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樹の散歩道
  木を食ったり食わなかったり・・・

 

 鹿による食害

 「食害」の語は,人間が手間を掛けて育てている農作物や山に植栽した苗木をしばしば鹿にかすめ取られるために,被害者である人間の立場で表現したものである。鹿はただ食べやすいものをせっせと食べているだけである。

 造林地の場合は,ちょうど食べやすい高さの苗木が整然と広い面積にわたって広がっており,まだ厳しい環境に晒されていない葉もたぶん柔らかくておいしいのであろう。鹿にとっては素晴らしい餌場が提供されたことになるはずである。クスノキのように匂いにクセのある樹種を植えても鹿にとっては同じことのようである。

 被害は北海道から九州までにわたり,特に生息密度が高い地域での被害が深刻となっている。造林地の苗木にとどまらず,大きな木の皮までガリガリとかじられている。北海道の天然木では特にアオダモやオヒョウ(ニレ)がねらわれることが知られていたが,次第に樹種を問わず被害が見られるようになり,イチイの巨木まできれいに皮をかじられて枯れてしまうことも珍しくない風景となっている。

 家畜等が食べない木

 一般に知られている情報を次に紹介する。

アセビ
 鹿はアセビが毒であることをしかと知っていて,決して食べないという。このため,奈良公園ではアセビが残されて,結果としてアセビだらけになっているということである。しかしながら、食べるものがなくなると、アセビでも食べるとの情報もある。 
 牛や馬も決して食べないといわれているが,その一方で牛や馬がこれを食べると,その名の如く酔ったようにふらつき,ついには昏睡状態に陥るといわれる。ほとんどの人は中毒症状を見たこともないため,定説に従った記述をしている。 
 「ヤギをこの木につないだら終わりである。【斉藤】」ともいう。
(注)食べ物がなくなると、鹿はアセビでも食べる例があると聞いた。 
ナギ  鹿は嫌って食べない。ナラ春日大社境内には、結果としてアセビと並びナギの群落も見られるという。
レンゲツツジ  有毒で,家畜が食べないために残されて,牧場に多いといわれる。
キョウチクトウ
 ・  外来種で野生は存在しない。有毒であるにもかかわらず,野生のヤギは冬にはこれも食べるという。 
 ・  昔は,牛や馬が食べてよく死んだともいう。また,昔から家畜に与えてはいけないと言い伝えられているという。 
モミジバフウ  モミジバフウは北米原産で,街路樹としても広く利用されているが,枝葉の匂いを動物が嫌って食べないため,動物園の植栽によいとされる。
ユズリハ  自然の状態で牛がユズリハを口にすることはまれとされるが,紛れて採食して中毒に至った例が報告されているという。
アジサイ  米国で牛,馬がアジサイで中毒症状を示したとする報告があるという。積極的に採食するか否かは不明。日本では人間の食中毒事例が知られている。
 
 なお、木ではないが,鹿はワラビを食べないという。一方で,カモシカはワラビをよく食べるという。