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樹の散歩道
   中国ではキンモクセイの果実を見られるのか?


 キンモクセイに関する図鑑類の説明では、これが中国原産で、日本には雄株しか入っていないため結実しないとしているのが普通である。しかし、この説明には以前から強い違和感を持っていた。雌株が中国から日本に導入できないまま、何百年間なのかは知らないが、いつの間にか経過してしまったとはとても考えられないし、そんなことを言っている暇があったら、話題提供のためでも営業用でも何でも構わないから、さっさと中国から持ってくればそれだけのことである。こんな間抜けな話はあり得ない。
 また、植物の専門家の報告として、中国ではキンモクセイの果実がたわわに実っていたとする記述や写真を見ないのも不思議に感じていた。
 スッキリしないままであったため、中国の図鑑を含めて、改めて調べてみた。【2010.11】


 少し調べてみてわかったのは、モクセイ属の学名のとらえ方がいろいろあり、さらに、日本で中国原産とされるものの学名が中国の図鑑に見あたらないという奇妙な現象も見られた。学名のとらえ方は、しばしばバラバラであることは仕方ないが、それぞれがどの種を指しているのかわからないのでは混乱してしまう。仮に、中国国内でモクセイ属の橙黄色の花を付ける樹木を見かけたときに、これが日本にあるキンモクセイと同じものなのか否かの確証がなければ、冒頭の設問には答えられないことになる。そこで、とりあえずは既存の図鑑類により、以下に整理してみた。
 キンモクセイ、ギンモクセイ周辺の学名のパターン
@−A ギンモクセイ Osmanthus fragrans を基本種としている場合
 (山渓 樹に咲く花、山渓 日本の樹木)
 キンモクセイ、ウスギモクセイはこの変種
@−B  ギンモクセイ Osmanthus fragrans を基本種としている場合
 (朝日百科植物の世界)
 キンモクセイ、ウスギモクセイ、シロモクセイはこの変種品種。
A−A モクセイ  Osmanthus fragrans を基本種としている場合 その1
 (平凡社世界大百科事典)
 ギンモクセイ(銀桂)、キンモクセイ(丹桂)、ウスギモクセイ(金桂)はこの変種
A−B 木犀() Osmanthus fragrans を基本種としている場合 その2 (中国の図鑑の例)
 (中国樹木誌) 中国語でいう、木犀科−木犀属−木犀(桂花) を指す。 
 金桂、銀桂、丹桂、四季桂、月桂等はこの栽培品種
B ウスギモクセイ Osmanthus fragrans を基本種としている場合
 (旧版牧野新日本植物図鑑)
 キンモクセイはこの変種。ギンモクセイは別種
 こうして並べてみても、分類の考えのバリエーションがあるということを知るのみである。
注1:  俗名として単にモクセイと言うときは花戸、庭師はキンモクセイの意味にとるが植物学上ではモクセイといえばギンモクセイのことである。【樹木大図説】
注2:  上表のモクセイ、木犀は独立種としてのモクセイである。
注3:  ギンモクセイOsmanthus fragrans var. fragrans(シロモクセイOsmanthus fragrans var. fragrans f. leucanthus を含む)とキンモクセイOsmanthus fragrans var. aurantiacus f. aurantiacusはこれまで、どちらも中国からきたとされていた。だが、最近の見解では、シロモクセイとキンモクセイは、日本でウスギモクセイOsmanthus fragrans var. aurantiacus f. thunbergii から見いだされ、栽培化されたと考えられている。【朝日百科植物の世界】
注4:  白色の花を付けるシロモクセイは雌株が栽培され、以前はギンモクセイと混同されていた。【朝日百科植物の世界】
 和名と中国名の関係
 
