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旧品川町(しながわまち)の下水道人孔鉄蓋 |
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たまたま目にした鉄蓋であるが、かなりすり減った状態にあり、うっすらと見える模様には心当たりがなく、調べる楽しみを与えてくれた。「マンホールのふた(林丈二)」をパラパラ見ると、残念ながら旧品川町の下水道のマンホール鉄蓋であることが簡単にわかってしまった。 |
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旧品川町の下水道マンホール鉄蓋
中心部に品川町の町章(徽章)が入っているようである。地紋はやや奇妙で、東京市型地紋の凹凸が完全に反転した構造である。こうした個性的なものが昔存在していたとは驚きである。何分年数が経過しているから、全体に摩耗しているのは仕方がないが、鉄枠からかなり落ち込んでいるのは気になるところである。都の下水道台帳には掲載されていない。 |
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マンホールの中心の紋章の様子
すり減って、ややぼんやりしているが、よーく見ると中心の三菱のマークのようなものは、「品」の文字をデザイン化したものであることは容易にわかる。さらに、上方には「下」、下方には「水」の文字をデザイン化して配していることもわかる。全体で品川町の公共下水道事業者の紋章となっているようである。ただし、町章のデザインがキッチリわからないため、品川図書館の資料相談の窓口で、町章の制定時の資料の存在を尋ねたところ、昭和3年の町の公報第一号に掲載されていることを突き止めてくれた。感謝である。 |
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旧品川町下水人孔鉄蓋の位置
品川区北品川1丁目交差点付近(八ツ山通り)で、奥に見えるのは都営北品川住宅である。下水道台帳には記載されていない。 |
出っ張った鉄枠の様子
蓋が鉄枠から落ち込んでいると同時に、鉄枠が路面から出っ張っていて、管理状態はよろしくない。摩耗がこれ以上進む前に別途保存展示した方がよい。 |
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当時の公報第一号を見ると、品川町として初めて公報を発行することとなったということもあり、町長のあいさつに始まり品川町の概革を説明し、同時に新たに制定することになった品川町の徽章(町章)を紹介している。昔の文章は大げさなところがあって面白いので、以下に紹介する。 |
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(昭和3年11月26日 品川町公報 第壹號)
品川町槪革
本町は東京府の東南品川灣に面し帝都の關門を扼し所謂東海道五十三次の主驛にして鎌倉時代には品川氏本町を領し後太田道灌御殿山に御殿を築き居り其の後徳川氏の領するや代官を置き支配し居りしが明治元年代官を廢し品川縣を置きしも同五年これを廢し東京府官轄となる明治十一年二ヶ所に今の大字
品川歩行新宿(しながわかちしんしゅく) 北品川宿 二ヶ村を合併し一は南品川宿 南品川獵師町(りょうしまち) 南品川利田新地(かがたしんち) 二日五日市村(ふつかいつかいちむら)の四ヶ村を合併し戸町役場を設置し明治二十二年五月一日前期六ヶ村を合併し品川町と稱し町制を施行し現今に至る。
現在の品川町梗槪は左の通りなり(面積、人口等の記述は省略)
品川町徽章
國に國旗あり家庭に定紋あり又全國主要都市には其の都市を象徴すべき徽章(きしょう)の制定あり然れども獨り品川町のみは此の制なかりしも今回之を創定し次葉の圖形を以て品川町の徽章と決定す。 |
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公報掲載の品川町徽章(町章)
印刷が悪く、かすれている。さらに製図が悪くて傾いている。中央は「品」の字を、周りの三重円は「川」の字をデザイン化したものであることがわかる。 |
公報掲載の品川町徽章(町章)
気の毒な状態であるため、黒塗りと傾き補正をしたが、そもそも、全体に歪みがあって直しきれない。 |
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謎のJRのマンホール鉄蓋 |
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JRの田町駅から品川駅にかけての東側の海側のエリアには、駅からかなり離れた箇所にもかかわらず、‘JR’の文字の入った鉄蓋が車道や歩道に点々と設置されている風景を普通に見る。中には前身の組織である工部省を意味する「工」の文字の鉄蓋も見られる。これらの地域は、元々埋め立て地が多く、倉庫地帯であった印象があるが、下水道の整備も遅れていた可能性がある。
こうした地域で、JRが自前の下水管を設置していた歴史があるということは、ひょっとすると、JRの敷地内の施設から発生する糞尿を含む汚水を運河や海に垂れ流すために設置した歴史が反映しているような気がしてならない。
念のためにJR東日本に、現在見られるマンホール鉄蓋のある管路の属性について問い合わせてみたところ、JRの管路は雨水や汚水を流すために設置・管理しているもので、東京都の下水道本管に接続しているが、具体的な情報については答えられないとの回答を得た。答えられないとは明らかに怪しさが漂ってくる。
調べてみると、JRによる糞尿を含む汚水の垂れ流しについては、数十年にわたる実績があることがわかった。JR東日本だけでも、各地の駅施設から発生する糞尿を含む汚水を排出する汚水管を何と東京都の雨水管に意図してか、ずさんな業務に由来するものか勝手に接続し、結果として川や運河に糞尿を垂れ流していたことがバレて、大問題となった経過がある。
現在本当にこうした問題がないのかは明らかではないが、回答が半端であったのは、恥ずべき自らの歴史に触れたくないという事情があったのかも知れない。 |
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歩道上のJRのマンホール鉄蓋
