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刃物あそび
 
  韓国製ネイルクリッパー
    ビクトリノックスとの関係は?  
             


 国産では見かけないが、輸入物の爪切りで携帯用の折りたたみタイプのものがある。複数のメーカーの製品が販売されていて、このうち韓国製のものが断トツに低価格で通信販売されていた。韓国製の刃物は普段店頭でも見かけないため、好奇心から観察してみた。 
【2007.7】



 韓国の具体的なメーカー名の表示はないが、販売者は「東京磁石工業株式会社」で、この会社がネット通販をしている。価格は税込みで 1,260円。都内で店頭販売している刃物店があったが、価格は約2千円であった。
 製品は丁寧にもプラスティックケースに収まっている。本体には吊り下げリングがついているが、キーリングつきの牛革製ケースが付属している。
 製品番号:KW−120 長さ59ミリ




 上部のプレートの裏側がヤスリ面で、これを引き上げるとレバーが跳ね上がる。

 裏面のプレートはリベットで固定された板バネで、レバーを押さえている。

 ヤスリ部を引き上げて、レバーを解放した状態。これでスタンバイとなる。

 ヤスリ面は線状、あるいは粒子状とは違ったパターンとなってる。加工精度は良好である。(拡大写真)


 この爪切りの方式はドイツのドボ、ツヴィリング(旧呼称ヘンケルス)、スイスのビクトリノックス等の製品を見かけることから、元祖はヨーロッパなのであろう。
 普通のクリッパー方式の製品のかたちは例えて言えば、毛抜きの先を刃にして貫通したリベットに梃子を利用したレバーを固定してパクパクさせる方式である。一方、ここに掲げものはニッパーをぺしゃんこにしたような交差した中間支点方式である。

 本体底部が板バネになっていて、先端部に近いレバーの支点に近い部分を押し上げている構造である。梃子が効いて、“毛抜き方式”に比べて刃の開閉は非常に軽い。

 他メーカーの製品の価格はたぶん当地の価格より相当割高になっているものと考えられるが、ツヴィリング、ドボのいずれも5千円程度である。ビクトリノックスは2千5百円程度で、この中では一番安い。そこで、比較のためにこのビクトリノックスの製品を子細に観察してみると、

なんと韓国製とビクトリノックスは瓜二つである!!

 ビクトリノックスの場合は“VICTORINOX”の文字がプリントされているが、ヤスリ目模様も含めて細部まで全く同じである。ビクトリノックスの製品は同社のカタログにも掲載されていて、製品名は Multi NAIL CLIPPER 8.20 とある。

 韓国の製品は仕上げも丁寧でしっかりしていて、実用上の問題は見られなかったが、支点のピンの頭が皿ねじ状となっていて、指先でなでるとほんのわずかに掛かることに気づいていたが、この点ももちろん同じである。

 ということは、韓国のメーカーがビクトリノックスの製品をOEM生産する一方で、同じ製品を日本にも輸出しているということである。同じ品質のものであれば安いに越したことはないが、知らないでいたら馬鹿を見る。
ビクトリノックスの製品は価格が2倍で、付属したケースは塩ビの簡単なものである。それに対して日本に直接輸入されているものは半額で牛革ケース入りで、この差は驚きである。こういうこともあるということか。

 なお、この激安商品の兄弟分で、爪切りに加えてハサミ、ヤスリ、ナイフを納めた欲張りなタイプもあって「マルチネイルクリッパー」の名前で同様に通販されているほか、東急ハンズでも扱っていた。価格はまた激安で、2千円程度で牛革ケース付きである。こちらの製品では、ナイフの基部に“Kowell KOREA”の刻印がある。

発売元:東京磁石工業株式会社
東京都墨田区東駒形1-15-12