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樹の散歩道
   ふるさとの森づくりの教祖
   82歳のパワー全開! 植樹祭で熱く語る27分間!
   
(山田養蜂場植樹祭体験記)


 山田養蜂場が2006年以来4年ぶりとなる第5回植樹祭を引き続き宮脇 昭横浜国立大学名誉教授の指導の下に開催する運びとなり、参加者を一般公募していた。案内文には「移植ゴテ、軍手、雨具、昼食(お弁当・お茶)はご用意しています。」とあり、この好条件に感動して(つられて)早速ながら参加することにした。こうしたイベントの段取り、運営が大変であることはよくわかるため、どのような工夫をしているのか、さらに「宮脇方式」による植樹について、参加者に対してどのように説明するのかについても関心があったため、参加者としてじっくり観察することにした。【2010.9】 


 以下は一連の流れのポイントメモである。(2010.9.18開催)
 募集方法

 インターネットと新聞チラシによる募集を確認した。インターネットでは、ハガキ、FAX,メールによる応募方法を案内していて、新聞チラシの方ではチラシの一部を応募ハガキ(料金受取人払)としていた。
 応募者には会社から後日案内状を送付する旨の電話連絡あり、追ってクロネコメール便で説明資料の送付があった。この資料と合わせて、当日の受付を分散するためのアルファベットを記載したカードが添付されていた。
 会場までの案内

 駐車スペースがたっぷりある集合場所(郊外型巨大ホームセンター敷地内)から、植樹会場までシャトルバスが運行。受付は会場で実施。
 受付
 
 アルファベット区分された受付にカードを提示すると、名簿をチェックし、グループ分けのための数字が印刷された粘着シールを服の袖等に貼付するよう指示あり。合わせていろいろ魅力的なものが収まった丈夫な不織布製の袋を受付が終了した参加者に頒布。カードは袋にホチキス止めされ、植樹後に弁当の引換券となる旨の説明があった。
   参加者に頒布されたうれしい袋の中身

@移植ごて(プラ柄) A軍手 B汗拭きタオル
Cポケットコート(PVA製)
Dカナダ産クローバーはちみつ(200g)
Eはちみつフルーツゼリー「ピオーネ」
Fはちみつフルーツゼリー「清水白桃」 
   当日のうれしいお弁当

 普段昼食に利用している380円の配達弁当よりグレードが高い!ペットボトルのお茶付き。
 会場設定の状況

 会場は山田養蜂場の会社が所在する岡山県鏡野町からほど近い津山市の津山流通総合センター内の施設が未設置の区画(会社所有)を充てていた。

(1)  開会式典エリア

 開会式典エリアにはブルーシートが敷き詰めてあった。グループごとに番号プラカードにしたがって、腰を下ろして1列に並んだ状態で開会式を実施。
 最初は何のためのブルーシートかわからなかったが、宮脇教祖の説教が長いことに配慮したものであることがわかった。また、ポット苗等の現物を手に掲げて植樹指導する際に、その姿が見やすくなる利点も確認した。
 グループの列の先頭には山田養蜂場の社員を配置。社員は「植樹リーダー」として、各グループの統括・指導を担っているため、前日に宮脇氏から厳しい$A樹の特訓を受けた模様である。

 なお 式典会場の前方には植栽樹種のほとんどに相当する45種類のポット苗を説明付きでずらりと並べていて、感動して写真に収める参加者もいた。

 右の写真は、その一部である。左からシラカシ、ウラジロガシ、アラカシ、アカガシ、スダジイ、クロガネモチ、カクレミノ、サカキ、サンゴジュ、シロダモ、ソヨゴ・・・である。
(2)  周辺エリア(特設施設)

 イベントには必須である移動式トイレ設備以外に、今回のために特別に整備したと思われる「足洗い場」と「手洗い場」と表示したコーナーがあって、蛇口がずらりと並んでいたのには驚いた。足洗い場には、人工芝が敷いてあった。
(3)  植樹エリア