 モクセイ類の本家中国の名称と日本で見られるものとの対応関係は気になるところであるが、混乱も見られて戸惑いを感じてしまう。
(モクセイ)
 モクセイは中国原産で、中国名は木犀、桂花。【平凡社世界大百科事典】
 モクセイは漢名の木犀で、別に巌桂ともいい、中国ではモクセイ類の総称である。【牧野新日本植物図鑑】
  Osmanthus fragrans 桂花(江蘇、浙江)、丹桂(本草綱目)、木犀(中国樹木分類学):
 原産中国西南地区。栽培歴史悠久、淮河流域以南各地広泛栽培、広西桂林盛産。栽培品種、如金桂銀桂丹桂四季桂月桂等。【中国樹木誌】
(キンモクセイ)
 キンモクセイの中国名は丹桂【日本の樹木】 (?)
 中国ではモクセイのうち花が橙黄色のものを丹桂といい、日本ではふつうキンモクセイに当てる。【平凡社世界大百科事典】
(ギンモクセイ)
 ギンモクセイの中国名は桂花【日本の樹木】
 中国ではモクセイのうち花が白色のものを銀桂をいい、日本ではふつうギンモクセイに当てる。【平凡社世界大百科事典】
(ウスギモクセイ)
 ウスギモクセイの中国名は銀桂【日本の樹木】
 中国ではモクセイのうち花が淡黄色のものを金桂といい、日本ではふつうウスギモクセイに当てる。【平凡社世界大百科事典】
 こうして並べてみると、(全く同一の種であるか否かは別にして)見た目での和名と中国名の対応関係も人によって異なっている。ただし、平凡社世界大百科事典では、中国名と日本の種の関係について、(決してイコールではなく、)あくまで「当てる」としているのは、丁寧な記述である。
 モクセイ属の結実しない種の説明例
@  キンモクセイ
 中国原産。雌雄異株で、わが国にあるものは雄樹であるため、子房は縮小していて結実しない。【牧野新日本植物図鑑】
   雌雄異株であるが、ふつう雄株のみが植栽され、結実する株はまれである。【APG原色牧野植物大図鑑】
 日本ではふつう雄株だけが植栽されているため、結実した株はめったに見られない。【平凡社 日本の野生植物】
 キンモクセイやギンモクセイは中国原産の花木で、雌雄異株ですが、どういうわけか日本で栽培すると、性の転換をおこして雄性化、未だに雌株は知られていません。【ほんとの植物観察】
 :これは恐るべき見解である。
 A  ギンモクセイ 
 
 中国原産。雌雄異株で、わが国にあるものはみな雄樹であるため、子房は縮小していて結実しない。【牧野新日本植物図鑑】  
 中国原産。本来は雌雄異株であるが日本では雄木ばかりで結実しない。【APG原色牧野植物大図鑑】 
 果実は核果で長さ1から1.5センチの楕円形で、翌年の春に黒褐色に熟す。【樹に咲く花】 
   
B  ヒイラギモクセイ
   結実しない。雄株だけがあるようである。 【牧野新日本植物図鑑】
 雌しべは小さく結実しない。【APG原色牧野植物大図鑑】 
 雌雄別株で、雄株だけが知られている。【樹に咲く花】
 注:この件については後出<参考1>でコメント。
C  モクセイ (ここでいうモクセイはギンモクセイを指す呼称ではない。)
 中国原産で、中国では紫黒色の核果を結ぶというが、日本には雄株しか入っていない。【平凡社世界大百科事典】
・   核果楕円形、紫黒色。【中国樹木誌】  
 モクセイ属の謎
 以上のことを踏まえて、問題点を以下に整理してみる。
@  日本で見るキンモクセイは、どうやら中国原産ではなさそうな雰囲気が漂ってきた。実際に、中国の図鑑でも、日本で中国原産としているキンモクセイを指す学名の種はリストアップされていない。では、このことに関する先の考え方が正しいとした場合、キンモクセイと中国の丹桂とは全く別物であることを証明しなければならない。形態学的に検証されたのかは知らないが、DNAレベルで検証しなければ明解な説明とならないであろう。これらがわかった上で、結実しない理由を整理しなければ、何を言っているのか訳がわからない。
A  学名の Osmanthus fragrans var. fragransOsmanthus fragrans と同じ意。)が日本では一般にギンモクセイを指していて、本種は中国原産とされる。しかし、本家中国では「木犀」としている。木犀には多くの栽培品種があるとしていて、その花冠は黄白、淡黄、橙黄、あるいは橘紅色で、さらに果実は大型の楕円形で、長さ1.8〜2.4センチで、翌年3月に紫黒色に熟すとしている。
 日本で見るギンモクセイと中国の木犀の栽培品種とされる銀桂の名の品種群のどれが一致するのかもDNAレベルで検証しなければたぶん結論は得られないのかもしれない。
 中国・上海の桂林公園はモクセイの名所だそうである。同公園には、「金桂」(ウスギモクセイ)、「銀桂」(ギンモクセイ)、「四季桂」(四季咲きモクセイ)など二十数品種のモクセイが千株以上植えられ、桂樹の森を形作っているという。【人民中国インターネット版】
 中国樹木誌にはモクセイ属として24種3変種が掲載されていて、国土の広大さに応じた種の多様性を感じさせる構成である。今後さらに認知される種が出てくるかもしれない。