基本的には下水管の人孔鉄蓋と思われる。多くは短い間隔で設置されている。 |
車道上のJRのマンホール鉄蓋
下水道局の合流管はくまなく埋設されているから、現在ではこうしてJRの管路が存在する必然性はない。 |
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JRのマンホール鉄蓋・T字模様 |
工部省(旧国鉄)のマンホール鉄蓋・T字模様 |
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工部省(旧国鉄)のマンホール鉄蓋・東京市型地紋 |
JRのマンホール蓋(タイル貼り) |
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謎の都紋章入り6穴コンクリート製マンホール蓋 |
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街中の歩道で、6個のガス抜き孔のあるコンクリート製の蓋をしばしば見る。このうち、旧下水道局マークやサクラマークのあるものは下水道局のマンホール蓋として認知でき、また紋章のないものが私道の合流管のマンホール蓋として利用されている例も併せて別項(下水の鉄蓋 後編)で紹介したとおりである。
悩ましいのは都紋章のある6個のガス抜き孔のあるコンクリート製の蓋である。なぜなら、基本的にはこうした蓋は下水道局では使用していないと聞いたからである。きわめて例外的な例は見ているが、歩道に点々と設置されているのを見ると、もちろん下水道台帳には記載がないから、お手上げである。
こうした例を複数の都道の歩道で確認したことから、東京都の道路部局に問い合わせたところ、道路担当部局(都建設局の建設事務所)が管理する雨水管の雨水マンホール蓋であろうとの回答を得た。 |
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都道路部局の雨水マンホール蓋 |
都道路部局の雨水マンホール蓋 |
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謎の都紋章入り東京市型地紋のマンホ-ル鉄蓋 |
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都紋章のみが入った東京市型地紋の丸型マンホール鉄蓋の列をたまに見ることがある。目にしたのは都道や区道である。いずれも下水道台帳に記載がない。
都道の例は道路担当部局に問い合わせると、またしても建設局が管理する雨水管のマンホール鉄蓋であった。
一方区道の例では車道の真ん中に列状に設置されていて、複数の小さな交差点部分だけで都紋章に代えて「雨」の表記が見られた。ということは、やはり道路担当部局の雨水管のマンホール蓋と推定した。念のために区に問い合わせると、意外や何と区が管理する雨水管のマンホール鉄蓋との回答を得た。聞いてみなければわからないものである。 |
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都道路部局の雨水マンホール鉄蓋
東京市型地紋の古典的なタイプである。 |
都道路部局の雨水マンホール鉄蓋
このマンホールは歩道と車道にまたいで設置されていた。 |
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次は港区が管理する雨水管の雨水マンホール鉄蓋の例である。
左の写真の下方にあるのが雨水管のマンホール鉄蓋で、上方(奥)に見えるのは別系統の都下水道局が管理する汚水管の汚水マンホール鉄蓋である。
つまり、このあたりは汚水と雨水を分離処理する「分流方式」が採用されている模様で、雨水については通常の扱いとして、ここでは運河に放流しているとのことである。
ただし、雨水管を港区が管理していることについて、その沿革的な背景、事情については未確認である。
(港南3丁目) |
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港区管理の雨水マンホール鉄蓋
下水道局の鉄蓋とは管理主体が異なることを明示するために、この蓋を採用しているものと思われる。 |
港区管理の雨水マンホール鉄蓋
なぜか、交差点付近のみのこの鉄蓋が設置されていた。 |
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謎の品川区紋章入り耐スリップマンホール鉄蓋 |
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問い合わせのマンホール(人孔)ですが、雨水管の人孔蓋で、管理は品川区にて行っております。 八ツ山通りは都道 |
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次は品川区の紋章の入った比較的新しいスリップ性能を高めた高機能鉄蓋である。区の紋章のみの鉄蓋としては電線共同溝をしばしば見かけるが、この例では電線が地中化されているエリアではなく、車道にポツンとひとつだけ存在していたもので、その素性は眺めていてもさっぱりわからない。区に確認すると、またしても区が管理する雨水管のマンホール鉄蓋であった。 |
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聞くところによると、このマンホール鉄蓋が設置されている箇所は、昭和40年代前半までは目黒川で、その後河川を廃止し、公有水面の埋立工事により排水管の埋設及びマンホールの設置を行ったものとされる。
公共下水道に接続しているものではないとのことであった。(八ツ山通り)
こうして、周囲の環境から見ればやや異質な印象のある鉄蓋については、それぞれいろいろな経緯があるようである。 |
品川区の雨水マンホール鉄蓋 |
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品川区の雨水マンホール鉄蓋
これは日之出水道機器の製品と思われ、耐スリップ性能等を高めた高機能性をウリとしている。 |
同左中心部の様子
品川区の紋章入りの特注品である。滑り止めの模様は、明らかに下水道局の鉄蓋よりも車道での機能性で勝っていることがわかる。 |
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