓋」、Kの文字が入ったものを「丸K鉄蓋」と呼ぶことにする。)  
 
     
 
 @  丸警鉄蓋丸K鉄蓋の2種が存在するが、数としては丸K鉄蓋が主流である。たぶん、沿革的には丸警鉄蓋から丸K鉄蓋に転換されてきたように見える。都内でKはいずれも「警視庁」の意と解される。  
 A  全国的には、の文字入り蓋は普遍性がある模様であるが、Kは都内固有のものかも知れない。 
 B  交差点での鉄蓋の配置の原則は見てもよくわからない。道路幅の広い大きな交差点では鉄蓋が4つのコーナーにそれぞれ複数設置されていて、例えば有楽町駅前交差点では丸警鉄蓋が8個、新橋四丁目の交差点では丸K鉄蓋が10個も設置されていた。 
 C  鉄蓋の模様(地紋)は様々で、古典的な東京市型地紋から各メーカー固有の地紋まで、ほとんど節操がないほどに多様な製品が利用されている。善意に解釈すると、蓋表面の滑り止め効果や経年的な耐久性等の参考情報が得られることも意識してきたのかも知れない。結果としてなのかはわからないが、近年のトレンドである、滑り止め効果を高めたタイプの鉄蓋が登場している。 
 
     
  <丸警鉄蓋>   
     
 
   
  丸警鉄蓋・東京市型地紋 1
古典的な蓋は、特に考えることもなく東京市型地紋を採用していることが多い。「警」の字体について、ゴシック体の文字は事務的で面白くない。 
  丸警鉄蓋・東京市型地紋 2
 この蓋では楷書体が採用されていて、やはり「警」の文字はこれでないとだめである。 
   
  前出丸警鉄蓋の文字部分
「警」の文字はこの書体でないと雰囲気がでない。心にやましいところがある人は、この文字を見ただけで血圧に変化を来すはずである。 
  丸警鉄蓋・石積み模様
 
   
  丸警鉄蓋・菱格子模様    丸警鉄蓋・菱形小紋 
   
  丸警鉄蓋・格子模様    丸警鉄蓋・十字模様 
 
     
  <丸K鉄蓋>   
     
   「マンホールのふた(林丈二 1983)」では、「警」の文字が入った鉄蓋については「信号施設関係の蓋」としているが、‘K’の文字のはいった鉄蓋には触れていない。発行当時には多くなかったのかも知れない。

 これらが信号施設関係の蓋であることは間違いないと思われるが、警視庁自身、あるいはピーポくんが、このことについて特に講釈しているわけではないので、証拠を示すことができないのは残念なことである。

 だだ、目で確認できる状況証拠として、信号機の支柱に、丸Kの表示があるボックスが取り付けられている風景は、しばしば目にすることができる。  
 
     
 
信号機支柱に丸Kマークのボックスがある例 1  信号機支柱に丸Kマークのボックスがある例 2 
   
  丸K鉄蓋・東京市型地紋    丸K鉄蓋・細身の東京市型地紋 
   
  丸K鉄蓋・破線同心円模様
 4個の爪で蓋を押さえてボルトで固定している。 
   丸K鉄蓋・四ツ目編み模様 
 第一機材の製品である。
   
  丸K鉄蓋・L字模様
 水が滞留し易いのか、表面の劣化が見られる。
 土井製作所の製品である。 
  丸K鉄蓋・石張り化粧 
 このタイプはあまり見ないが、違和感がない。
   
  丸K鉄蓋・微細滑り止め模様 
 非常に細かい模様で、よく見なければその形態がわからない。そのため、目立ちにくい蓋となっている。
   同左部分
 
隙間なく丸い凹みで覆った模様で、結果としてひとつの凹みを基準としてみると、周りに4点の突起が存在する。凹みには砂が溜まりやすく、汚れていることが多い。
   
  丸K鉄蓋・アスファルト仕上げ 
 周りのアスファルト舗装と協調した仕上げとした化粧蓋である。歩道用としては靴との相性が最もよい仕上げのひとつである。
   丸K鉄蓋・アスファルト仕上げ
 
残念ながら、しばしば施工にばらつきがあって、この写真のケースでは蓋の縁やマークが出っ張った状態になっているのは歩行の安全上よろしくない。 
   
  丸K鉄蓋・耐スリップ型 
 近年登場した鉄蓋と思われ、滑りにくい性能の向上を意識したものであろう。街路樹から落下するカスが絡みやすい欠点がある。比較的多い蓋である。
 厳密に言えば、Kの周りには丸がない。
    同左部分
 丸と四角の突起が円環状に交互に配されている。 
   
  丸K鉄蓋・耐スリップ型
 前出の鉄蓋とは突起の形態が異なっている。
 やはり、細かいゴミが滞留しやすい上に、当初の塗装がダメなのか、表面が薄汚くなっていることが多い。。
   左と同じタイプの蓋の部分 
 小さなプリン型の突起が丸印、Kの文字上を含めて全面に配されている。
   
   丸K鉄蓋・格子模様 
 ボルト固定タイプである。
   丸K鉄蓋・石積み模様(部分) 
 かつてのサークルKのロゴマークと同じであることに気づいた。
   
  丸K鉄蓋・御影石貼り 
 周囲の御影石と目地をピッタリ合わせているのは忍耐のなせる技である。 
  丸K鉄蓋・コンクリートブロック貼り 
 周囲の舗装材と合わせた仕上げとするには、こうした方形の蓋の方が明らかに都合がよい。ただし、この例では協調性がない。丸Kのマークは右下に小さく遠慮がちに配されている。
   
<おまけ>   
   四角にKの鉄蓋・石貼り化粧
 まれにこうしたものがあって、これでは丸K鉄蓋として一括りにはならなくなってしまう。 
   丸K鉄蓋・東京市型地紋
 この種のデザインの鉄蓋としては珍しくメーカー名が入っていて、「明和電機」とある。人によっては別のものが思い浮かぶようである。