 植樹対象は、流通施設用地と道路の間の法面(のりめん)であった。
       法面を上方から見た様子            潤沢な資材
 法面は植栽に適した土壌を客土した模様で、サクサクサラサラであった。
 土の崩落防止のため、水平等間隔に間伐材で土留めをし、さらに作業し易さと管理のため、一定の間隔で間伐材の階段が作設されていた。
 植栽面はわら縄で水平方向に3分割する線引きがされていた。中心部に中高木を植え、これを夾んで上下に低木を植えるための区画である。ミニチュアであるが、低木は天然林で見られる林縁部のマント群落の形成をイメージしたものである。さらに、グループの担当エリアを明示するための縦方向の縄張りもされていた。
 植栽後に稲わらを敷き詰めるため、これを押さえるわら縄を張って固定するための丸竹の杭が等間隔でかなり密に打ち込んであった。
 以下に掲げる資材が法面の上部と下部にグループで使いやすいよう拠点的に配置されていた。
@  ポット苗木
 パンフレットによれば、当日用意された広葉樹は何と49種類で、プラスティックのメッシュタイプのトレーに中高木と低木のポット苗を仕分けて収納していた。低木のトレーには識別のための赤テープが巻かれていた。
A  水を満たした大型プラスティックコンテナとバケツ
 水の入った大形コンテナは、植栽直前にポット苗の入ったトレーごと浸積して、ポット苗の土にたっぷり水を与えるためのものである。最終的にはこの水はバケツを使ってささやかな灌水に利用された。
B  稲わら
 稲わらマルチ用の稲わらで、小さい単位で結束した稲わらをさらに大きい単位で四角い形状に圧縮して結束した状態で用意されていた。コンバインの普及で最近は稲わらは細断されて鋤き込まれてしまうのが普通で、稲わらの束にさわったのは久しぶりである。こうしたものはあらかじめ発注しなければ手に入らない。法面下方では資材を歩道に置いているため、稲わらのくずが側溝のフタの隙間から入らないよう、側溝上にはコンパネを敷き詰めてあった。
 稲わらマルチは、雑草の抑制、土壌の乾燥防止のほか、やがて腐れば肥料にもなる効果がある。斜面の場合は、後出の説明にあるとおり土を押さえる効果もあるであろう。
C  稲わら押さえ用わら縄
 斜面に打ち込まれた多数の竹杭のうちの1/3に定尺の束ねたわら縄がセットされていた。一端は既に杭に縛ってあり、絡まることのないよう、このままバラさずに引き出しながら他の杭に括りながらジグザグ状に張り回して、わらが飛んだり、斜面でずれたりしないように押さえるためのものである。
 植栽方法の説明

