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続・樹の散歩道
  ツタウルシが美しく輝くとき


 ツタウルシは葉の様子がちっともウルシらしくないため、それと知らずに触れてひどい目に遭う事例が繰り返されている。漆が採取できるわけでもなく、何の利用もできない嫌われ者であるが、ある時期に実に美しい姿となって目を楽しませてくれる。他の樹木を締め上げて枯らすこともないから、管理された空間でも案外放置されている場合もあり、お陰で季節を感じさせる最上の景観を提供してくれる。 【2013.11】  


 
鮮やかに紅葉したツタウルシ 1  鮮やかに紅葉したツタウルシ 2 
 
     
   ツタウルシの様子

 ツタウルシはその名のとおりつる性で、「気根」で太い樹木の幹にしがみついてビッシリ樹皮を覆い尽くす。樹木を管理し、あるいは森林を調査する者にとっては厄介者であるが、通りすがりの見物人にとっては、この紅葉時期に出会うことができれば幸いである。 
 
     
 
     ツタウルシの葉
 葉は3出複葉で、頂小葉の葉柄が側小葉の葉柄より長い。  
   ツタウルシの幼木の葉
 幼木の葉には鋸歯があって、ツタの幼木の葉に似るが、頂小葉の葉柄が長いから見誤ることはない。 
     ツタウルシの紅葉
 
黄色から鮮紅色まで色の変化があって美しい。日当たりがよい方が赤くなるようである。
     
    ツタウルシの雌花 1
 雌雄別株。花は総状花序。花弁は5枚で反り返る。 
    ツタウルシの雌花 2
 花柱が3裂している。 退化した雄しべ(仮雄しべ)が5個見られる。
     ツタウルシの雄花 1
 5枚の花弁と5個の雄しべが見られる。 
     
    ツタウルシの雄花 2
 雌しべは退化している。観察したフィールドでは、圧倒的に雄株の比率が高かった。 
    ツタウルシの若い果実
 成熟すると淡褐色になり、外果皮が剥がれると白い中果皮が現れ、その中に黄褐色の核が収まっている。
     ツタウルシの気根
 この気根で太い木にしっかりしがみついている。
 
     
   ツタウルシの赤い円柱

 カエデなどの紅葉とは一風異なる森の赤い円柱が織りなす美しい風景は、また格別のものである。
 以下の写真でツタウルシがしがみついているのはいずれも人工植栽されたカラマツである。樹皮に亀裂があるため気根が取り付きやすいのかも知れない。さらに、すくすくと伸びた大きな木に沿ってつるを伸ばせば、確実に陽光が確保できる。
  
 
     
 
ツタウルシの赤い円柱 1  ツタウルシの赤い円柱 2  ツタウルシの赤い円柱 3 
     
ツタウルシの赤い円柱 4  ツタウルシの赤い円柱 5  ツタウルシの赤い円柱 6 
 
     
   ためになるウルシかぶれの話

 その1:
 
ヤマウルシやツタウルシなどのウルシ科の樹々を目にしたら、努めて慎重に行動しているため、これらに起因してかぶれた経験はないものの、「漆液」でかぶれたことがある。チューブに入って市販されている漆を白木の箸に塗ることを企て、その際、漆を節約するために右手人差し指と親指に直接漆液をとって箸に塗り込んでみた。皮の厚い手のひらや指先がかぶれるなどあり得ないことは承知していた。作業が終了して、指先を石けんを使って入念に洗った ・・・ つもりであった。悲劇はこれからである。これは、全くの突然に降って湧いた災害にも等しいもので、最もデリケートな部分(男にもデリケートな部分がある!)が何の非もないのに受災し、何とも情けない状態になってしまったのである。(具体的な描写は割愛する。)
(注)ウルシのかぶれ成分はウルシオールによることが知られている。

 ウルシ成分は実にしつこいことを身をもって知った。

 
その2:
 先程も触れたとおり、ウルシ科の植物体により直接かぶれたことはないが、ツタウルシに起因して知り合いが気の毒な状態となっていたのを目撃したことがある。病院で診てもらった後の姿であったが、両手が上腕部から手首まで、包帯でぐるぐる巻きとなっていたのである。実は、ツタウルシはウルシ属最強のかぶれ植物ともいわれていて、これは恐ろしいゾッとする事例であった。
(注)ツタウルシのかぶれ成分はラッコールによることが知られている。
  
 
     
   比較参考: つるの織りなすその他の風景    
     
 
    外壁を覆ったツタの紅葉
 ツタはつる先端部に吸盤をもっていて、平滑な壁にも取り付くことができる。太いつる部分では気根を出す。
    イワガラミの花の円柱
 こちらは、開花期に花の円柱を形成する。
   ツルアジサイの花の円柱
 ツルアジサイも花の円柱を形成する。イワガラミに似るが、葉又は花から識別は容易である。