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樹の散歩道
 
 栗物語1 栗納豆 VS マロングラッセ
             


 クリ)は日本列島の北海道から九州までまんべんなく分布しており、太古の縄文人も栗の木々を栽培・管理し、この豊かな実りを享受していたものと考えられている。彼らはアクの強いドングリまで手間をかけて水にさらし、食用としていたとされるが、これに比べたら栗は特上の食料であったに違いない。そして、現在でも栗は焼き栗むき栗栗羊羹栗納豆栗きんとんマロングラッセ・・・などとして、変わらずに愛され続けている。あーっ、文字を見ただけでもうヨダレが出て来た!!【2008.9】 


 栗納豆

 栗羊羹もいいが、何よりも生きる喜びを感じるのは栗納豆である。唐突であるが、美味しさでは乾燥ホタテ貝柱と双璧である。どちらも口に入れれば陶酔状態となる。
 栗納豆は栗から生まれる宝石である。手間をかけ丹誠込めて仕上げることで、栗は輝きを増す!!
 
 ①栗納豆 剥き栗タイプ その1

 商品名:栗納豆
 株式会社 梅花堂
  京都市北区紫竹上緑町44


 京都は丹波栗加工の歴史が長いためか、栗納豆を扱っている店も多い。栗納豆は実に美しい!!そして美味しい!!
 日本栗は天津甘栗のように渋皮がツルッと剥けないから、刃物で渋皮を剥いた痕跡が残っているのが普通である。丹念に剥く方法もあるが、とても事業的には対応できない。

 ②栗納豆 剥き栗タイプ その2

 
商品名:栗子点心りぃつてんしん
 
株式会社 若菜屋
  京都市上京区千本通丸太町下ル
   東入主税町1129

 これは珍しくも、中国栗の天津栗を甘納豆に仕立てたものである。小粒の栗をキャンディのようにひねり包装して脱酸素剤入りの袋に収めている。
 驚いたのは、渋皮離れのよい中国栗にもかかわらず、刃物で皮むきした形状になっていることである。上で掲げた日本栗の製品を小さくした形態である。
 小粒栗は専用の栗剥きの刃物を使っても大変な作業である。ひょっとして中国で剥いた栗を輸入しているのであろうか。  
 

 ③栗納豆 渋皮付き その1

 商品名:栗阿彌(りつあみ)
 株式会社 若菜屋
  京都市上京区千本通丸太町下ル
   東入主税町1129
    
 渋皮付きのままで栗納豆とする積極的な理由があるのかよく分からない。刃物で渋皮を剥けば間違いなく一回り小さくなるのは避けられないが、渋皮付きのままで納豆に加工するのは明らかに手間がかかって、実は価格も総じて高くなっている。渋皮の違和感はなくなっているが、見た目にはあまり美しくない。
 渋皮が剥がれにくい国産栗の特性に柔軟に対応した製品のバリエーションと理解される。
 

 ④栗納豆 渋皮付き その2

 商品名:和三盆渋皮栗納豆
 有限会社 湊屋
  高松市寿町1-1-3


 渋皮付きでも和三盆糖でまぶすと、見た目の印象はよくなる。いい仕上がりである。
 マロングラッセ
 ①濡れタイプ その1 

 マキシム・ド・パリ マロングラッセ

 原材料名:栗、砂糖、水飴、還元水飴、洋酒、香料
 (販売者)株式会社 アステカ
  東京都中央区京橋2-4-15


 材料はイタリア栗としている。しっかりと大粒栗を使用している。真空パック入りである。そうでないと煮豆と間違えられるかな・・・

 ヨーロッパ栗も日本栗に比べると渋皮は剥きやすく、ヨーロッパ栗を使用するマロングラッセはこうして表面のしわしわの形態がそのまま残っている。
 
   
 ②濡れタイプ その2

 メリー マロングラッセ

 原材料:マロン、砂糖、水あめ、ブランディ、香料
 株式会社 メリーチョコレートカムパニー
  東京都大田区大森西7-1-14


 前出同様イタリア栗を使用した真空パックであるが、やや小粒である。要は価格差である。
    
   ③乾きタイプ その1

 新宿中村屋 マロングラッセ


 原材料:栗、糖類(砂糖・水あめ)、食塩、香料
 漂白剤(亜硫酸塩

 (販売者)株式会社中村屋
  東京都新宿区新宿三丁目26番13号


 このマロングラッセの表面の感触は栗納豆に近く、全くベタつきはなくグラニュー糖でまぶした状態となっている。したがって、手に取って食べやすい。
 包装は紙の個包装である。 
 