 知り合いから間接的に聞いた話であるが、中国の南京林業大学構内にも日本人から見ればキンモクセイとして見える花を付けたモクセイ属の樹木が多数植栽されているそうである。たぶん、これらは木犀丹桂の品種群か)として雌株であれば紫黒色の普通の果実(たぶん交雑によるもの)を付ける可能性が高い。
   
<参考1:日本で見られる主なモクセイ属のメモ>
ヒイラギ(柊) 雌雄異株(雌雄両性異株)
Osmanthus heterophyllus

        雄花
        両性花
         熟果
 本州、四国、九州、沖縄、台湾に分布。
 若木の葉は鋭い刺があるが、老木の葉は全縁。【樹に咲く花】
 花は白色で、果実は翌年に紫黒色に熟す。
   
ギンモクセイ(銀木犀) 雌雄異株 
Osmanthus fragrans var. fragrans 【牧野新日本植物図鑑、日本の野生植物、朝日百科植物の世界、APG原色牧野植物大図鑑】
Osmanthus fragrans 【山渓 樹に咲く花】→ この学名は上記と同じ意
Osmanthus asiaticus 【旧版牧野新日本植物図鑑】

     ギンモクセイの花
       若い果実
  熊本出水神社のギンモクセイ

 中国原産
 花は白色で、果実は翌年に黒褐色に熟す。
 :牧野植物図鑑では結実しないとしているが、一般には楕円形の果実が付き、黒紫色に熟すとされている。
ウスギモクセイ(薄黄木犀) 両性花又は雌花をつける
Osmanthus fragrans var. thunbergii 【牧野新日本植物図鑑、山渓 樹に咲く花】
Osmanthus fragrans var. aurantiacus f. thunbergii 【朝日百科植物の世界、APG原色牧野植物大図鑑】
Osmanthus fragrans 【旧版牧野新日本植物図鑑】

 ウスギモクセイの花(両性花)
       若い果実  
          熟果

 中国、インドに分布。九州に野生のものがあるともいわれる。【樹に咲く花】
 九州南部の山地に自生。白色の両性花または雌花をつけ、核果は翌年に熟す。【APG原色牧野植物大図鑑】
 花は淡黄白色で、果実は翌年に黒褐色に熟す。
キンモクセイ(金木犀)  モクセイ属のある種の雄株から選抜された品種か?
Osmanthus fragrans var. aurantiacus 【牧野新日本植物図鑑、日本の野生植物、山渓 樹に咲く花】
Osmanthus fragrans var. aurantiacus f. aurantiacus 【朝日百科植物の世界、APG原色牧野植物大図鑑】

  キンモクセイの花(雄花)
          
     個性的な樹皮の皮目

 最近の見解では、日本でウスギモクセイから見いだされ、栽培化されたと考えられている。【朝日百科植物の世界】
 中国原産とされるが、ウスギモクセイから日本で選抜されたとする意見もある。【APG原色牧野植物大図鑑】 
 花は橙黄色。
 漢名は丹桂。丹は橙黄色の花を表し、桂はカツラではなく、モクセイ類の総称。中国・桂林はそれらの茂る街。【湯浅】
 :中国の丹桂と日本のキンモクセイが同一種としては確認されたとは聞かない。
 繁殖は取り木、挿し木、ヒイラギを台木とした接ぎ木による。
 キンモクセイはソメイヨシノと同じですべてがクローン苗です。だから揃って咲くのです。【大人の樹木学】 
 注 キンモクセイがDNA分析ですべて単一のクローンであると確認されたとは聞かない。
ヒイラギモクセイ(柊木犀) 交雑種の雄株から見いだされた品種か?
Osmanthus ×fortunei