 開会式典は山田養蜂場の山田社長の挨拶の後に登場した教祖が森づくりの説教を始め、後半で植樹指導を自ら行うという展開であった。長くても10分以内と見込んでコンパクトデジカメを手持ちでビデオ撮影を開始したのであるが、話はなんと全27分余に及び、撮影上若干の高さを確保するため正座状態であったため、足はしびれるし、持った手は疲れるし大変な目に遭ってしまった。
 説教の要旨は、とりあえず後回しにすることとして、植樹方法(宮脇方式)の説明の概要を紹介する。
補足:  山田社長の挨拶は決して形式的なものではなく、心底教祖の教義に惚れ込んでいることが見て取れ、かなりの時間を掛けて練ったと思われる文面を読み上げていた。
@  ポット苗はトレーごと水に浸ける。
A  ポットの大きさの1.5倍の大きさの穴を垂直に掘る。掘った土は斜面上方に置く
B  ポット苗は猫ではないから(根を傷めないよう)根元をつまんでぶら下げないこと。
C  お母さんが赤ちゃんを扱うように、優しくポットのビニールをはずす。
D  苗を穴に押さえつけるようなことをせず、(穴底から)少し浮かせて、深植とならないように注意して土を戻して手で周りを押さえる。
E  移植ごて二つ分くらい離して、別の種類の木を植える。自分の好きな木ばかりを集中させないこと。
F  植えた木ができるだけ三角形となるように配置する。
G  苗は必ず余るので、全体を見て空いたところに追加して植栽する。
H  わらを斜面方向に直角に敷く。わらの束をそのまま開いて夾むように置いてもよし、ばらして置いてもよい。向きを互い違いになるように置く。こうすることによって、雨が降っても土が流れない。
I  押さえの縄は解くと絡まるので、巻いた状態のままで引き回す。杭に固定する場合は、杭に1回か2回巻きし、次にわらをねじって輪を作って、その輪を杭に掛けて(注:緩み防止)さらに引き回す。
          植樹中の風景             植樹完了
 気づきの点、感想
 いろいろな植樹祭に参加したことがあるが、本植樹祭はその中で最も準備に手間と経費がかかったものであることがわかった。
 参加者の誘導、受付、運営、植樹指導、植樹中のお茶供給等々、きめ細かい対応は社員総出動ではないかと思えるほどであった。
 苗木は超密植で、自然淘汰に委ねるものであるが、貧乏人の目で見るともったいないようにも思える。最終的には芝生とは異なり、メンテナンスフリーのこんもりとした緑地となるというのがウリである。当日の植栽本数は説明資料によれば15,982本で、全体面積は新聞報道では0.4ヘクタールであるから、ヘクタール当たりでは何と約4万本となる。さて、自然淘汰と枯損で最終的には何パーセントが生き残るのであろうか。
 稲わらマルチの量は潤沢で、小さい苗は隠れていまうほどの厚さに敷く量があった。
 植栽面の土がサラサラとして軟らかかったため、わらを敷く作業で足を踏み入れると植えたポットが転がり出ることがしばしばあって気になった。当日の土壌の条件はイマイチであった。
 植栽面の資材は稲わら、わら縄、竹杭とやがて自然に帰るものばかりであったが、唯一、稲わらの結束ひもは機械結束に由来するものと思われ、非分解性のポリプロピレンの細ひもであった。この程度はたいしたことではないということか、草取りの際に拾えばよいという指導であった。しかし、エコの演出を意識するのであれば、刈取結束機(バインダー)の紐としては、ジュートやサイザルといった自然に分解する天然繊維の製品が一般化しているから、これらを使用したものとした方が好ましい。
 弁当の空き容器は持ち帰り方式となっていた。ただでおいしい弁当を食べられたため、だれも文句はなかった。
 植栽する主要な樹種の名前を覚えるように、或いは印象に残るように、教祖は何種類かのポット苗を頭上に掲げ、参加者に対してその樹種名を3回復唱させていた。教祖に続き、大勢の参加者がいろいろな樹種名を次々と合唱・連呼する風景は、ほとんど新興宗教の集会を思わせるような展開で、この点は普通の植樹祭とはやや異質の雰囲気があった。連呼した樹種名は、シラカシ、ウラジロガシ、アラカシ、アカガシ、シイノキ、ヤマザクラ、イロハモミジ、ムラサキシキブ、ヤマブキの9種である。なお、正確に言うと、疲れが出たのか、数え間違いかは明らかではないが、最後の3樹種については、連呼は2回に止まっていた。
 宮脇方式による新日鐵大分の緑地帯を見たことがある。製鉄所は基本的に粉塵をまき散らす業種であるため、緑地の幅をかなり広くとっていたことから、見事な常緑の緑となっていた。しかし、葉はことごとく粉塵にまみれて黒く汚れていて、近くで見るものではないことがよくわかった。緑が一部の粉塵を吸着しているということは理解した。また、製鉄所は風下に悪臭をまき散らすが、もちろん緑地帯はこれには無力である。
 宮脇方式の植樹は全国のイオン各店等の周辺整備でおなじみである。多大の費用を要し、また、林業とは関係ないため、伐採跡地の区画を埋め尽くすような例はほとんどないと思われる。国内では一般には余裕のある大企業が自社施設周辺にミニチュア緑地帯を造成する場合に活用されているものと思われる。市民を巻き込んだ植樹祭方式は、企業のイメージアップを演出できるメリットもあるのであろう。
 宮脇方式による植栽後間もないイオンの複数の緑地帯を見たことがあるが、20〜30年経過したものを見たいものである。いずれも幅が狭い帯状の形態が多く、せっかく大量の高木、低木を密植しても、それがどんな姿になるのかは想像しにくい。これで「本物」というには植栽スペースの条件が不十分であり、一方で、あまり広大な面積は、企業にとって負担が大きすぎる現実がある。
 教祖は昔からの山村の人々の営みによるスギ、ヒノキ造林地に関して、これが鎮守の森とは異質の存在であることを理由に「ニセモノ」と呼んでいて、従前から批判の対象としている。立ち位置が全く違うということで、人の営みとしての林業に目を向ける気はないのであろう。教祖は常に本物ニセモノの語を乱発するが、聞く者の注意を引き、自らの実績を拡大しようとする計算されたパフォーマンスとして映る。極めて傲慢な印象があり、元学者らしくない、いかにも科学からはかけ離れた表現となっている。
 教祖に対しては批判も多いが、趣旨に賛同する(洗脳された?)大企業の信者(新日鐵、電力各社、ホンダ、イオン等々)が多いことで、国内、さらには海外での出番も多く、これが何よりの活力の源になっているようである。まだまだ長生きしそうである。
<参考:教祖の説教メモ>
 (来賓として招待していた津山市の関係者が来ていないことに対して怒りを露わにして)今日は東京、横浜、福岡、神戸からも手弁当で来ている方がいるにもかかわらず、行政がまだ姿を見せないとは、どういうことか。
 岡山県では瀬戸内から蒜山の海抜800メートルまで、かつては常緑の森林であったが、今では0.06%しか残っていない。
 本来、命を守る森づくりは、税金で生きている行政あるいは議員が率先してやるべきものであるが、残念ながら八方美人でなかなか木を植えない行政が多い。
 企業や行政は緑化といっても、本物とニセモノの区別ができていない。
 私はたったの82歳。生物は働かなくなるとすぐに駄目になる。私はあと30年木を植える!!
<参考:植栽樹種一覧(パンフレットより)>
高木 アカガシ、アベマキ、アラカシ、ウラジロガシ、エゴノキ、エノキ、コナラ、コブシ、シラカシ、スダジイ、トチノキ、ナツツバキ、ムクノキ、ヤマザクラ、ヤマボウシ
中木 イロハモミジ、カクレミノ、クロガネモチ、サカキ、サンゴジュ、シロダモ、ソヨゴ、ネズミモチ、ホオノキ、モチノキ、ヤブツバキ、ヤマモモ、ユズリハ、リョウブ
低木 アオキ、ウツギ、ガマズミ、カンツバキ、クチナシ、サザンカ、サツキ、シキミ、シモツケ、ジンチョウゲ、センリョウ、チャノキ、ツクバネウツギ、ナンテン、ヒサカキ、ヒラドツツジ、ベニカナメモチ、マンリョウ、ムラサキシキブ、ヤマブキ
<比較参考:北海道のイオン三笠店での宮脇方式による植栽樹種の例>

