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街の鉄蓋
  都会の道路はマンホールの蓋や小蓋だらけだ!
  【番外編】 目黒川で見られる再生水の散水施設


 下水を高度処理した再生水は特定の地域でのビルの水洗用などに利用されていることは知られているが、屋外でその利用例を目にすることはほとんどない。しかし、目K川に掛かる「御成橋(おなりばし)」の橋桁の下部に、ノズルがズラリと並んでいて、一定の時間毎に再生水が弧を描いて目黒川に放水されている風景を鑑賞することができる。
 後学のために、周辺の関係設備を見て回ると、ちゃんとそのための施設の鉄蓋も存在するのを確認できた。 【2021.10】 


 
        御成橋での散水風景(下流側から見た様子)
 これは橋の下流側での散水風景で、10個のノズルから再生水が弧を描いて目K川に投入されている。橋のたもとに説明板(後出)があって、散水時間は「毎朝8:30と9:00〜21:00の1時間毎に、各回10〜30分散水します。」としている。
 
       御成橋を上流側から見た様子
 写真は散水時間外のものであるが、こちら側にも10個のノズルが確認できる。
 使われている再生水は芝浦水再生センターから送水されているもので、散水の目的については清流復活のためとしている。下水道の整備が既に一定の水準にあることから、目黒川の水質は随分改善されたと言われているから、再生水の散水がどれほど貢献しているのかはよくわからないが、この施設はやはり、再生水の存在・活用をPRすることが主目的であると思われる。 
 
     
    御成橋のたもとに設置された説明板の内容は以下のとおりである。   
     
 
          御成橋(目黒川)についての説明板の内容
 
          再生水についての説明板の内容
 
 
     
  <周辺設備の様子>   
     
 
   散水用ノズルの様子
ノズル先端部は水平方向に平たくなっていて、一応個々にも開閉バルブが取り付けられている。 
   噴水制御盤
 定時に散水するため、電気的にバルブを制御する施設と思われる。右下に見えるのは電気ケーブルの管理のためのハンドホール鉄蓋丸電鉄蓋)である。 
   
   減圧弁マンホールの鉄蓋
 中央に品川区紋章のある東京市型地紋の鉄蓋である。「減圧弁」の表記がある。これは高い圧で送水されてきた再生水を、利用施設にふさわしい圧に自動調整するために使用されているようである。  
   電動弁マンホールの鉄蓋
 こちらの鉄蓋には「電動弁」の表記がある。電動弁は電動機(モーター)で弁の開閉具合を制御できる弁で、先の制御盤に連動したものと思われる。 
   
  取り外された減圧弁マンホールの蓋
 ちょうど、減圧弁の取替作業をしていた際の写真で、幸いにも弁の鉄蓋が外されていた。蓋の上に工具と古いパッキンが載っている。
   減圧弁のマンホール
 マンホールの中は少し広くなっていて、人が入って作業をしている。 右上に見えるのが取替用の新品の減圧弁で、その隣りの汚いものが古い減圧弁である。 
   
   電磁弁の収納箱と再生水メータ
 なぜか、御成橋のまた隣の小関橋のたもとで見られた「電磁弁」の表記のある錠付きの収納箱とメータである。なぜやや離れた場所にあるのかは不明であるが、再生水管の開閉を制御する弁であることは間違いない。電磁弁電動弁がモーター駆動であるのに対して、電磁石に電流を流して開閉を制御する点が異なっている。 
    再生水メータ電子カウンタ
 再生水の使用量が表示されるメータのようである。  再生水は東京都下水道局が管理しており、一般に向けては立方メートル単価が決まっていて、使用者は使用量に応じて料金を支払う必要がある。ここでは自家消費のようなものであるから、どのように整理しているのかは確認していない。
 
     
   周辺にいろいろな設備があるのはわかったが、全体のシステムを理解するには、残念ながらこの方面の知識がないとフムフムということにはならない。

 そこで、参考として公園にある小さな噴水を観察してみた。フェンスにガードされていて立ち入りはできないものの、1箇所に集約された設備は結構複雑な構成となっていた。水を循環利用していることと、その水で水遊びできるよう殺菌装置があるなど、機能が付加されていることもあるが、以下はその様子である。  
 
     
  <参考:公園の噴水設備の例>   
     
 
  公園噴水関係鉄蓋
 電気に依存する設備であるから、電気ケーブルの管理用の鉄蓋は必須である。 
  公園墳水管系鉄蓋 
 こちらは素性不明である。
   
 
  公園墳水管系設備 
 装置の表示として判読できたものに、「噴水設備制御盤」、「モーターバルブ(電動弁の意)」、「紫外線流水殺菌装置」、「薬注システム」の文字が見られた。
  公園噴水関係設備 
 左の施設に連続して、こちら側には「浅井戸用インバータポンプ」、「噴水用上水電磁弁」の文字が見られた。その他の構成機器は不明である。