  ヒイラギモクセイの花(雄花)     樹型(万博記念公園)     仕立ての例(浜離宮)
 台湾に産し、日本にも分布がある。【中国樹木誌】
 雌しべは直立し卵形で鋭頭、緑色で結実しない。雄樹だけがあるようである。本種はヒイラギとギンモクセイとの雑種と推定されるが、その出現の由来は不明である。【牧野新日本植物図鑑】
 雌雄別株で、花は白色。【樹に咲く花】
  これが交雑種の雄株から見いだされた品種と理解してよいのであれば、雄株しか存在しないのは当たり前となる。また、ことさら、雌雄別株という必要もなくなる。なぜなら、品種としての雌株は存在しないということになるからである。 
シロモクセイ(白木犀) モクセイ属のある種の雌株から選抜された品種か? 
Osmanthus fragrans var.fragrans f. leucanthus 【朝日百科植物の世界】
 上記学名はギンモクセイの品種であるが、ウスギモクセイの品種説がある。
 雌株が栽培され、以前はギンモクセイと混同されていた。これも日本でウスギモクセイから見いだされ栽培化されたものと考えられている。【朝日百科植物の世界】  
 その他シマモクセイOsmanthus insularisオオモクセイ Osmanthus rigidusリュウキュウモクセイ Osmanthus marginatus が日本に分布するという。
 
 <独り言> 
 日本でキンモクセイが中国原産だ、いやウスギモクセイから選抜された品種なのではないかとか、ごちゃごちゃ言っていることについて、中国から見たら全くくだらない話で、日本国内における間抜けな議論としてしか映らないかも知れない。

 そもそもキンモクセイが中国原産であるという思い込みについては、当の中国では全くあずかり知らないことであり、中国国内では和名でいうキンモクセイの中国での自生種の存在及びその学名も認知していないようである。中国から笑われる前にさっさとDNAを調べて、国内での決着をつけるべきであろう。 

 その結果として、例えばキンモクセイがウスギモクセイの雄株から選抜された品種であることがキッチリと明らかになれば、果実がみられない理由が極めて簡潔に説明できることになり、訳のわからない説明は一気に吹っ飛んでしまってスッキリするに違いない。この場合はもちろん、国内での植栽樹はソメイヨシノと同様に単一のクローンであると初めて裏付けをもって説明されることになるのはいうまでもない。
 