 北海道内にもイオンがあるが、教祖の力を持ってしても、北海道内に照葉樹の森をつくることは困難であるため、以下に掲げるような樹種が選定されていた。
 ウダイカンバ、ウツギ、エゾイタヤ、オオヤマザクラ、カシワ、カツラ、ガマズミ、キタコブシ、コナラ、シナノキ、シラカバ、トチノキ、トドマツ、ナナカマド、ノリウツギ、ハウチワカエデ、ハマナス、ハルニレ、ホオノキ、ミズナラ、ミヤマイボタ、ムラサキシキブ、ヤマツツジ、ヤマハンノキ、ヤマブキ、ヤマモミジ
<山田養蜂場の製品紹介>
山田養蜂場 はちみつ屋台(夏限定のアイスクリーム専門店
  岡山県苫田郡鏡野町円宗寺
はちみつソフト ¥300
山田養蜂場 りとるび〜はうす(直営売店)
  岡山県苫田郡鏡野町市場187
自社製品を多数販売
製品は化粧品にまで及ぶ。
 手軽なお試し品:【山田養蜂場特選スティックハニーセット】15g×10本 ¥1,260
 いろいろな種類のはちみつの味見をしたい向きには面白い商品である。
 個々の名称と産地の表示は以下のとおりである。
製品内訳            産 地 等 (青字はコメント)
(国産)  
里山のあかしあ蜂蜜 北海道、秋田など
一般名はハリエンジュ又はニセアカシアである。北米原産で街路樹等として広く植栽されているが、野生化して分布を拡大している。
里山のみかん蜂蜜  和歌山、熊本など
里山のぼだいじゅ蜂蜜 北海道
北海道に自生するのはこの仲間ではシナノキオオバボダイジュである。
里山のそば蜂蜜 北海道
ソバの真っ白い花から茶褐色の蜜が採れるとは意外である。
里山の百花蜂蜜
(りょうぶ など)
岡山、鹿児島など
(海外産)  
アカシア蜂蜜 ルーマニア産
この中では最も淡色。
オレンジ蜂蜜 メキシコ産
レンゲ蜂蜜 中国産
クローバー蜂蜜 カナダ産
コーヒー蜂蜜 グアテマラ産
やや色が濃い。