     
   ④乾きタイプ その2

 シュクレ・ビジュウ(Sucré Bijou)
     マロングラッセ


 原材料:栗、砂糖、水飴、洋酒(ラム)、香料

 (販売者)ブールミッシュ
  東京都中央区銀座1-2-3

 表面が薄い砂糖の膜でコーティングされた状態で、ベタつきはない。このコーティングを剥がすと中はしっとり状態である。大粒で、割ればラム酒の香りがほんのり香る。さすがに1粒3百円の上質の味である。
 包装はプラシートの個包装である。 
 
     
     
以下に、両者について自分勝手に比較してみる。

               独断的比較表
  区 分       栗納豆      マロングラッセ
1 外 観  特に剥きグリの栗納豆は美しい。皮をむいたあとが多面体状態となって造形的にも美しく、薄く表面に固まった砂糖がおいしさを閉じこめているようで、見ているだけで生唾が出る。ただし、渋皮付きは美しくない。和三盆糖でまぶしたタイプは見てくれが改善されている。  濡れタイプは煮物状態であり、外観は全く美しくない。宿命的な真空パックも情緒に欠ける。
 一方、乾きタイプは栗納豆に十分対抗しうる存在である。
 
2 扱いやすさ  甘納豆と同様で、手でつかんで楽しみながら食べられる。  濡れタイプはシロップでべちゃべちゃになっているため、真空パックを引きちぎる時も手が汚れがちで、実に扱いにくい。
3 賞味期限  レトルトパウチではないから、その意味では普通なのであろう。  真空パック製品は圧倒的に長い。真空パック効果によるものと考えられる。 
4 食感・味  薄く表面に固まった砂糖の食感はもとよりある程度の歯ごたえも魅力で、味は絶品である。  濡れタイプは洋酒の香りはよいが、やや柔らか過ぎで、ただのあんこを食べているようであり、しかも甘味がきつすぎる印象がある。
 一方、乾きタイプは栗納豆を脅かす存在で、このうち特に砂糖でコーティングされたタイプは1粒を味わって楽しむことができる。

ということで、個人的には栗納豆 と 乾きタイプのマロングラッセ は甲乙付け難いという結論に至った。

 
遅れ飛び入り参加 

 どうしても参加したいということで、審査外として栗せんべい君2名の参加を認めることとした。
 昔からの定番菓子で、価格的には駄菓子とは一線を画してきた。どちらかというと、大人のためのお茶菓子として存在し続けているものである。この調子であれば、絶滅する心配はなさそうである。

 せっかく参加して貰ったので、2者を比較してみた。

 よく見ると、デザインが微妙に違うことが分かった。南部せんべいは多くの製造元があるものの、表裏のデザインが全く同じであるのとは事情が違うようである。
 また、それよりも重要なことは、原材料の構成が異なることである。一方は餅米の粉が使用されていない。これはどういう意味があるのだろうか。味に関しては、実は試食したタイミングに時間差あったために、分からなくなってしまった。どちらも基本的には焼いたあんこといった風情であることには変わりない。

 栗せんべいはこうして、郷愁と甘い物好きな人に支えられて生き延びていくことであろう。

 栗せんべい その1(岐阜県産)

原材料名 生あん、砂糖、鶏卵、みじん粉、栗ペースト
有限会社 山口製菓
 岐阜県岐阜市市ノ坪町4-18-1

 栗せんべい その2(山梨県産)


原材料名 白餡、砂糖、卵、栗
株式会社 松月堂
 山梨県南巨摩郡鰍沢町1685