<参考2:中国樹木誌の掲載種リスト>    (注)簡体字は新字体に改めた。
木犀科木犀属 掲載種:24種3変種。 
青色
は日本に分布。葉の鋸歯、花色、果実色に関する記述のみを抽出。
厚辺木犀(海南植物誌) 月桂(中国高等植物図鑑)
Osmanthus marginatus  和名:リュウキュウモクセイ
産於安徽南部・・・ 。琉球群島有分布
葉全縁、稀上部疏(=疎)生不明顕鋸歯、両面無毛。花冠淡黄白色、花期5−6月。核果楕円形或倒卵形、熟後黒色。
1a 厚葉木犀(中山大学学報) 
Osmanthus marginatus var. pachyphyllus
1b 長葉木犀(中山大学学報)
Osmanthus marginatus var. longissimus
牛矢果(中国高等植物図鑑) 大果木犀(中山大学学報)
Osmanthus tsumuranus 和名:ナガバモクセイ
葉下延全縁或上部有鋸歯。花冠淡緑白至淡黄緑色、花期5−6月。核果楕円形、熟時紫紅至黒色。
小葉月桂(中国植物誌) 尖尾木犀
Osmanthus minor
葉全縁。花冠白色、花期5−6月。核果楕円形或稍倒卵円形、成熟時黒色。
毛柄木犀(中山大学学報) 毛梗木犀
Osmanthus pubipedicellatus
葉全縁。花冠白色、花期9月。
紅柄木犀(中国樹木分類学)
Osmanthus armatus
葉具6−10対長刺尖牙歯、稀全縁。花冠白色。核果黒色。
毛木犀 毛桂花(中国樹木分類学)、顕脈木犀
Osmanthus venosus
葉全縁或注上部有3−4対牙歯。花冠白色、花期8−9月。
寧波木犀(江蘇植物誌)
Osmanthus cooperi
葉全縁。花冠白色、花期9−10月。核果藍黒色。
狭葉木犀(広西植物名録) 窄基木犀
Osmanthus attenuatus
葉全縁。花冠白色、花期9月。
壇花木犀(中国植物誌) 壺冠木犀
Osmanthus urceolatus
葉縁具10−15対細微鋸歯。花冠壺型、花期10月。核果長1.2cm。
10 柊樹(中国樹木分類学)
Osmanthus heterophyllus  和名:ヒイラギ
産於台湾;華北栽培供鑑賞。日本有分布
葉縁具1−4対刺状牙歯、或全縁。花冠白色、花期11−12月。核果暗紫至紫黒色。
10a 異葉柊樹(中国植物誌) 異葉型木犀
Osmanthus heterophyllus var. bibrateatus
産於台湾
11 歯葉木犀(中国樹木分類学)
Osmanthus × fortunei 和名:ヒイラギモクセイ
産於台湾。日本有分布
葉縁具8−9対鋭尖大鋸歯。花冠白色;雄蕊着生冠筒上部、葯隔具小尖頭;雄花具円錘状不育雌蕊。
12 蒙自桂花(雲南種子植物名録) 蒙自木犀、尾葉桂花(雲南種子植物名録)
Osmanthus henryi
葉全縁或有尖鋸歯。花冠白或淡黄色、花期10−11月。核果長蛇円形。
13 野桂花(中国樹木分類学)
Osmanthus yunnanensis
葉全縁、或具尖鋸歯。花冠黄白色、花期4−5月。核果長卵円形、紫黒色。
14 短糸木犀(中国植物誌) 鋸歯木犀
Osmantus serrulatus
葉縁具12−20刺状鋸歯或上部有鋸歯、稀全縁。花冠白色。核果楕円形、藍黒色。
15 無脈木犀(台湾植物誌) 陥脈木犀
Osmanthus enervius  和名:ナンゴクモクセイ
産於台湾。琉球群島有分布
葉全縁。花冠鐘形。
16 細脈木犀(植物分類学報)
Osmanthus gracilinervis
葉全縁。花冠白色、花期9−10月。核果楕円形、緑黒色。
17 鋭葉木犀(台湾植物誌)台湾木犀
Osmanthus lanceolatus  和名:トガリバモクセイ、ホソバモクセイ、ナガバモクセイ
産於台湾。
葉全縁。花冠白色。核果楕円形、淡黒色。
18 網脈木犀(中国植物誌)
Osmanthus reticulatus
葉全縁或密生15−30対小刺歯。花冠白色、花期10−11月。核果楕円形、紫黒色。
19 海南木犀 顕脈木犀(海南植物誌)
Osmanthus hainanensis
葉全縁。花冠白色、花期10−11月。核果楕円形或卵状楕円形、緑色。
20 桂花(江蘇、浙江)丹桂(本草綱目)、木犀(中国樹木分類学)
Osmanthus fragrans  和名:モクセイ
原産中国西南地区。栽培歴史悠久、淮河流域以南各地広泛栽培、広西桂林盛産。多栽培品種、金桂、銀桂、丹桂、四季桂、月桂
葉全縁或上部具細歯。花冠黄白、淡黄、橙黄或橘紅色、花期9−10月。核果楕円形、紫黒色。
注: 上記で例示されている品種は四大品系と呼ばれ、それぞれについて多数の品種群で構成されている。日本では中国で金桂と名付けている品種ウスギモクセイと呼び、銀桂と名付けている品種ギンモクセイと呼んでいる。また、丹桂と名付けている品種が日本で見るキンモクセイと信じてきた。 
21 石山桂花(広西植物名録) 斑葉木犀
Osmanthus fordii
歯全縁。花冠白色。
22 香花木犀(雲南植物誌) 甘木犀
Osmanthus suavis
葉具較密鈍鋸歯。花冠白色、花期4−5月。核果楕円形或卵円形、藍黒色。
23 山桂花(中国樹木分類学)管花木犀(雲南種子植物名録)、長管木犀
Osmanthus delavayi  和名:デラヴェーヒイラギ(樹木大図説)
葉具6−10対尖鋸歯。花冠白色、花期4−5月。核果楕円状卵円形、藍黒色。
24 双弁木犀(海南植物誌) 離弁木犀(中国高等植物図鑑)
Osmanthus didymopetalus
喬木、高達18米。葉全縁。
花冠白、乳白或黄色、花弁4,毎2片成対、離生、基部連合。花期9−10月。核果窄卵状楕円形或楕円形。
木材紋理緻密美観、堅重有靱性、不変形、耐腐朽、供制高級家具、工芸品。
<参考: ウスギモクセイの芽生えの様子>
 都内の某所に、年によって豊かに結実するウスギモクセイがあって、樹下に多数の芽生えも見られた。以下はその果実(核果)、核、芽生えの様子である。
 
ウスギモクセイの若い果実 ウスギモクセイの成熟果実  ウスギモクセイの果実の核 
 
ウスギモクセイの芽生え 1  ウスギモクセイの芽生え 2   ウスギモクセイの芽生え 3  ウスギモクセイの芽生え 4