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木あそび
   手作り箸のすゝめ


 ここで言う手作り箸とは、手作りの既製品の箸のことではなく、自ら作った箸を指す。
 
 長野県の木曽では土産物として木曽漆器が知られているが、これと一緒に必ず木曽ヒノキの箸を見かける。もちろん、拭き漆のものもあるが、やはり主役は素地のヒノキの香り豊かな製品であった。一方で、これを自家用に自分で合間を見て削る人たちも普通に見られた。

 目の細かい天然林のヒノキは材質が均一で刃物で非常に削りやすい素材である。よく研いだ切れる刃物であれば、削っただけで表面につやが出る。仕上がった箸は決して使い捨てではないので、使用後は洗って乾燥させることになる。十分に乾燥させるためにはローテーションさせるのが良い。

 以下は先達の講釈を聞いて練習した上でのメモである。


材 料  木曽ヒノキのように素性の良い木は削りやすい上に歩留まりも良いという点では最適である。その他、キョウチクトウのような有毒植物以外であれば何でもOKである。イチイやヤマザクラもいい感じであった。堅い木や枝を素材として挑戦するも良し。
道 具  切り出し小刀を使用する。刃の角度が大きいと食い込み易いため、角度の小さい薄い刃物が最適である。このため先達からはハクソー(歯クソではなくて、金切鋸。幅2.5センチくらいのもの。)を適当に折って切り出し小刀を作ることを勧められて、素直に従って作ってみたところ実に具合がよろしい。
 できれば、削り台があると作業がし易い。台は手前より先に向かって下り坂となっていると使い易いことがわかる。
小 割  箸の長さに少しプラスして材を切り、素性の良い木は必要な最低限の太さに小割りすればよい。この場合、常に小口の中心に刃物を入れないと横にそれて割れるので要注意。
 小割りしたものが曲がっている場合は、これを水につけて電子レンジに少々にかければ、熱いうちであれば矯正可能。なお、木材を長時間電子レンジにかけると、木の中心部から燃えてしまって、とんでもないことになるそうなので要注意。
削 り  小刻みに削りくずを出すのではなく、シュルシュルと長い削り屑が出るよう、技術を磨くとともに、精神統一して臨むこと。両端の仕上げは、刃物をよく研いであれが、元側の小口は包丁のようにして押せばスパッと切れる。先は割れが生じないように刃を当てて転がしながら切るのがコツ。
メンテナンス  箸の先を補強するために、箸の先にウレタン系の木固めを浸透させたり、蜜蝋を塗ったりの試行錯誤してみたが、結論としては、小細工なしでローテーション可能な本数で使用の都度乾燥させるのが望ましい。
 また、少々長め、太めに作って、表面が汚れてきたら一皮薄くシュルシュルと削り、さらに先を少し落とすのもよい方法である。
 余談ながら、電子レンジで曲がりを矯正した箸は、食洗機に放り込まれるとまた元に戻ってしまうので注意が必要。